銭湯ドラマ「時間ですよ」について
70年代に、銭湯を舞台にして大人気を博したTBS系列の人気ホームドラマ「時間ですよ」。銭湯+笑いという要素を取り入れ、従来の作品になかった斬新さを高く評価する人も多く、今ではTBSを代表するドラマの一つとしてリスペクトされています。
「時間ですよ」といえば、女湯シーンの女性エキストラ達のセミヌードが売り物の一つだったこともあり、視聴者の中にはこのドラマを「エロ番組」または「エロドラマ」として捉えている人も少なからずいる。
現在、世間一般では、テレビで女性の裸・ヌードを放送してはいけないと思っている人が多いと思います。しかし、地上波の放送基準では「女性の乳房」や「女性の裸」を映してはいけないという規則はなく、法律上は問題ないので今でもこういうドラマを制作・放送すること自体は可能である。
「時間ですよ」の場合は、女性の裸も多く放送されましたが、一方で男性の裸も映していたので、演出が偏らないように上手く構成されていた作品だったと言えるでしょう。銭湯が舞台になっている以上、裸でお風呂に入っているシーンが出てくるのは当然であり、エロ目的での演出ではないので比較的、クレームも少なく、放送基準にも引っかからなかったとされている。
●番組終了の経緯
終戦後、市民の生活衛生施設として都市部を中心に多くの銭湯が現れ出しました。一般庶民には家に風呂が無いのが当り前という時代ですから、銭湯は1970年代まで30年近くの間、盛況が続きました。しかし、高度成長期に入り、可処分所得の増加とともに自家風呂普及率が高まりはじめると銭湯は徐々に衰退していきます。テレビや冷蔵庫、クーラー、自家用車のように自家風呂のある家も庶民にとっては憧れであり、所得の増加はすなわち「自家風呂のある家に住む」に繋がっていったのは必然なことでした。
さらに平成に入ると銭湯は、内風呂の普及・重労働による後継者不足でさらに減少傾向を辿っていったため、「銭湯や秘湯などを舞台にしたドラマ」も時代に合わなくなり、制作されなくなった。
●混浴露天風呂連続殺人
「時間ですよ」とは別に秘湯ドラマとして人気を博していた刑事ドラマシリーズであり、無名だった温泉地をロケに使用したことで秘湯ブームの火付け役にもなった。このシリーズの最終作を担当した森山浩一プロデューサーも番組終了の経緯について「規制が厳しいから終了するのではなく、全国の温泉をひと通り回り、秘湯ブームのさきがけとなったこの番組の使命は終わった」からだと語っている。
「時間ですよ」が銭湯文化に貢献したドラマであれば、「混浴露天風呂連続殺人」は秘湯ブームに貢献したドラマだったと言えるでしょう。これらのドラマは自主規制やコンプラで終了したのではなく、時代の変化と共に銭湯・秘湯文化が無くなり、視聴者にウケなくなったことが理由として挙げられる。