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株式投資に役立つ「統計データ」③GDP統計


GDP(国内総生産)

中間生産物はGDPには含めない

GDPは国内総生産の英訳で、一定期間(通常1年間)に国内で新たに生み出された、財(物)・サービスの付加価値の合計額を指します。

GDPは、国の経済規模を表す指標としてよく用いられ、高いほどその国の経済活動が活発で、多くのモノやサービスが生産されていることを意味します。

またGDPの成長率は、経済成長の度合いを示す指標として用いられます。

・経済政策の策定
・企業の経営戦略の策定
・投資判断
・生活水準の比較
・国際的な経済協調

単一の指標で国の全てを測ることはできませんが、国の経済状況を把握する上で重要な指標の一つとされています。

このGDPには、「名目GDP」と「実質GDP」の2種類があります。

名目GDP

名目GDPは、その時点の価格で計算されたGDPです。

物価変動の影響を受けるため、経済成長の状況を正確に反映しない場合があります。

実質GDP

実質GDPは、名目GDPをデフレーターで乗することで算出する、物価変動の影響を除いた経済規模のことです。

デフレーターとは、A商品が年度により異なる価格だとしても、同一価格と仮定して計算するための指標です。

例えば、ある年のアイスが100円で、次の年には120円になったとします。
デフレーターを使うと、120円のアイスも100円と同じように見えるようになる。つまり、デフレーターは、値段の変化によって数字が大きくなったり小さくなったりするのを、同じ大きさに調整してくれるものです。

そのため実質GDPは経済成長の状況を、より正確に反映する指標として用いられます。

GDPと三面等価の関係

GDPが経済全体の指標として、いかに整合性のあるものであるかを裏付ける理論として三面等価という概念があります。

三面等価とは

三面等価とは、一国の経済活動における生産面分配面支出面の3つの側面が、一定期間経過後には等しくなるという原則です。

生産:国内で生産された全ての財・サービスの付加価値の合計
分配:国民が取得した所得の合計
支出:国内で最終的に購入された財・サービスの合計

三面等価の限界

三面等価は、理論的には正しい原則ですが、現実の経済活動では、⇩の理由により、常に厳密には成立しない場合があります。

<統計誤差>
GDPをはじめとする経済指標は、統計調査に基づいて算出されるため、統計誤差の影響を受ける

<経済活動の非循環性>
経済活動は必ずしも円滑に循環するわけではなく、景気変動などの影響を受けることがある

<二重勘定の漏れ>
一部の経済活動は、統計に把握されていない場合があり、二重勘定が完全に排除できるとは限らない

日本の名目GDPは、ドイツに抜かれ世界4位

今年の1月に「ドイツのGDPが日本を抜いた」というニュースがありました。

政府は、名目GDPがドイツに抜かれた理由を、円安とドイツのインフレによる影響が大きいと説明していました。

というのも、通常は名目GDPの計算は、自国の通貨で行うのが基本ですが、国際的な比較や分析の際・・・例えば、IMF(国際通貨基金)が世界ランキングを作成する際は、ドルに換算するからです。

そのため、円安が進むと日本のGDPは目減りすることになります。

ドイツの2023年の名目のGDPはプラス6.3%ですが、実質GDPはマイナス0.3%です。

一方、日本の実質GDPはプラス1.9%であったことから、ドイツに抜かれたとは判断しづらいかもしれません。

ちなみに2024年6月現在、昨年以上に円安が進んでいることから、来年は更に順位を落とす可能性はあります。


いかがでしたか?

今回は、ニュースなどでよく耳にするGDPについてでした。

次回もまた、投資判断に役立つ情報をシェアできればと思います。
それではまた

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