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備え方にも知恵が必要

   人間一人が長い人生を生きていれば、リスクなんてどこにでも転がっているものだと思ふ。

外を歩けば交通事故に遭うこともあるし、自宅内でも転倒して骨折する人もいる。高齢になればなおさらである。

とはいえ、高気密高断熱の平屋に住んでいる人と、隙間だらけの古民家に住んでいる人とでは、「ヒートショックで死ぬ確率」は異なる。

RC建築に住んでいる人と、木造の築古物件に住む人とでは、地震で倒壊した建物の下敷きになって死ぬ確率も、同じではない。

度々氾濫することのある河川の周辺の戸建に住む人と、岩盤が固い土地の上に建てられたマンションに住む人とでは、種々の理由から自然災害による被害も同じではない。

なのに!

皆が同じ情報を見て、同じリストを見て、同じように備えてしまうのだ。

想定される被害は人によって異なるのに、同じ防災セットを準備してしまうのである。

いやいや、ここにも知恵が必要やろ、と思うのである。

例えば、倒壊した建物の下敷きになった場合に備えて、バッグにホイッスルを入れておこう、という情報があったとする。

それを非常用持出袋に入れておいても、それを使う状況というのは、要するに身動きがとれないはず。ではどうやって、その場所から持出袋まで移動できるのかしらん。普段使いのバッグに入れておいても、おそらくそれは手元にはない。それよりも、スマホを手に持っている可能性の方が高そうである。

外出時に被災した場合も同じである。バッグの中にホイッスルがあったとしても、スマホが壊れていなければ、大音量で音を出すことは可能だし、バッテリーを温存しておいて、夜間になってから人声が聞こえたらライトをつけるだけで、自分の存在を外部に伝えることはできる。ホイッスルが活躍できる状況は、意外と限られている。それを肌身離さず身につけてある、たとえばネックレスにぶら下げて常に体の一部となっているのなら、おそらく使えるだろうが。

詳細は書けないが、某国のインターナショナルスクールに子供が在籍していた時に、地政学的なリスクが高まったことがあった。その時に学校からメール配布された「お知らせ」に心底凍りついたものだが、そこには、1から3までのシナリオと、詳細な解説があった。

実際に起こりうるイベントのレベルに応じて、対応の方法も異なるということが理解できた。

そこから、自分がどうやって備えるべきかのヒントを得た。

自分の仕事や環境、出入りしている場所に応じて、「自分だけのシナリオ」を考えて、準備しておく必要があるのだ。

例えば我が家は築古の狭小ビルである。
ハザードマップで確認したところ、想定される津波や液状化のリスクは、それほどない場所である。

かつRC建築のミニビルで、それを設計施工した工務店の方にお聞きしたところ、「このビルが倒壊するなら、この周辺の全部がアウト」というほど、頑丈に基礎を埋め込んであるらしい。このビルを建てた義父は、内装にはお金をかけなかったみたいだが、見えない基礎をかなり重視していたらしい。義父の性格を考えると、その通りだろうなと思う。

カナメ(夫)「ここが倒壊して下敷きになるような災害が来たら、もう避難どうのこうのやなくて死んでるやろ。それに備えてもしゃーない。とんでもない津波が来たなら、ジタバタしないで屋上に逃げた方が生存確率が上がる。よって持出袋を人数分用意するとか、あんまり意味ない。」

確かに。

カナメ「まぁ、しばらくの間、停電するとか、水道が止まるとかはあるだろうから、それに備えるっていうなら分からないでもない。それでも、知ってるよね?うち、ある程度は水出るから。」

ミニビルの我が家には、屋上に貯水タンクと給湯タンクがある。その水を屋上まで運ぶのに電動式のポンプを使用している。

なので、停電になったら水も止まる………というわけではない。貯水タンクや給湯タンクの中にある水は、しばらくの間使える。使用を制限して温存しておいたら、給水車が到着するまでの間は、なんとかなるかも。

衛生上の問題はあるので、ペットボトルの水は準備する必要はある。

カナメ「うちはアウトドア用品は一通り準備してあるし、カセットコンロもあるし。強いて言えば、ホワイトガソリンくらいは多めに準備しておいてもいいかも。普段は高いから使ってないけれど、ツールはあるからさ。」

私としては、Bluettiとソーラーパネル、Starlinkは欲しいところなのだが。

カナメ「バッテリーの寿命分かってる?ポータブルバッテリーが全く不要だとは思わないけれど、初期投資が大きい場合、それで何年使えるか考えたら、コスパ悪すぎやろ。」

とニベもない。

カナメ「それやったら、フツーに車買って、その車のバッテリーから電気を取り出す、という方が役に立つかな。車買う?」

私「え、どうせ私が運転するんだよね?やだやだー。事故起こしちゃう。」

地図が読めないわけではないが、読むのに時間がかかる私。私がナビ側に回ると大事な分岐を見逃す可能性がある。ある時点から、カナメがナビ、私がドライバーという役が固定化されてしまった。

つまり、「車を買う」=「私が運転」という選択肢しかない。

シニア入口の私に運転さすなよ!

ということで、それぞれの家庭や個人によって、想定されるシナリオは異なり、それによって備えるものが違うのである。

それは他人には分からないのである。

人によっては、常備薬が必要で、その人は常にお財布に入れておくことも大事なのだよ。

私の場合は、尿管結石の経験があり、その激痛を記憶しているから、鎮痛剤は必ず持ち歩いているもんね。

想定できる場面には、ざっくりと3パターンが考えられる。私は自宅SOHOなので、3番目の職場の想定は不要である。

1、自宅で被災→防災バッグ、備蓄品の充実

水もある、煮炊きのツールも燃料もある、という前提なので、食材の備蓄にエネルギーを注ぐ。

主にタンパク源になる缶詰や定番食材は、常に多めに備蓄してローリングストックしている程度。

非常時の持出袋は設定せず。そんな状況(数十メートルの津波、ビル倒壊)になったら、おそらく助かってない(汗)。

2、外出中に被災→バッグに常備するもの

盲点なのは、バッグは一つではないということ。使う可能性のあるバッグすべてに入れておくか、小さなバッグインバッグにまとめておいて、常に入れ替える必要がある。

私は、サコッシュにも医薬品やタオルハンカチは入れっぱなしにしてるよ。

  • お財布には常に現金をある程度入れておく

  • 鎮痛剤等の常備薬はお財布に

  • 外出時には常にペットボトル一本

  • 咳止めの飴やチョコを多めに

  • モバイルバッテリーはフル充電

  • ペンとポストイット一冊(意外とメモは大事よ)

  • タオルハンカチ、アルコールウェットティッシュ、ショッピングバッグ等一式は入れっぱなし(常時使うものとでダブル持ち)

  • その他、胃腸薬、漢方薬、ビタミン剤を少量ずつパックにしたものを入れっぱなし

3、職場で被災→デスクに常備するもの

移動中のバッグにある程度入っているので、普段からおやつストックを多めにして、ペットボトルを一本忍ばせておけば良いと思う。事務所自体に、非常食のストックがある場合もあるので、個人で大量に個別にストックする必要はないし、ある時点で必ずその場を離れるはずなので。

以上、我が家の備え方は、一般の方と同じではないはず。それぞれの備え方が違うし、個々人によっても持ち出したいものは違う。

だから、それぞれが自分だけのリストを作って備えないといけないのだよ!

意外とインパクトが大きいのは、家族写真や記録をクラウドに上げておくということ。

リアルに怖いなと思うのは、この言葉である。

自助7割、共助2割、公助1割

怖いよねぇ?

公助1割なんて、ほとんど誤差みたいなもんだと思わない?

給水車が来る程度しか、期待しちゃいけないと思うのよね。

共助2割となると、チャキチャキと動ける若者にその負担がかかる、つまり実際は不平等な世界が目の前に広がり、そのストレスたるや想像を絶する。

おそらく備蓄を真面目にやっていて、ちょっとした親切心で一部を分けてしまったら最後、おそらく「あの家には食料がたくさんあるぞ!」と噂される未来が容易に想像できる。身の危険すら生じる状況である。親切心が仇になる可能性すらある。

そして、日本列島全体が一夜にして沈没するようなことでもなければ、おそらく災害は局地的なものである。

なので、「被災地から脱出できる手段があれば、脱出してホテル泊すればいい」と考えても良いのである。

我が家の場合、その場所に仕事があるわけではないので、仮設住宅に住むようなことは一ミリも想定していないし、脱出先で賃貸住宅を借りてネットとPCさえ整えれば、また仕事を再開することだってできる。大事な記録はクラウドにあるし。

ここで多くの人が葛藤を抱えるかもしれない。

自分だけ助かっていいのか?と。

ちゃうって。

自助できる人が多ければ多いほど、もともと限りのある公助の分配に余裕ができる、つまり避難所にいる人たちにとってもメリットのあることなのだよ。

あんまり大きなことを考えずに、自分とファミリーが助かることをそれぞれが考えることで、社会全体が助かる可能性が上がる

備えあれば憂いなしだよね!

それでもソーラーパネルつきのBluettiとStarlinkは欲しいwww

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