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5周年特別対談『「弱さ」から始まる共創』イベントレポート

 3月24日(水)WELgee設立5周年特別記念として、組織として様々な協働を行うと同時にWELgeeの創業以前から代表渡部のメンターとして深い関わりを持つ、クロスフィールズ代表小沼さんをお招きして、WELgee代表渡部との対談が実現しました。

 代表として走り続けて感じたリーダーとしての自身の変化、また団体として創立5年目はどのような年だったのか。組織のあり方に関する考え方の変化など、本音で語る熱い90分間となりました!

1.小沼プロフィール写真のコピー

小沼大地(こぬま だいち)
1982年生まれ、神奈川県出身。一橋大学卒業後、青年海外協力隊として中東シリアにて活動。帰国後に一橋大学大学院社会学研究科を修了、マッキンゼー・アンド・カンパニーにて勤務。2011年、ビジネスパーソンが新興国のNPOで社会課題解決にあたる「留職」を展開するNPO法人クロスフィールズを創業。2011年に世界経済フォーラム(ダボス会議)のGlobal Shaperに選出。2014年、日経ソーシャルイニシアチブ大賞・新人賞を受賞。2国際協力NGOセンター(JANIC)の常任理事、新公益連盟の理事も務める。著書に『働く意義の見つけ方―仕事を「志事」にする流儀』(ダイヤモンド社)がある。
▼当日の流れ▼
-小沼さん自己紹介/事業紹介
-小沼さん✖代表渡部 対談
-質疑応答
-小沼さんからWELgeeへのメッセージ

「出会い」

小沼さんと渡部の出会いは、学生時代に渡部がNPO法人ETIC.MAKERS UNIVERSITYに所属していた頃、当時ご自身でも団体を立ち上げ、活動をされていた小沼さんがメンターとして参画されたことがきっかけです。

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 当時渡部のプレゼンを聞いて、「難民にかける想いや、難民と『共に』という姿勢がとひと際印象的だった」と言う小沼さん。目指す世界に共感し期待を感じたのはもちろん、その「難民と視線が一緒」という部分に惹きつけられたそう。

 ただ、小沼さん自身の団体設立の経験や、設立以降に様々な苦難を味わっていたからこそ何度も聞いたことがあるそうです。

「本当に事業として活動していくのか?」
「社会起業家は本気で向き合うことが大事。そして必ず人が介在する。逃げ出したらその方たちを失望させることになるが、それでも逃げ出さずに続けていくのか?」

 渡部の「はい!」との即答に想いの強さや覚悟をより一層感じ、ご自身もメンターとして伴走する覚悟をもったと小沼さんは振り返ります。一方、渡部はその覚悟をしっかりと感じ取っていました。


「協働している中で特に印象的なことは?」

 小沼さんは、協働する関係になった瞬間をとても良く覚えていると言います。関係が深まり進化しながら繋がり続けていることに面白さを感じていると同時に、まさに今回のWELgeeの5周年キャンペーンのキーワードでもある「Co-Creation」ができていることを実感

 特に、コロナ禍で海外に派遣出来なくなってしまった留職プログラムの人材を国内で初めてWELgeeが受け入れたこと。

また、VRでの協働が強く印象に残っているそうです。VRでは、何ができるかとゼロから手探りで共に考え始め、全員で「これができる!」となった瞬間が生まれ、そして実際に難民と撮影を行うなど、まさに協働することで新しい価値を創り出せている手応えを感じているそうです。

▲公開されている動画や資料はこちら

 渡部も、新しいプロジェクトが生まれる瞬間を一緒に体感できたことはもちろん、協働する過程でクロスフィールズの職員の方々の仕事への姿勢、何を大切に共に活動していくのか真摯に考え抜く姿勢に感銘を受けたと言います。そしてVRが出来上がった状態だけではなく、始まりやその過程を共にしたことが大きな経験になっていました。

 まさに今回の対談のテーマである『「弱さ」から始まる協働』として、現状お互いが大変な時に助け合い、一緒に協働したい事業がちょうど噛み合っているそうです。

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小沼さん「弱さを見せあうことで協働が進んだ印象がある」

 
そのような協働が進む中、小沼さんもご自身の団体5年目を「組織の地殻変動」と表現したように、組織の大展開を今まさに迎えているWELgee。


「組織の5年目とは?」

 小沼さんからは「インパクトを出そうと活動を進めていたら進化があり、その過程で痛みは必ず伴う。個人的には確実に成長し、組織としても次のステージにいる感覚がある。そして今はその次のステージに向けて動いている。」とお話しがありました。

     具体的には、小沼さんが自身の特性の負の側面を認め、「弱さ」を職員に見せたことがきっかけとなり組織が変化していったそうです。職員の中には「代表の弱さを見れた事がこの団体に居続けられるきっかけになった」と話す方も実際にいたり、弱さをみせることや様々なことを受容する大切さを個人としても組織としても学んだと言います。そして、お互いに違和感を言える組織になり、さらにそれをまとめて補完してくれるメンバーが出てきたことも大きな変化となったそうです。

 それに対し、渡部からは「自身の良い特性が身近なメンバーにはネガティブな影響を与えてしまう。つまり自身の特性を負として捉えることをどう感じたか?」と質問がされました。
 もちろん当時は絶望感でいっぱいだったという小沼さん。

小沼さん「しかし、弱さは強さの裏返し。その特性を隠すのではなく、どうチームに活かすかを考える。まずは自身の特性に気付くこと。そしてその特性に感謝しつつ、自分にもチームにも向き合うことが重要になってくる。」


 頭では分かっているが自身の負の側面を認めることは難しく、自分の在価値が分からなくなり苦しい経験をしたことがある、と渡部。

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渡部「組織=自分の時期から、どんな歩みを得てゆくのか?組織が褒められると自分も嬉しい。組織が貶されると悲しくなる。でも組織と私は別。組織と自分がオーバーラップしていた」

 渡部がこの苦しい経験を乗り越えたのは、仲間との対話を通して自身の特性の負の側面に気づけたからだと言います。現在はその負の特性を、周りが指摘し笑い合える状態がWELgee全体でできており、大きな前進となっているそうです。

小沼さん「団体と個人が幽体離脱するときもあれば、そうでないときもある。何が正解か答えがない中でやっている。NPOのリーダの中でも、熱烈なパッションの裏側に痛烈な痛みをかかえている人も多い。」

 喜びと共になある痛み、その両面を忘れないでおきたい、と渡部。小沼さんからも、5年目で経験したことは今の自分や人生を形作っていること、そして、このように話せるようになっている状態により自身の中でも消化し糧になっていると実感しているそうです。


「チームのコミュニケーションで意識していることは?」


 「職員が弱いことや、もやもやしていることを言えることが大事」と小沼さん。模索しながらも、現在は意識して対話の時間をとり、ポジティブなことも、ネガティブなことも話せる時間をとるようにしており、ただ聴くことの大切さを実感しているそうです。

 渡部からは、自分の団体のタイミングをみながら、例えば何も解決しない時間をあえて持つなどの工夫が必要であると話があり、また、小沼さんからは、組織のシステムとして抜けていることを見つけ施策を打っていくこと、また状況の変化と共に組織とても学習していくことが大事なのではないか、とお話いただきました。

そして最後に、現在育休中の渡部よりこんな質問もありました。


「育休中、家族や仕事との向き合い方は?」

小沼さん「育休の間は8割の仕事を誰かに任せていて、そこで組織にとってのプラスがあった」

 育休取得の経験がある小沼さん。自分自身がしっかりと家族に対して胸を張って接していないと良いエネルギーを出せないと、このコロナ禍で改めて気付いたそうです。

小沼さん「『自分が何を大事にしたいか?』が見えてきた。様々なライブイベントに向き合うことは重要だし、それを蔑ろにすると自己犠牲になってしまう。」

 育休を通して自分の人生の幸せを追求でき、現在は組織としても幸せを追及しているそう。個人が自己犠牲のエネルギーを持つと組織としてもそうなってしまう、それに気付けたことがチームにも良い影響を与えているのではと感じている、と小沼さん。

渡部「これまでは気合と努力で全てを乗り越えられると思ってきた。でもそれをやるとそれを言葉で発信していることと同じだと気付いた。」

 出産を経て、現在はポジティブな諦めが生まれたと言う渡部。全てをコントロールすることはできないということに改めて気付いたことで、それを言語化してチームに還元し、様々な状況を想定した組織づくりをし始めているそうで、職員も自らそのように進めてくれていることをとても嬉しく思っているそうです。

 小沼さんも、自分が助けられる経験から見えてくるものがある、と言います。渡部からも
組織として事業として弱さを見せられることで、新しい事業が生まれていくこともある、と話もあり、トークテーマである『「弱さ」から始まる共創』にふさわしい言葉でトークが締めくくられました。

当日はFacebookとTwitterでライブ配信が行われ約70人の方にリアルタイムでご視聴いただき、ありがとうございました!

視聴者の方からは、

「お二人は、そしてそれぞれの組織は様々な状況で変化しつづける中で、そのように投資したり、非財務情報を活用していきたいと考えていますか?」

「もし、お二人の解決したい社会課題に取り組んでいる企業・団体が起業前にあれば、組織に所属すること選んでいましたか?それでも自分で取り組もう(起業=団体を立ち上げよう)となりましたか?」

などの質問がされ、あっという間の90分間でした。

そして、最後に小沼さんよりこれからの5年に向けて、コメントを頂きました。

これまでの5年とこれからの5年は感覚が違ってくるはずです。これからは意識的ではなければならないと感じています。選択肢がある中で何を選ぶのか、今まで以上に団体としてWELgeeの生き様が求められます。
①弱さをお互いに受け入れながら組織の内外でCo-Creationしていくこと。また、それを武器に出来る様に大変な状況を乗り越えてほしいです。
②「難民と共に」という原点を忘れず、真摯さや熱意を常に持つこと。
この2つを忘れずにぜひ歩みを進めていってほしいです。

小沼さん、大変貴重な機会をありがとうございました!!

★当日のライブ動画を視聴できます。ぜひこちらからご覧ください
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