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トンネルのこっち側 ~雪国雑記4~
Kさんのこと
Kさんという常連のお客さんがいた。その存在を始めて認識した時には もうおじさんというよりおじいさんという風貌だった。
日曜の夕方ほとんどのお客さんが帰っていくと入れ替わりに玄関に現れる。
1人で。予約は無いが来ない週の方が少ないので大体来ると思っていて
間違いはない。人気のなくなった玄関でスキーのワックスをかけていて、
振り向くとKさん。
「Kさんきた
トンネルのこっち側 ~雪国雑記3~
変わったお客さん
小さいころ宿には変わった人もやってきた。昔はお客さんとの距離も近かったから目についただけかもしれないが。
いつもは電車で来る常連さんが今回は珍しい車で来たよと車の中やパトランプを見せてくれた。覆面パトカーだ。今なら完全にアウトだろう。(当時もかもしれないがもう40年以上前の話なので)
まだ高速道路がないころなので関東からだと峠を越えて来ることになる
トンネルのこっち側 ~雪国雑記2~
民宿に生まれて
スキー場まで歩いて5分。生まれた頃、家はもう民宿を営んでいたので物心ついた時、冬には家にお客さんがいるのが当たり前だった。
新幹線、高速道路の無かった当時、スキー場にはほとんどの人は泊りでやってきた。
年末年始、週末はいつも満員。6畳から8畳くらいの部屋に4,5人は当たり前、居間に泊めたり廊下でいいから泊めてくれなんてお客もいたらしい。山小屋状態。今なら
トンネルのこっち側 ~雪国雑記1~
序
トンネルを抜けるとそこは雪国だった。「雪国」を読んだことのない人でも知ってる有名な書き出し。実際、冬に電車や車でトンネルをくぐって同じことを感じた人も多いだろう。
冬にスキー場に来る人はそれぞれの思いを持って訪れ、そしてまた自分の住む場所へと帰っていく。いわば非日常の空間なのだろう。
でも、トンネルのこっち側の人、訪れる人の非日常が日常の人は存在する。
たま