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トンネルのこっち側 ~雪国雑記3~

             変わったお客さん

小さいころ宿には変わった人もやってきた。昔はお客さんとの距離も近かったから目についただけかもしれないが。

いつもは電車で来る常連さんが今回は珍しい車で来たよと車の中やパトランプを見せてくれた。覆面パトカーだ。今なら完全にアウトだろう。(当時もかもしれないがもう40年以上前の話なので)

まだ高速道路がないころなので関東からだと峠を越えて来ることになるのだが雪道をナナハンのバイクで来た人がいた。雪道をバイクで走った経験がある人はあまりいないと思うが、当然滑る。かなり滑る。
実際何回も転んで渋滞をおこしちゃったよと笑っていたが周りはかなり迷惑だっただろう。
その人は車か電車で来た連れと一日滑って翌日は滑りにいかず当時小学校に入ったかどうかぐらいの僕と遊んでくれた。天気が悪いのにスキーウエアは無く前日もジーパンで滑っていたらしい。どこまでもワイルド。
食堂の畳の広間ででんぐり返しとかをずっとしていた記憶がある。

仲間に連れてこられただけでスキーを滑らないという人もたまにいる。子供好きオーラを少なからず出していると絶好の遊び相手だ。
ある時すごく絵のうまい人が来た。車でも飛行機でもすごく上手に描いてくれる。ロボットの絵をリクエストすると左半分は中の構造みたいな物まで描いてくれた。
もしかすると有名な人だったのかもしれないが大事にしていたスケッチブックもいつしか無くなってしまった。

中には嫌なお客さんもいたと思うが忘れてしまった。やっぱり楽しかったことの方が思い出に残りやすいのだろう。
誰かの記憶の中にもスキーに行って民宿の子と遊んだ記憶残ってるかなぁ。


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