見出し画像

Rust UnwindとAbortとは 使い方と注意点について

今回はRustにおけるUnwindとAbortについて説明していきます。

Rustのpanic!に対する振る舞いは主に二つの方法で設定できます。
それがUnwindとAbortです。

これらはプログラムがpanic!を呼び出した際の反応を定義し、その差異はリソースの解放とプログラムの終了方法に関わってきます。

Unwindとは

アンワインドはデフォルトのパニック動作で、以下の特徴があります。

スタックのアンワインド

 スタックのアンワインドを通じて、panic!が呼び出された現在のスレッドのスタックを逆にたどります。
これにより、スタック上のすべての変数のデストラクタ(Dropトレイトが実装されたもの)が実行されます。

安全なクリーンアップ

スタックのアンワインドにより、プログラムの他の部分に悪影響を与えずにリソースを安全に解放することが可能になります。


Abortとは

アボートはスタックのアンワインドを行わずに直接プログラムを終了させます。以下の特徴を持ちます。

即時のプログラム終了

panic!が呼び出されると、プログラムは即座に終了します。リソースの解放やデストラクタの実行は行われません。

パフォーマンス

アンワインドをスキップするため、パフォーマンスにおいてはアボートがアンワインドよりも高速です。特にデストラクタの実行に時間がかかる場合にこの差が顕著です。


設定方法

Cargo.tomlにおいてプロファイル設定を通じてパニックの振る舞いを設定できます

[profile.release]
panic = 'abort'  # リリースビルドでのパニックをアボートに設定


注意点

リソースの漏れ

アボートを使用すると、デストラクタが呼び出されないため、開かれたファイルやネットワーク接続、その他のクリーンアップが必要なリソースが適切に解放されないことがあります。これがリソースリークを引き起こす可能性があります。

エラーハンドリング

アンワインドは、エラーをキャッチして異常終了する前に状態を保存することができる場合に有用です。
一方、アボートはデバッグが困難になる可能性がありますが、システムの安定性や予測可能性を求める場合に適しています。

マルチスレッド

アンワインド時、他のスレッドが影響を受けることなく安全にクリーンアップを行うことが重要です。不適切なスレッド間のリソース共有がある場合、アンワインド中に予期しない振る舞いが生じることがあります。


Rustをもっと詳しくなりたい方に

Rustプログラミング完全ガイド 他言語との比較で違いが分かる!

個人的には他の言語開発もそれなりにあったことからこの本を読むことでかなりRustへの理解が深まりました。
プログラムやシステム的な専門用語は当たり前に登場するものの、他の言語での開発経験がある方なら問題ないでしょう。むしろその経験があることで、多言語との比較をしながら読み進めることができます。
内容的には大容量かつ丁寧すぎるほど嚙み砕いて説明がされているため、情報量は十分といえます。Rust自体学習コストが高く、難易度の高い言語のためこのくらいが妥当といえます。
プログラミング初心者レベルの方には難しい内容となっていますが、Rustの概念を理解し、基礎を把握することができる本であること間違いなしです。

Rust学習のために筆者が実際に読んでおすすめしたい本をまとめています。


基礎から学ぶRustプログラミング入門

本コースではRustについて全く経験がない方でもスムーズに学習を進められるようにとなっています。
基本的にはコードベースで解説を行い、抽象度が高く難しい内容に関しては適宜スライドも使いながら丁寧に解説します。そしてただ文法を学ぶだけではなく、最終的には演習としてCLIアプリケーションを作成し学習内容の定着を図ります。

以下の記事では筆者が実際に受講したおすすめUdemy教材をまとめています。

※本ページではアフィリエイトリンク(PR)が含まれています


この記事が参加している募集

この経験に学べ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?