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EMがメンバーコミュニケーションとる時の心構えを並べてみた(2022年版)

はじめに

今年もお疲れさまでした。期限が大変遅くなってしまい誠に申し訳ございません。
自己責任の範疇くらいであると知りつつ大いに反省しています。

今年は、複数部署をまたがるEMとして「メンバーに直接時間を投下してみよう」とテーマを設けた1年でした。結果として、今まで自分の中でなんとなくやっていたことが体系化されたり、新たな気付きがたくさんあったりしたのでそれをまとめるとともに、自社(また生意気にも世の中の)のEMの方にとって、メンバーとコミュニケーションをとるときの一つの指針となるものになり後に続いてくれることをわずかばかり期待してこちらの内容を投稿します。

前提

まずそもそもここは会話する前に頭に入れとこうと思っていること。

メンバーも成人した立派なオトナである

なんだかんだ、メンバーだって立場の違いがあるだけで最低限20年以上生きてきた立派な大人です。行動には(言語化されているか、自覚的であるかにかかわらず)理由があるという前提に立って観察と対話が必要です。

類似

  • 「やったほうがいいのはわかるけどできない」という現象は存在する、頭では分かっていると心得る

推奨される行動

  • メンバーの行動理由を言語化して説明できる

  • 行動理由については、マネージャーが自分で思っているだけでなく、メンバーと共通の理解となるようヒアリング

    • 例)

    • ✕:「なぜ会議で発言しないのか」を、メンバー側の言い分を説明できない

    • ○:彼は前回の議題は前提知識がなかったため、瞬発的に意見を構築できない

    • ○:会議で度々「それは違う」と腰を折られてしまったので発言をしばらく諦めている

「成長」とは、習慣付という定常的な行動の変化

行動が伴わなければ気持ちはあまり意味をなしません。気持ちを推し量る定量的なものさしが存在しないためです。極論ですが「お辞儀をしながら心であっかんべー」していても、誰にもわからなければそれはそれで問題ないと捉えています。気持ちが伴わないものが長期的に継続できるとも思えないですが。

できてないときのNGワード・行動

  • ○○しないように、今後は○○するように「気をつける」「ちゃんとする」「しっかりする」「意識する」「徹底する

    • 例)

    • ✕:作業手順を間違えないように「気をつける

    • ✕:書類は内容を「ちゃんと」確認する

推奨される行動

  • 「やったかやってないか」判定できるもので行動設定する

    • 例)

    • ○:作業手順を間違えないように手順書を事前に作成する

    • ○:書類は確認の時間を確保して黙読する

行動を変えるのは難しい

概ねやったほうがいいことは誰しも頭ではわかっていますが、それができないからこそ成果に優劣がついています。原則、行動を変えるのは難しいです。人間は設計上非合理な挙動をするバグを孕んでいます。

できてないときのNGワード・行動

  • 理想からスタートして行動設定をする(現実的に考えてできないことは設定しない

    • 例)

    • ✕:毎日早起きをする(曖昧かつ目標が大きすぎる)

推奨される行動

  • 現在の習慣にプラスαで行動設定する。行動のハードルを下げる行動設定をする。

    • 例)

    • ○:夜更かししないよう枕元にスマホの充電器を置かない

    • ○:目覚まし時計は枕元ではなく部屋の入口に置く

1on1の時間が足りないのは普段のコミュニケーションが足りてない

まんまですね。特別話したかったトピックスがあるわけでもないのに1on1で1時間以上話し込むことがあるってことは、そのままご飯でも食べ行ったほうがいい場合もありますし、それをある程度繰り返し定期で行ったほうがいいです。

推奨される行動

  • 判断コストを払うことなくコミュニケーションできる場を設計する

    • 例)

    • ○:毎週のランチ

    • ○:昼休憩は一緒にタバコを吸いにいく

    • ○:一緒に帰る

メンバーから情報・感情を引き出す時

原則言いたいことが言えていない、という前提に立った上で、それに気づいたりより情報を引き出すために何を考えているか。

そもそも聞いてる量と話してる量どっちが多い?

あらゆる1on1のナレッジに共通して記載していますが、1on1などの場が、マネージャー側が言いたいことを言っているだけの場になっていることも間間あります。もちろん場の目的次第ではありますが大抵の場合、認識齟齬や情報格差の解消以外は、マネージャーが解決策を説明するだけで課題が解決することは殆どありません。なのでコミュニケーションとして有効なのは、課題の本質となる情報を引き出すヒアリングのほうに重点が置かれるのが必然となります。

類似の現象

  • メンバーが考えていることを伝えられていない

できてないときのNGワード・行動

  • 1on1などのコミュニケーションの場でマネージャーとメンバーの会話を録音して何対何で会話しているのかを計測するのが手っ取り早いです。これは肌感覚ですが、メンバーがスッキリした顔をして帰っていくのは、マネージャー3のメンバー7ぐらいの割合であることが多いです。

メンバーに興味をもつ

とはいっても、メンバー自身のことに興味を持てなければ会話をじっくり聞くのはなかなか苦痛だったりします。

マネージャーだって人間だもの。ただこれは、卵が先か鶏が先かという話でもあり、メンバーと時間を共にしたことによって興味がわいてくるのか、メンバーに興味がわいたことによって時間をともにすることになるのか、非常に難しいところです。

推奨される行動

ただ一つ言えるのは、マネージャーにとって行動でコントロール可能なのはあくまで前者メンバーと時間を共にしたことによって興味がわいてくる」だということです。

ということで、メンバーに時間を使いましょう。メンバーに時間を使うというのはメンバーと一緒に仕事をするということであり、メンバーと一緒に仕事をするということはメンバーの仕事内容を把握し、FBし成功に向け伴走することです。

メンバーは「何をやりたいかわからない」

自分を振り返ってみてもらえればと思いますが「やりたいこと」説明できませんでしたよね。同様に言語化できているメンバーは極稀です。体感5%もいません。もし見つけたら伝説のポケモンとの遭遇なので、大事に育ててほしいです。
なので、言語化はそれなりに手伝って上げる必要があり、そのための引き出しはいくつか持っておく必要があります。

できてないときのNGワード・行動

  • そのまんま。

    • 例)

    • ✕:「なにかこれからやってみたいこととかってあるの?」

推奨される行動

  • これまでにできるようになったことを一緒に並べてみる。「じゃあ次はこれをしてみようか」につながる。

  • メンバーに対して、こちらから手当たり次第に情報をぶつけて反応を見る。知識がないのでイメージがない。LogmiTechとかセミナー登壇とかがオススメ。

  • マネージャー側の「やってみたいこと」をまず話す。その中で演じてほしい役割から探す。※マネージャー側の「やってみたいこと」がほんとにやってみたいと思っていることでなければ嘘っぽくなる。

もっというとメンバーは「自分が何を考えているかわからない」

そもそもとして自分の考えを言語に起こして説明するという事自体、的確にできる人のほうがやはり稀です。特に社会人出たての20代はそういう場面にすら出くわしたことがほぼなく、突然「意見を聞かせてくれ」と向き合われても泡を食ってしまうというのも致し方ないところです。

推奨される行動

  • 現象、行動を時系列で書き出し、そのときの感情・思ったことを一つずつ書き起こして並べていく。単位は振り返りたい時間軸ごとに、「今日のこと→時間ごと」「今月のこと→日ごと、週ごと」「今年のこと→月ごと」と使い分ける。

  • ヒアリングの際は、「その時どう思ったの?」「大変だった?」「嬉しかった?」など、アタリを引くまで繰り返し質問を当て続けるのが有効。

  • また、「時間を巻き戻せたらその時どうしてると思う?」などの、ちょっと斜めの質問をたまに挟むと思考を巡らせる機会になる。

アウトプットする時

色々と情報をインプットしたことを踏まえて、目的に対して効果的なアウトプットになるように考えていること。

マネージャーの指示背景は伝わらない

原則伝わっていません。マネージャー側としては連続性のある意図のある指示だったとしても、メンバーからするとぶつ切りの雑務に過ぎないと認識する場合も間間あります。

推奨される行動

  • 指示した仕事の成果物の届け先と届け先の要望を、1つ先まで説明する。

    • 例)

    • ✕:「月次MTGで説明する資料を作成してほしい」

    • ○:「月次MTGで、『役員』に『プロダクトの利用状況が順調かどうか判断してももらう』ための資料を作って欲しい」

アウトプットが「メンバーへの回答」ではなく「自分が喋りたいこと」になっていないか?

聞いてる量話してる量の話に近いですが、マネージャー側は意図せずアドバイスをするだけして気持ちよくなりがちです。ただ繰り返しますが、マネージャー側の発言だけで行動が変容することは非常に稀であるため、ヒアリングによる課題抽出に時間を割いたり、端的に行動設定や目標設定に着地させにかかったりするほうが効果的な場合が多いです。(例外はあります)

課題に対して提示する正論は、相談者を殴りつけるのに等しい

課題への解決方法の提示として、正論や一般論の提示は非常に容易ですが、ほとんどの場合「それができないから課題になっている」ということがほとんどです。再三の繰り返しになりますが、どういう原理でメンバーが現在の挙動に至っているかの抽出が非常に重要でありそのためにヒアリングの引き出しを複数持っておく必要があります。
ただややこしいのが「言ってはいけない」というわけではなく、それがときに圧倒的圧力となってしまうことを理解した上で、解決策となるアクションを共に模索する必要があるということです。

類似の現象

  • 自分が喋りたい内容(過去の経験談、社内での成功事例など)を話して終わる

できてないときの行動・推奨される行動

  • 例)

  • ✕:マ「人とのコミュニケーションはやっぱり重要だよ。学びになるし、いざという時の助けになることもある。どんな人も一緒に仕事をすることがあるかもしれないからね。」

  • ○:マ「そうはいっても、知らない人と話すは固くなるよな。とりあえずあの人は僕と仲がいいから、今度一緒に御飯でも行ってみようか」

会社のミッションとメンバーのやりたいことの間に、マネージャーのやりたいことをちゃんと入れる

わりととそもそもですが、マネージャーになったからってマネージャー自身にやりたいことが自動で浮かんでくるわけでもないのが悩ましいところです。

そして会社としてのミッションはある程度設定されているので、それに集中しすぎてしまうと、メンバーのやりたいことを強引に会社のミッションに当て込んでいく構図が出来上がり、自発性を損なう釘打ち環境が用意にできあがってしまうというのが構図としてはさらに難しい。

推奨される行動

  • マネージャー自身のやってみたいことをまず探す。探し方は、メンバーに対してヒアリングをしてきたときと同様、自分のこれまでやっていたことを振り返り、インプットと壁打ちを繰り返して自らのやりたいことを導き出す。

む、むずかしい。。。

終わりに

とはいえコミュニケーションに終わりはないなと言うのが書き終わった後の今更な感想です。
結局のところ、1人ずつに対して時間を使っていき、その時の自分なりの最適解でトライしていく他ありません。ただ、そうなるとやはり1人で組織を作っていくには限界があり、構成に続いてもらわねば自らの行きたい地点までたどり着かないというのもまた気づきです。

しかしおそらく、同じように悩みながら日々格闘している人は日本中にいて、その人もまた来年元気に前向きにメンバーと向き合おうとしているだと思うと、勇気がでますね。
そんな方と、いつかこんな会話ができる日を楽しみにしながら、来年もまた頑張りますので、引き続き若輩ですが何卒よろしくお願い致します。

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