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迷いながら、揺らぎながら(さくら)④ 〜孤立と「わたしの正しさ」の揺らぎ〜

前回は、さくらさんの探究のベースが先生との対話とテスト勉強を通して築かれてきたことを聞きました。
今回は教育をテーマに探究を始めた高2時代について深く聞いてみたいと思います。


苦しい時支えてくれた、勇気をくれた音楽たち

「あの時の失敗が、求めてる未来につないでくれる」


ーー あらためて、高2はどんな時間でしたか?
挑戦するワクワクもありつつ、簡単にいかないツラさに向き合った時間でした。

初めてやったワークショップを、何もまわりに共有しないまま「これやって!」ってやっちゃったのもあって、クラスで孤立しちゃったんです。

でもあの時の失敗が、私を求めてる未来につないでくれる感じもしていて。「失敗を恐れなくていいって、こういうことなんだ」って実感した時間でした。

ーー 今は前向きに捉えられても、苦しかったですよね。
「正しい」って思ってやったことなので、初めて「ガクーン」っていった恐怖は大きかったですね。

すごく暗くて、霧みたいな感じで。どれだけ進んでも道が開けない感じでした。

「全然思ったような反応をくれなくて」


「どっちに行けばいいのかな?」
「この道で合ってる?」
「だれも助けてくれないのかな?」

って思いながら、走ってるのかも分かんないまま走った時間でした。

だからこそクラスの人たちと、いろんな理由をつけながら高校生の内にお互いに謝れたのは本当に良かったです。

ーー 当時について具体的に聞いてもいいですか?
私の探究テーマは「先生と生徒の対話から創る新しい授業の形」だったので、新しい授業の形をつくろうと思ってワークショップをやってみたんです。

けど、クラスの人たちは全然思ったような反応をくれなくて。「意見言ってよ」って言っても何も出て来ないし、クラスの雰囲気もすごくギスギスしちゃって。

「これは受け止めなきゃいけないヤツだ」


当時は「やってみよう!」って思ったら、準備も少ないまま3日後にやる!みたいな感じだったんで、失敗するのも仕方ないんですけれど…。

ーー どんな反応だったんですか?
全然上手くいかないし、みんな「協力できない」って感じになっちゃって。匿名で「なんでこうするんですか?」とか「ここ、もっと考えた方がいいんじゃないですか?」みたいなコメントを受け取りました。

「お前、ウザいわ」って感じの。

「これは受け止めなきゃいけないヤツだ」って自分に言い聞かせて読んでましたね。

ーー ひとりで読んだんですか…?
はい、あまり人が来ない教室のベランダの近くにあったホワイトボードの裏で泣きながら読んでました。

「誰か一人でも"それでいいよ"って言ってくれればいいのに」


ちょっとしたキッカケで5人くらいからLINE上で集中攻撃されたりもして。

「私なんか悪いことしたかな」って。

今なら「なんか言ってあげたいけど、怖い」って人もいたのも分かります。私の近くにいたせいで嫌な思いもしただろうし、逃げざるをえなくて逃げちゃったんだって。

それでも、誰か一人でも「それでいいよ」って言ってくれればいいのになって、ずーっと待ってた気がします。

いい先生に出会っただけで中学時代の私は嬉しいだろうし、絶対に「ここで良かった」って思えてるはずなのに、毎日過ごす時間はとてもつらくて。

信じてた自分の「正しさ」みたいなものがグラついてしまったんです。

ーー 学校に行けなかったときもあったんですよね。
夏休み明けでしたね。夏休み中は行けてたんです。
補習に行って、その後先生と話したりするのが好きだったんです。

「授業1コマでさえ、もう逃げ出したくて」


でも休み明けが近づいてきて、クラスで一緒に授業受けてるの想像したら怖くなっちゃって。「あと3日で夏休み終わるな」「あと2日したら学校だ」「明日、学校か」みたいに自分の中でカウントダウンが始まっちゃって、具合も悪くなって…。

休み明けの日、いつも乗ってる時間のバスに乗れなかったんです。

ーー 行くのもツラいけれど、行けないのもツラいですね。
はい。学校自体は大好きで、先生たちとも会いたいのに、どうしてあの人たちに奪われなきゃいけないんだ…みたいな。

結局、学校に行けなかったのは3日間だけだったんですけれど、最初に教室入ったときは久しぶりすぎてゾクゾクしましたね。授業1コマでさえ、もう逃げ出したくなっちゃってました。

ー その状況から、よく関係性を築き直していきましたね…。
次回は苦しい環境に陥ってしまったさくらさんが、何を変えていったのか聞きたいと思います。


■ 迷いながら、揺らぎながら(さくら)

〈インタビュー for Selfについて(筆者について)はこちら〉

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