見出し画像

迷いながら、揺らぎながら(さくら)⑥〜私が変わり、みんなも変わっていく〜

前回はさくらさんが、学校の外で受け入れられる経験を経て、身近な人への捉え方が変わっていった過程を聞かせていただきました。
今回はそんな身近な人とつながり直す挑戦と、そこから起きた変化を伺いたいと思います。

「思ったようにはならないが、やったようにはなる。」

「一番嫌だった人と分かり合おう」


ーー 身近な人との関わりは、どんな風に変わっていったんですか?
LINEで集中攻撃してきたときも中心だった、一番嫌だった人と分かり合おうとしたのが最大の挑戦だった気がします。その子とちゃんと認め合えたら、もう少し今いる環境が楽しくなるんじゃないかって思ったんです。

「おはよう」や「バイバイ」の4文字も言えない関係だったので、ゃんと話せるようになるまで最短でも2ヶ月は掛かると思いました。でも、ちょっとずつでもやってみようって思ったんです。

「苦しまずに、今の自分でもできることを」


ーー 人から見ると小さいかもしれないけれど、勇気ある挑戦ですね。
最初はその子が落としたものを拾うところからでした。それも、みんないる教室じゃハードルが高かったので、5人だけの選択授業から。
理由があれば、なんとか声をかけられると思ったんです。

落としたものを「はい」って渡して「ありがと」って返ってくるくらいの会話でした。

それからも、その子が「テスト範囲どこだっけ?」とか「宿題何ページまでだっけ」とか言ったのに答える形で、ちょっとずつちょっとずつ、会話の量を増やしていきました。

その子が誰かを求めている時に、私が応えようって思って。

苦しまずに今の自分でもできることを、すごーい地味に。一歩一歩やって話せるようになっていきました。
みんなが「バイバイ」って言ってる時なら私も一緒に「バイバイ」って言えるかなとか、今日なら自然に「おはよう」って言えるかな、とか考えながら。

ーー 「苦しまずにできることを」って、すごく大事ですね。
そうしたら、なんとか3〜4人グループなら「喋れるな」って雰囲気ができていって。

「頼りやすい存在になろう」


今度は「どうしたら向こうから話しかけてもらえるかな?」って考えました。私から話しかけるのは、まだちょっときつかったので。

「頼りやすい存在になろう」と思ったんです。

クラスのみんなの探究の手伝いをしてみたり、プレゼンを見て深堀りしてみたり。

ーー言葉じゃ簡単でも大変ですよね。
最初はすぐ脱線しちゃうんですよ。「お腹空いたー」とか言って全く別の話になってったりとかして(笑)私も「あのさ、今やってんのこっちだよね」とか言っちゃってたんですけど、でもそれじゃ全然上手くいかなくて。

「ありのままを受け容れよう」〜『なんか、さくら変わったよね』


それでとにかく、ありのままを受け容れようって姿勢を変えてみたんです。

「完璧じゃなくていい。昨日より今の方がいいならそれでいいじゃん」ってマインドで関わっていったら、返してくれる言葉も変わっていったんです。

「すげー!」って思いました。

前なら「これについてどう思う?」って言っても「え、わかんないー」ってスッと切られてたところが、わかんなくても「ちょっと待ってね。今度までにそれ答えていい?」って考えてくれるようになったんです。

ーー 関わる姿勢の変化って、そんなに人を変えるんですね!
逆に「なんか、さくら変わったよね」って噂もその頃あったらしいですよ(笑)

『じゃあ、私も探究手伝ってほしい』


私が心構えを変えたことで、みんなも変わっていくのが本当に嬉しくて。

今まで話してなかったことをめちゃくちゃ話してくれたり、考えるようになってくれたり…。そんな風にしていたら探究を手伝ってたグループの友だちが「さくらマジやばい・スゴい」なんて言ってくれるようになりました(笑)

そんな風になっていったら、一番嫌だった子から自然な感じで「じゃあ私も、探究手伝ってほしい」って話しかけてくれたんです。

ーー それは嬉しい!
「よっしゃー!」って思いました(笑)
「みんなにもやってるから、私にも」って感じで話しかけてくれたのが嬉しくて。

「普段は聞きづらくても探究なら、やっていい」


それに探究の手助けって役割だったことで「なんでそうしようと思ったの?」とか「なんでそこをやろうと思ったの?」って、その人らしさもめっちゃ聞けるんですよ。

普段は聞きづらいことだけど、探究ならやっていいことじゃないですか。

それを聞いていく中で「こんな良いとこあるんだ」って気づけたりとか、「私って、その子の良さを嫌なところで全部かき消してたんだな」って気づき始めたんです。

ーー 役割があったことで人をより深く知れたんですね。
ですね。その人の事も知れるし、私自身も「素じゃないし」って逃げられる感覚があって、やりやすかったです(笑)

でも、自分じゃこれ以上は深掘りできないなって感じる時がきて。それでSNSを通じて出会った大好きな団体を、その子に紹介してみたんです。そしたら終わった後に「マジで行ってよかった!」って画像まで送ってくれたのが、今でも忘れられなくて。

「これからも繋がっていたい」


その子とのいざこざがなきゃSNSも始めなかったし、SNSやんなかったら多分その団体にも出会わなかったわけで。
キッカケを与えてくれた子に、巡り巡ってその機会が届いてるって思ったら「あ、なんかすごく嬉しい」って思えて。マジでドラマだなぁって思っちゃいました(笑

ーー 綺麗すぎる伏線回収ですね(笑)
そうやってつながれたことで、逆に私が受験で苦しんでた時にその子が「さくらが受かんなくて誰が受かるの?」って言って救ってくれたこともありました。

ーー 本当にいい関係になっていったんですね。
高2の夏休みまでは「3年間だけのつながりだし」って思ってた人たちが、これからも繋がっていたい「お互い頑張ろうね」って言える相手になれたのが、本当に幸せだと思います。

ずっと私が頼られるんじゃなくて「これやってきたんだけどさー」とか話聞かせてくれるのがスゴく幸せなんです。

「高校あんま思った通りにはなってなかったけどさ。さくらがやってるんだったら、大学生になったら私もやってみようかな」とか「マジで、絶対連絡とるからね?」みたいに言ってくれたりとか。

お陰で私も「このクラスに居てよかった」ってちゃんと思えたんです。

ーー 本当に小さな一歩を積み重ね、まさに探究の先で、さくらさん自身にもまわりの人にも大事な変化を生んで来たんですね。
次回は最終回。あらためて今の中高生に向けてメッセージをいただきたいと思います。


■ 迷いながら、揺らぎながら(さくら)


〈インタビュー for Selfについて(筆者について)はこちら〉

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?