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うぇいの哲学

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#哲学

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哲学って何?難しい?その概要と学ぶ意味を哲学科卒が解説 | 哲学ラジオ

本シリーズは哲学科卒の私うぇいが、哲学っぽい話題をざっくり解説する音声コンテンツです。今回は「哲学とは何か」について話しました。 ▼使用文献 〇自分で考えること(啓蒙とは何か) ⁠イマヌエル・カント『永遠平和のために/啓蒙とは何か 他3編』中山元訳、光文社古典新訳文庫、2006年⁠ https://amzn.to/4bVBMQe 〇哲学は毒でもあり薬でもあるということ ⁠プラトン『パイドロス』藤澤令夫訳、岩波文庫、1967年⁠ https://amzn.to/3VIPtwn ⁠高橋哲哉『デリダ──脱構築と正義』講談社学術文庫、2015年 ⁠ https://amzn.to/45rPQyl ▼関連文献 ⁠千葉雅也・納富信留他『哲学史入門I──古代ギリシアからルネサンスまで』NHK出版新書、2024年⁠ https://amzn.to/3KJ5CLP ⁠ピーター・ギブソン『1冊で学位 哲学──大学で学ぶ知識がこの1冊で身につく』上野正道・屋代菜海訳、2022年⁠ https://amzn.to/3yV6tX5 ⁠岩田靖夫『ヨーロッパ思想入門』岩波ジュニア新書、2003年⁠ https://amzn.to/3Xn7wcw ⁠信原幸弘編『ワードマップ心の哲学──新時代の心の科学をめぐる哲学の問い』新曜社、2017年⁠ https://amzn.to/3xFxKfw ⁠鈴木生郎・秋葉剛史他『ワードマップ現代形而上学──分析哲学が問う、人・因果・存在の謎』新曜社、2014年⁠ https://amzn.to/4b4H6QE ⁠植村玄輝・八重樫徹・吉川孝編『ワードマップ 現代現象学──経験から始める哲学入門』新曜社、2017年⁠ https://amzn.to/3QkTELI ※本リンクはAmazonアソシエイトプログラムの一環として設置されており、これらのリンク経由での購入により筆者に収益が発生します。 ▼欲しいものリスト(支援オナシャス) ⁠⁠⁠⁠⁠⁠https://x.gd/GqyMQ⁠⁠⁠⁠⁠⁠ 〇個人的激おすすめサービス:Amazonオーディブル ⁠⁠⁠⁠⁠https://amzn.to/45gafGM⁠⁠⁠⁠⁠ ▼SNS 〇note:うぇい@哲学 ⁠⁠⁠⁠⁠https://note.com/wayundweg/⁠⁠⁠⁠⁠ 〇X:うぇい@オススメ書籍紹介 ⁠⁠⁠⁠⁠https://x.com/wayundweg ⁠⁠⁠⁠⁠ 〇YouTube:【哲学】うぇいちゃんねる Way Channel ⁠⁠⁠⁠⁠https://www.youtube.com/channel/UCf81tQ5gTlhfwkoLuWWquhw⁠⁠⁠⁠⁠

【哲学】「役に立つ」とは結局、どのような意味なのだろうか?

そもそも「役に立つ」とはどういうことか?「役に立つ」という言葉は日常生活において頻繁に使用される。「この留め具は役に立つ」「この組織では役立たずはいらない」「いまは意味がわからないかもしれないけど、長期的には役に立つよ」といったように。 そのように多用される「役に立つ」概念だが、そもそも「役に立つ」とは何だろうか。この語が使用される文脈や背景を改めて考えてみると、実は話者によって「役に立つ」概念に持たせている意味合いが異なるように思われるのだ。 「役に立つとはどういうこ

理解するとはどういうことか?対象の本質を知識として理解することと、対象の本質を体験を通じて理解することの差異の考察

「私」や「読者のあなた」という「主体」が、言語(論理的推論)を通して「何か(対象)」を理解することと、感覚器官(感官)や体験を通じて「何か(対象)」を理解することの違いについて、簡単な考察を行うこととしよう。 対象を理解するとは、対象との距離を縮めることである人が何かを理解するということを、一体どのように理解すればよいだろうか? 端的に言えば、何かを理解するとは、その何かとの「距離が近くなること(距離を取り去ること)」である。 どういうことか。外国語学習を例に考えよう。

【FAQ】哲学とは何か?その内容と有用性の整理──哲学科出身者に捧ぐトークスクリプト

哲学好きな人で、哲学を知らない人からよく聞かれる質問に対しての切り返しフレーズをまとめました(随時更新)。 質問:哲学って何するの?切り返しフレーズ※まじで1ミリも哲学知らない人向け 「ソクラテスとかニーチェとか聞いたことあるかもだけど、そういう哲学者って呼ばれている人たちの本を頑張って読むってことかな。オレは〇〇(例:ハイデガー)って人が専門だから△△語(例:ドイツ語)で読んだりもするよ。あと、最近だとAIが人類に与える影響とか、環境問題とか、人間の意識って何?とか、そ

QRコードと哲学的ゾンビ:医療システムの合理化と人間のモノ化

極端にスムーズな健康診断の現場最近受けた健康診断は驚くほどスムーズに進行した。その妙な効率性が気になり、この記事を書くことにした。私の所持している保険証にはQRコードがついており、それを各診断を受ける前にバーコードリーダーに読み取らせることでその診断を受けたことが記録される。まるでゲームのセーブポイントを辿っているかのようだ。 振り返ってみれば、その健康診断はWebサイトでの申込から「お疲れ様でした」と言われて岐路につくまでの間、徹頭徹尾”合理的”であった。ここで言う合理的

”難しい”とはどういうことか?認知科学、市場経済、教育など多様な視点から考察

はじめに:そもそも「難しさ」とは何を意味するか?素朴な問い:「難しい」とはどういうことか? 日常生活で「難しい」と感じるタイミングは皆さんもよくあるのではないでしょうか。「難しさ」を感じる事柄は人によって様々であり、例えば数学の問題が解けない時であったり、新しいスキルを習得しようとした時、あるいは人間関係の摩擦に直面した時など多岐にわたります。 しかし改めて考えてみるとこの「難しい」とは一体何でしょうか。 この語は様々な文脈で使用されるため、日常的に利用される用語なのに

ChatGPTが知的生産に与える影響とは?ChatGPTと人間がそれぞれ考えてみた

近年人工知能(AI)技術が急速に進歩しており、知的生産にも影響を与えています。特にOpenAIによってトレーニングされた大規模な言語モデルである「ChatGPT」は、知識創造や活用において非常に重要な役割を果たすことが期待されています。 本noteではChatGPTが知的生産にもたらすメリットやデメリット、人間の知識とのバランス、今後の展望について解説します。 ChatGPTとは?ChatGPTは、Transformerという深層学習モデルを採用した言語モデルです。大量の

哲学とは何か──住むこと、語ること、問いかけること

ここに「すべて」を書いたつもりです。 1. はじめに 哲学とは何か──この問いを、全くの無前提な状態で問うことはできない。哲学とは何かという問いに答える(応える)ためには、その問いに答える者(応える者)が既に有している「哲学」に対する理解がなければならないのである。哲学とはある種の思考活動だと⾔うことができるが、何について、またどのように考えれば「哲学的な思考」と⾔うことができるかは、思考する者の哲学への態度にかかっているのである。つまり、哲学をしつつ、当⼈はどのように世界

どうして言語は一つではないのか──ベンヤミン&デリダと考える「翻訳」

どうして言語は一つではないのでしょうか? (もし言語が一つだったら、人類のいざこざ少なくなると思うんですよね。) 言葉をしゃべると言えばしゃべるんだけど「違う言葉」をしゃべってるよねという謎について、今回はベンヤミンとデリダの翻訳論から、次回はチョムスキーとピンカーの言語起源論から考えてみたいと思います。 聖書の創世記の「バベル」という出来事どうして言語は一つではないのか? 聖書では言語がバラバラな理由が創世記の「バベル」の物語によって説明されます(この時点で西洋の匂いぷ

「幸せって何?」(三大幸福論、古代ギリシア・ローマ&仏教、キリスト教、椎名林檎とシェイクスピア)

(一応前回の続きですけど今回だけでも読めます🙂) 三大幸福論世の中には「幸せって何?」という問いに応えるための議論、いわゆる幸福論と呼ばれる議論が数多くあります。その内容は、論じる人によって様々です。 (西洋)哲学で幸福論といえば、アラン、ラッセル、ヒルティの幸福論が有名です。まずはアランとラッセルの幸福論を紹介したいと思います。 アラン「常識ある立派な立ち振る舞いができたらいいよね」身体の健康を保とう 身体の健康に注意したうえで心を平静に保つように努力すれば、たいて

「幸せ」って何?(幸福について問うとき、幸福の分類)

今回と次回の記事では、「幸福とは何か」ということについて検討します😊 今回は、人が幸福を問題にするときとはいつかということと、幸福の便宜的な分類を示します。 次回は、哲学の三大幸福論と言われるアラン、ラッセル、ヒルティの幸福論の検討をします。くわえて、古代ギリシア・ローマの思想と仏教&キリスト教、さらにはシェイクスピアと椎名林檎まで触れて、僕なりの「幸福観」を提示します!(カオスですね笑) 幸福を問うとき人は幸福であるとき、おそらく「幸福とは何か」と”切実に”問うことは

問うことが「自分にとって」何よりも重要である理由

問うことができるという特権人は、問うこと(Fragen)ができます。対して、人間以外の存在者(Seiende)は問うことができません(ここでの存在者とは、事物的存在者=モノだけでなく、人間以外の生命体も含みます)。問うという可能性に開かれているという点で、存在的な優位(ontischer Vorrang)が人間にはあると言えるのです。 問いの経験による変容問う者(die Fragenden)は、問われるもの(問いの対象:das Gefragte)との関係において変容します。

呼吸とは生命の営みであり、そして世界を開示する──テッド・チャン「息吹」から

このページを目にした「あなた」も(つまりこのページを読もうと意識した人だけでなくタイムラインで一瞬このページを目にした人も)、この記事を書く僕にも、現にいま、ある場所で必ず呼吸をしている。人間の生には、不可避的に呼吸という運動が含まれる。 人間は、意識的存在者ないし理性的存在者である前に、呼吸する存在としてまず存在していなければならない(眠っている間、物心つく前などは、自己意識がなくとも呼吸する存在者として存在しているだろう)。 けれども、おそらく多くの人は「呼吸」をふだ

開いている門には入ることができない──フランツ・カフカ「法の前で」(原題:Vor dem Gesetz)──

何か思い悩んでいる人の話を聞くと、実は本人が既に解決策に気づいているということがあります。そのことを指摘すると、 「そう、わかってるんだけど」 という言葉が漏れるのです。 「当人がわかっているにもかかわらず、行為できない、言い換えれば今いるところから進むことができない」という事態は、一見「不合理」であるように思われます。 けれども実は、彼(彼女)は、法(道理)の前で立ちすくむという仕方で、論証的思考の限界の経験をしているのです。 この、「法(道理)の前での経験」を、