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2月23日(日)話のオチ

インターネットはエピソードトークの一大ムーブメントを迎えている。人は皆、自分の経験を誰かに話したくて堪らないのかもしれない。が、本稿において提起する問題はそこではない。

問題はタイトルの方だ。文章であれ漫画であれ、『○○な私が〜〜した話』のようなタイトルばかりが目に付いて仕方がない。創作表現をしようという人が、自ら杓子定規に適応しにいっていて、良いものが生まれるのだろうか。

例えばお笑いの世界に視点を転じてみよう。エピソードトークの要はオチである。有名な番組なら『すべらない話』、その他のトーク番組でも、オチが見えるような話し方は上手な人のすることではない。

「オチ」とは、物語における起承転結の「結」と同じだ。

起承転結が最初から分かっている物語ほど、つまらないものはない。もしもその物語自体はきちんと面白かったとしても、ネタバレすることで面白さは半減するであろう。

物語の楽しみの半分は、「どんな話なんだろう?」「面白いかな?」「つまんなかったらやだな〜」と、想像を巡らせてワクワクする体験だ。もしもお金を払って観た映画がつまらなかったとしても、つまらなかったという体験自体が楽しみでもある。

『○○な私が〜〜した話』といったタイトルの付け方は、読み手や聞き手から、ワクワクする楽しさや、想像という体験を奪ってしまうのではないだろうか。

映画といえば、外国映画を日本に輸入配給する際、国内版のポスターデザインが本国と全く違う……とか、邦題が全然違う……と、話題になることがある。

『パラサイト』のポスターもそうだった。

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本編については観ていないので語ることはできないが、ポスターから受ける印象については語ることができる。前者と後者とでは余白の量が全く違う。後者は情報でぎゅうぎゅう詰めで、視線の流れがなかなか写真に辿り着かない。

日本版ポスターの右側にはあらすじが書かれているが、『○○な私が〜〜した話』とやっていることの根本は同じで、誰が何をするのかが示されている。

本国版の無味乾燥としたポスターだけを見た場合、「どういう話だろう、左側の脚はなんだろう、目の横線はどういう意味?」と、想像することができる。

しかし、日本版を初めに見てしまった人は、「失業中の一家が豪邸で仕事を得るのかな?」と、ある程度の予測が付いてしまう。サブタイトルに『半地下の家族』と付けてあることで、観る側は「失業中の一家は半地下に住んでいる」という情報にも気付けてしまう。

それ以外にも気になることはたくさんある。同じ物語を見てもどんな感想を抱くかは人によるのに、エンターテイメントだとか予測不能だとか書かれていて、「あなたはこんな感想を抱くであろう」と予め示されていることや、その他、デザイン自体を変えてしまっていることなど。

観る側としてはショックである。「日本の視聴者はこんなもんって思われてるのか……」とか、「作り手に信用されてないな……」と思える。もっとはっきり言えば、「舐めてます?」という感じだ。

作り手はもっと受け手を信用していいはずだ。情報を供給すればするほど、受け手は自分で考えることをやめてしまう。そのうちに考える力自体も失われてしまうかもしれない。

同時に、作り手が受け手を信用できなくなってしまったのにも、何か理由があるはずだ。

SNSで過剰に批判されるから?
クレームばかり届くから?

その原因ははっきりとは分からないけど、考えていきたい。

そして、みんながもっと自由に考えること自体を楽しめる世の中になれば良いな、と思う。まずは自分の作品から始めていこう。



【できごと記録】

真面目な文章はつかれるーーーーー

つかれて尻すぼみな文章になってしまった……

病気の症状で脳機能が低下しているので、病前よりずっと文章が下手になってしまった。これ以上複雑な思考をすることができない。

以前見たうつ病特集の番組では、うつ病を克服したプロ棋士の方が紹介されていた。うつ病になると、昔はさせていた将棋がさせなくなり、小学生レベルの詰め将棋すら分からなくなったらしい。

この体験を綴った本は、医師目線でも分析に役立ったのだとスタジオゲストの医師が語っていた。

私の脳も、将棋のような分かりやすい指針はないものの、似た状態にある感覚がする(私はうつ病ではなくて筋痛性脳脊髄炎です)。

特に発病直後は文字が読めなくなってしまって、蟻の行列に見えていた。言葉の切れ目を探すのが難しくて、頭がクラクラして理解ができなかった。

日本語でも大変だったけど、英語では特にそれが顕著だった。病前は英語でのチャットをよくネイティブの友人と行っていたが、英文が全く読めなくなって、連絡しなくなった。

英語の映画やドラマも、聴くだけでも脳の負担になるので視聴をやめてしまった。昔は字幕なくてもある程度理解できたのだけど……

それを考えれば、2年近く経った今、最初の頃よりは少しは調子が良いのかもしれないな。

後は『蛍草 菜々の剣』というドラマが本当に面白くてわくわくしています。



HAPPY LUCKY LOVE SMILE PEACE DREAM !! (アンミカさんが寝る前に唱えている言葉)💞