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ハゲが好きだ、というだけの話。

今から私が述べるのは、ルッキズムに物申すとか、その手の高尚な話ではない。むしろ逆にルッキズム全開な一個人の性癖であり、よってこの先の文章では、該当する方への失礼を承知で「ハゲ」という単語を連呼する。予めご覚悟いただきたい。

その上で、言う。
あまり世の中で主張する人を見かけないので、あえて声を大にして言わせてもらう。

私は、ハゲが好きだ。


初恋の人が野球部で、中学時代にときめきながら坊主頭を眺めていたせいかもしれない。
学生時代から社会人まで、なんだかんだ7年近くも付き合ったり別れたりしていた彼氏が斑状脱毛症――要はまだらハゲで、それを気にしてカツラを被ったりバンダナを巻いたり帽子を手放さなかったりしたのを、社会人になるタイミングで何とか説得して私の手でスキンヘッドに刈った、なんて経験のせいかもしれない。
今も最愛の男性がハゲで、坊主頭にしているせいかもしれない。

だが私のこれまでの半生で、3人もハゲ及び坊主頭の男性に恋をして追いかけ回し、「そうでなかった男性」よりも格段に賞味期限の長い恋愛を経験したことを考えても「私はハゲが好きだ」と叫ぶ権利はあると思う。

特筆すべきは、私から見て彼らは全員「最初から」ハゲまたは坊主だったという点である。初めはフッサフサでサラッサラの髪型だったのが、付き合いが長くなり、情が沸いた後でハゲまたは坊主になったのを許容した、という話ではない。
私はハゲまたは坊主の彼らと知り合い、恋に落ち、世界で一番カッコいい髪型は坊主頭、それもスキンヘッドから五分刈りまでであると強く信じるに至った。

無論、好みの問題だ。私の過去の友人の中には、「どんなにイケメンでもハゲはないわー」などと言い放つ不届き者も存在したが、世の中には処女や巨乳にしか人権を認めない男性がいるのと同じレベルの話である。彼女のような人が存在するのも、非常に残念ではあるが認めなければならない。
だが私は彼女のような発言を見かけると戦争を仕掛けたくなるぐらいには、単純に純粋にハゲが好きで、というか坊主頭が大好きだ。

坊主は、美しい。

近所のお寺の住職の一家は全員が名実ともに坊主なわけだが、推定90代の先代の住職、60代の現住職、40代の次代の住職、3世代揃って目を潤してくれる、実にイケメンな坊主達である。
そのお寺では剣道の道場も開いており、現在私の息子は週に1度、そこに通って剣道を教えてもらっている。送り迎えは母が行っており、私がこの住職一家を目にする機会はごく稀ではあるのだが、それでも大会などで彼らを目にすると、冗談抜きで毎回後光が差して見える。マジでカッコいいのである。

何度でも言う。

坊主は、美しい。


ハゲていようがいなかろうが、頭の形が丸かろうが四角だろうが、全日本人男性が坊主頭になってくれるなら、私はスーパーに一回買い物に行くたびに、5人ぐらいずつ恋に落ちるかもしれない。それはそれで困るような気もしないでもないけれど。

近年、額の生え際のM字の山が深くなってきた私の夫は、残念ながら中途半端なツーブロック……らしき、私の目にはコボちゃんにしか見えない髪型にしていて、誠に遺憾である。潔く坊主にすればいいものを、何故わざわざコボちゃんにしているのか。
――と言ったら最後、本気で立ち直れないのかもしれないので、武士の情けで放置しているが。本当は今すぐにでも言いたい。

男なら坊主。坊主が至高。これは絶対正義である。


私も男に生まれていたら間違いなく坊主にしていた。学生時代に一度、夏場のあまりの暑さに耐えきれず、美容院で「暑いので坊主にしてみたいんですけど~」と言ってみたことがあるのだが、男性美容師さんに半笑いで「いやいやまさか」と封じられ、ショートカットで諦めたのが20年経った今もちょっと心残りだ。
まぁ今からでも美容院に行って本気で言えば、やってくれないこともないのだろうが、何かと隙を見ては私に「ママも頭にリボン付けたら可愛いと思うぽよよ?」とアニメ的巨大リボンをおススメしてくる息子を思うと、流石にちょっと踏み切れない。だが、死ぬまでには一度やっておきたいものである。坊主。

そういう訳で、もしこれを読んで下さった男性で、坊主頭にするかどうか迷っている方がいたら、是非とも坊主にして欲しい。世の中に坊主頭の男性が一人増えれば、それだけ私が幸せになれる。それがあなたにとってメリットかどうかはともかくとして。

そして世の女性に伝えたい。
坊主は、良いぞ。


清潔感に溢れ、「男らしさ」を十二分に感じられ、更に撫で心地も最高。整髪料の妙な臭いもする余地がないし、耳の後ろから出ると噂の加齢臭だってケアしやすい。実用性に優れ、雰囲気イケメンにも騙されない、生物としての男性の魅力を直に感じられる最高の髪型だ。
男の真価を測りたければ、まずは坊主を見るべきである。

全男性よ、坊主であれ。

っていうか、いっそ全員ハゲろ。そうすれば世の中が坊主だらけになる!!

と、少々乱暴に私の願望を述べたが、これは断じて呪いではない。祝福である。コンプレックスだなんて、とんでもない。ハゲは、坊主は、顔の造作や身長の高低や体形の細い太いなど瞬時に粉砕できる、これ以上ないチャームポイントである。少なくとも私にとっては。

私は、ハゲが好きだ。

もうただそれだけを叫んで、この文章を終わりにしようと思う。


大分前から下書きに眠っていた記事で、こんな私の性癖をただ叫ぶだけの文章、誰得なんだよ……と冷静な私によって公開を躊躇っていたものですが、青豆ノノさんの素敵な記事で、「性癖を暴露する自体に意味があるらしい」と勇気づけられたので公開します。
ついでに言うと私の性癖の2番手は「スーツ萌え」で、イケメン度補正は坊主が2.2倍、スーツが1.4倍ですが、坊主の良さとスーツの良さは両立が難しいのが悩みどころです。

なお引用させて頂いた記事は、真摯に体への考察を表現された文章なので(私の記事まで素敵に紹介して下さってありがとうございます!)、私のこの記事の中身やテンションは、何としてでも丸ごと全部忘れてからお読み下さい。

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