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「今からめちゃくちゃ面白い話をしますね」と「うちの地域最高なんですよ」は少し似ていてちょっとドキドキする

旅先を探していた時、「うちの地域、最っ高なんですよ!」とその地域を案内してくれる担当者に事前にテンション高く言われると、ありがたく思いつつも、なぜか不安と似た感情の「ドキドキ」を感じてしまう自分がいた。

「うちの地域ってホント何の魅力もなくてつまらないんですよ」などと言われるよりはもちろん心は弾むのだが、
なぜ「最高だよ!」とPRされてドキドキしてしまうのか、理由はずっと分からずにいた。

そのせいか、滋賀に来て地域活性化事業に携わっている今も「私たちが住んでいるまちって最高だね」と身内に話すことはあっても、
自ら外に向かって「滋賀って最高なんですよ!!ほらほら!」とあえて言うことはあまりない。

ほんと、何でなんだろうとずっと思っていた。
どの地域にも言えることではあるが「人によっては良いところだけじゃないよ」ということも知っているから、とかでも別にない。

自分は地域愛がないのか?
よそから来た者という負い目があるのか?
ただただひねくれているからか?(それは否めない)

色んなことを思っていたけれど、最近まさしくこの感情かも、と思ったことがある。

それが、

「聞いてくださいよ。この前、めっちゃくちゃ面白いことがあって…」

とすでに思い出し笑いをしながら、もう面白くって笑いが堪えきれないという感じでテンション高く話しかけてくれる人と出会った時の感情だ。(ちなみに私もよくやる!)

私の場合だが、この手の話にドキドキする理由は

・この人が笑ってほしいポイントでちゃんと私は笑えるだろうか。
・笑いのポイントが合わず、私にとっては驚くほどつまらない話だったらどうしよう。愛想笑いをするしかないか…?
・待てよ、愛想笑いを果たしてうまくできるのか自分!
・愛想笑いをしたはいいものの、愛想笑いだとバレたらこれは悲惨だぞ…。
・こんなに堂々と「めっちゃ面白いことがあった!」と主張してる人に、「え、全然笑ってないけど、もしかしてこの面白い話がつまらなかったの?」などと微塵も感じさせたくない…!
・なぜならこの人は、いい人だから!!へんに傷つけたくないし…!

などと一瞬のうちにグルグルと考えてしまうからである。
仲良くなれるかどうかの岐路とすら思えてしまうこともあるんだから、なんとめんどくさい。

気心知れた仲ならツッコミもいれられるが、相手が知り合ってまだ日が浅い人で、かつ、いい人であればあるほどツッコミなどはいれられない。
だって、これからこのいい人と仲良くなりたいと思っているのだから。

もしかしたらこれかも。そう思ったのだ。

旅を通して多拠点居住先を探していた私は、その地域の人と仲良くなって、今まで知らなかったその地域を好きになりたかったし、地域を好きになって暮らしていけそうかどうかを知りたかった。

その地域を良く知っていて地域愛がある人と仲良くなれたら、その地域のことをもっと深く知れる。

そして大体そういう方はすごくいい人なのだ。

そんないい人が、テンション高くおススメしてくれるポイントはすべて好きになりたい。
けれど、同じテンションの「好き」を求められているような気がして、一生懸命ススメてくれているのに同じくらい好きになれなかったら傷つけちゃうような気がして、ゴメンねと思ってしまう。

そして結局、本当は色々教えてほしいけど、自分でゆっくり「好き」を見つける旅を選んできたような気がする。

案内してくれる人が同じ「好き」を求めていないことも分かるし、ちょっとでも興味を持ってくれたら嬉しいと思ってくれていることも分かるのに、案内してくれる人の「好き」を大々的に羅列されるとウっとなっていたのだ。

なんだか恋愛論みたいになってきた。

案内をしてくれる人がテンション高く教えてくれる地域の最高に面白いポイントが、自分と差があっても全然いい。

「ほら、最高でしょ!?面白いでしょ!?」も、グイッと引っ張ってくれそうでいいのだが、個人的には

これもある。これもある。これもある。これはない。これはある。それはない。細かいのでいうと、こんなんもある。で、自分はそん中ではこれとそれが好き。しかも結構好き。あ、好きなポイント1つ一緒でした?それはよかった。じゃあ特別にこんな情報も。

そんな風に、ポイントを一緒にみつけて、そこからテンションを一緒にあげていけたら嬉しいと思うのだ。

やはりこれは恋愛の話なのか…?
いつも通り、何の話がしたかったのか分からなくなってきた。

つまり、

「これからめちゃくちゃ面白い話をします」も、この前フリさえなければ私のような人間を変にドギマギさせずにすむのだから、

もしかしたら

「これから最高すぎる私の地域を紹介します」も、この前フリさえなければお互いに変なハードルをなくすことが出来るんじゃないかとふと思ったのだ。

ナチュラルに、徐々に仲良く、長く仲良く居続けるために。
お客様と、迎える側にしないために。
ヒントはたくさん出すけれど、「最高」な部分は、これから探す側にその楽しみを残しておこうよ的な。
そこがもしも一緒だったらより最高だよね、みたいな。

歯切れが悪い理由は、つまりこれはですね、私のような一人を無駄にドギマギさせないために、「滋賀最高!!」と声を大にして言うことを私は控えているわけでして(モジモジ…)という、誰にか分からない言いワケ話だからかもしれない。

おわり。

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