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生い立ちの記

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#死

【生い立ちの記】10 死

【生い立ちの記】10 死

10

幼過ぎて
人が死ぬということの意味は分からなかった

ただ突然母が居なくなったことと
新しい生活が始まったことは分かった

あの時の私は
寂しいとか、悲しいとか、
感じていたのだろうか
もう覚えていない

ただ、夜が怖くて
寝るまで父に手を繋いでいて貰ったことは
覚えている

【生い立ちの記】7 母のお葬式

【生い立ちの記】7 母のお葬式

7

母のお葬式の記憶は少しだけ残っている

私は兄と葬儀場でたくさん遊んだ

色んな大人が集まっていて
なんだかお祭りみたいで楽しかった

沢山の人が
優しく、時に泣きながら声をかけてくれる

ただ
「おかあさんの分まで頑張って」
という言葉は
子どもながらに
不思議で
重たくて
苦しかった

【生い立ちの記】6 母の死

【生い立ちの記】6 母の死

6

そこから先の記憶は残っていない

聞いた話によると
結局
兄が祖父母に電話をかけて助けを呼んだらしい

母は病院に運ばれた

そして

亡くなった

脳梗塞だった

【生い立ちの記】3 あの日のこと

【生い立ちの記】3 あの日のこと

3

記憶にしっかりと残っている
自分の人生の最初の場面

それは多分
母が亡くなったあの日のこと

その日、
兄と私が起きたら
父はもう居なくて
母はまだ寝ていた

兄と二人で遊びながら
母が起きるのを待つ

お腹が空いてお菓子を食べた
けれど母はまだ起きてこない

その内、
ドーンドーンと大きな音が聞こえた
何の音か分からなかった

そして母がやっと起きてきた

でも
いつもの母とは違っていた