マガジンのカバー画像

生い立ちの記

21
運営しているクリエイター

2024年2月の記事一覧

【生い立ちの記】6 母の死

【生い立ちの記】6 母の死

6

そこから先の記憶は残っていない

聞いた話によると
結局
兄が祖父母に電話をかけて助けを呼んだらしい

母は病院に運ばれた

そして

亡くなった

脳梗塞だった

【生い立ちの記】5 電話

【生い立ちの記】5 電話

5

子ども心に
これは只事ではないと感じていた

兄が
「電話をかけて助けを呼ぼう」と言った

私は…

それを止めた

いつも
電話は子どもだけで勝手に使ってはいけない
と言われていたから

この行動が
色んな人の運命を変えた

そして
私は今でもこの行動を悔やんでいる

きっと死ぬまで悔やみ続ける

【生い立ちの記】4 音

【生い立ちの記】4 音

4

聞こえていた大きな音の正体
それは母が壁にぶつかる音だった

フラフラと
色んなところに勢いよくぶつかりながら
兄と私には目もくれず
トイレへと向かう母

いつもと違う母の様子に
私は怖くなって寝転がった
ひたすら天井を見ていた

やがて音が止み
母の苦しそうな声が聞こえてきた

【生い立ちの記】3 あの日のこと

【生い立ちの記】3 あの日のこと

3

記憶にしっかりと残っている
自分の人生の最初の場面

それは多分
母が亡くなったあの日のこと

その日、
兄と私が起きたら
父はもう居なくて
母はまだ寝ていた

兄と二人で遊びながら
母が起きるのを待つ

お腹が空いてお菓子を食べた
けれど母はまだ起きてこない

その内、
ドーンドーンと大きな音が聞こえた
何の音か分からなかった

そして母がやっと起きてきた

でも
いつもの母とは違っていた

【生い立ちの記】2 あの春

【生い立ちの記】2 あの春

2

昭和の終わり頃

私は多分、一般的な家庭に生まれた

フツーの家庭に生まれたフツーの子

多分そうだった

勿論、幼い時の記憶なんてもう無い
第二子だった私はすんなり生まれてきたらしい

兄の後を追ってヤンチャをする妹
大きな問題もなくフツーに育った

4歳のあの春までは

【生い立ちの記】1 ドラマチック

【生い立ちの記】1 ドラマチック

1

誰の死にもドラマがある

死はいつだってドラマチックなのだ

それは感動の物語だったり
悲劇的だったり
退屈でありきたりだけど幸せのかたまりだったり

あの人たちの物語はどんな風に結論付くのだろう

私の物語は?

【生い立ちの記】0 プロローグ

【生い立ちの記】0 プロローグ

0

これは
私の生い立ちの記。

ノンフィクションだし
フィクションでもある。

とある1人の人間のこれまでのおはなし。