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3種類のロイヤルティで一番重要なものは?

ロイヤルティというワードは近年、ビジネス用語としてあたりまえに使われるようになりました。しかしながら、企業の方とロイヤルティの議論をすると、各々の立場での違いにより視点が大きく3つあることに気づきます。

経済ロイヤルティ
まず最初が、「経済ロイヤルティ」です。お客様がどれだけ経済的に自社に対して貢献していただいているか、という視点です。平たく言うと、「どれくらい自社商品を購入していただいているか」が基準となります。経済ロイヤルティは企業収益に直結している分かりやすい定義ではありますが、極めて企業目線です。自社にとってありがたいお客様こそがロイヤルティが高いお客様という視点は、顧客目線ではありません。この視点で話される方は、現場から離れているマネジメント上層部の方に多いように思えます。

行動ロイヤルティ
次が、「行動ロイヤルティ」です。経済ロイヤルティがお客様の購買金額に注目することに対して、行動ロイヤルティはお客様の企業に対するアクションに注目します。具体的には来店頻度や回数、自社のホームページへのアクセス頻度や滞留時間、イベントへの参加回数、自社商品・サービスの利用頻度等が基準となります。マーケティング担当の方は、この定義でロイヤルティを測っていることが多いように思えます。しかし、本視点も経済ロイヤルティほどではありませんが、企業目線での考えといえます。


小売業の世界では、RFM分析という手法で顧客ロイヤルティを測ることが通常に行われています。RとはRecencyの略で、直近いつ来店したか、FはFrequencyの略で、一定期間で何回来店したか、そしてMはMonetaryの略で、一定期間での購入金額です。このRFM分析をロイヤルティ定義に当てはめると、RとFは行動ロイヤルティ、Mは経済ロイヤルティの位置づけになり、いずれも企業目線でのロイヤルティの定義です。

心理ロイヤルティ
では、顧客目線のロイヤルティの定義はどういうものでしょうか。それが、「心理ロイヤルティ」です。お客様の企業に対する感情を指標にしたものです。お客様が企業あるいは企業の商品とずっと付き合いたい、使い続けたい、買い続けたい、推奨したい気持ちであり、企業や商品に対する「愛着度合い」で判断します。そしてロイヤルティマネジメントでは、この心理ロイヤルティが最も重要になり、他の2つのロイヤルティとの関係性を理解しておくことが重要です。

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LTV向上には心理ロイヤルティが最重要となる
昨今、LTV(ライフタイムバリュー)の重要性が高まってきています。直近の商品主体で売上を目指すのではなく、一人のお客様が生涯にわたって自社のお客様になって買い続けていただく、使い続けていただくための価値を高めていこうという考え方です。
このLTVを伸ばすためには心理ロイヤルティが最も重要となってきます。経済ロイヤルティと行動ロイヤルティをの向上を狙った施策は、セールやキャンペーン、ポイント倍付といった、直近の売上拡大寄与には有効ですが、LTV向上には縁が薄い施策です。
セールやキャンペーンでお客様との接点が増えることは重要ですが、せっかく接点が増えたことを好機として次はLTVにつながる心理ロイヤルティ向上施策をうっていくとが重要です。「行動ロイヤルティが向上し経済ロイヤルティに影響をあたえたので、このキャンペーンは成功」ではダメです。次は心理ロイヤルティ向上のための施策をうつ必要があります。

心理ロイヤルティ向上は顧客体験向上施策
心理ロイヤルティ向上につながる施策とは、一過性のセールやキャンペーン施策ではりません。お客様とのタッチポイントで素晴らしい顧客体験を提供することです。探している商品を見つけやすい、比較しやすい。分からない時に手助けしてくれる、配送の手段が多様化されている、返品に喜んで応じてくれる、買った商品の使い方を教えてくれる、ブランドの世界観を堪能する暮らしが実現できる、等の一見地味で息の長いスパンでの施策をうっていく必要があります。

心理ロイヤルティを向上するPDCAを回すことが最も重要となります。

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