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【読書記録】烏百花 蛍の章(阿部智里)

【あらすじ】
「どうあったって、成就することのない恋だ。さっさと諦めて、楽になってしまいたかった」ー身分違いゆえに深く秘めた想い、愛する人の窮地を救うための切ない嘘、自らの命をかけた覚悟の恋が、異世界「山内」の歴史の流れの中で宝石のようにきらめく。大ヒットファンタジー「八咫烏シリーズ」本編では語られなかった、あの人の物語。(あらすじより)

【感想(ネタバレあり)】

これはもうこのあらすじからして、澄尾と真赭の薄のエピソードだろ!という感じなんだけど、読み通り最初のエピソードと最後のエピソードに2人の話が出てきて、それが一番よかったな。

最初の「しのぶひと」はとにかく切ない。澄尾は平民ながら武術面においてとっても能力があるけど、一方で身分の違いをわかりすぎるほどわかっちゃってる。でも、それで誰かを妬んだり自分を卑下することなく、生まれ持った能力をどう武器にして何のために使うか考えられる人。一見、達観してそうだけど、悔しいという気持ちが最後の台詞に現れていて、澄尾おまえ、やっぱり悔しいよね、嫌われてもいいから幸せになってほしいだけなのに、それすら許されないなんて、でもそれができるなんていい男〜〜となった。

最後の「わらうひと」は澄尾と真赭の薄の和解エピソードとも言える作品。自分に告白しておきながら、断られてもどうでもよさそうな澄尾に真赭の薄はやきもき、もやもや、いらいらするわけだけど、あの告白は澄尾のけじめでしたもので振られることは折込ずみだから返事はどうでもよかったのであって、真赭の薄のことがどうでもよかったのではないこと、むしろ澄尾がなにをしようが真赭の薄は損なわれることがない強くて美しい女だという想いがあってのことだということがわかって2人は和解する。真赭の薄の態度も随分柔らかくなって、このまま2人がくっついたりするのかな、と思いつつ、そこはお互いを信頼し合った付かず離れずの関係でいてほしいという気持ちもあったり…ここらへんはもう完全に自分の趣味。でもくっつくくっつかないは関係なく、いつか、澄尾が流鏑馬をできるまでに回復して、それを真赭の薄に見せて、改めてやっぱこいつはいい男だと再認識しててほしい!

他の「すみのさくら」は浜木綿が幼い頃に若宮と出会ったエピソード。浜木綿が若宮を助けてやりたいと思うようになった理由がわかる。

「ふゆきにおもう」は雪哉の産みの親である冬木と育ての親である梓のエピソード。雪哉の賢さは産みの親譲りなんだな〜最後、迷子の雪哉たちを届けてくれたのは若宮なのかな?若宮と雪哉って何歳差なんだろう?もともと八咫烏の寿命がわかんないから、人間と同じスパンで考えていいかわかんないけど…

外伝楽しいので、無限に読みたい〜確かあと1冊出てるはずだから、折を見て手に入れなければ。

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