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【#Real Voice 2023】 「清算し、前へ。」 1年・関紀信

私は世界で1番の弱者である。でも、弱さを自覚した弱者は勝者になれると本気で信じている。

サッカーを始めて今年で13年目。地元のチームで始め、中学のころは三菱養和調布JYでサッカーをした。ユース昇格は叶わなかったものの、早稲田実業へ進学をし、サッカーを続けた。
改めて振り返ると、順風満帆なサッカー人生だったと思う。全国大会に出たことはないものの、東京都選抜や国体に選ばれることもあり、多少なりとも自信があった。
ユースに落ちた際も不思議と自信を失うことはなかった。



しかし早稲田実業(以下早実)での3年目、キャプテンとして臨んだこの2022年が最も色濃く、強烈な1年間だった。

その年、私は人生で初めて挫折をした。
「俺ってこんなもんだっけ。こんなになんにもできないっけ。」
自らの弱さと非力さを思い知らされた。

新人戦1回戦敗退
インターハイ2回戦敗退
選手権予選1回戦敗退
東京都1部リーグ降格

最悪な1年。正直苦しかった。
夏が終わったころ、なぜ私は苦しんでいるのか。なにに苦しめられているのか。その原因を考えた。

シーズンはじめに怪我をし、満足にプレーできなかったから。
結果を残せなかったから。
怒られるから。

どれもしっくりこなかった。

私は

「自分の弱さを必死に隠そうと取り繕っていたから」

これが窮屈に感じている原因だと気づいた。

「プライドを捨てろ」

よく監督が私に向けて言っていた言葉だ。
はじめに聞いた時は意味が分からなかった。プライドを賭けて戦うんじゃないの?って。

私はこの言葉を弱者用の言葉だと解釈する。
能力がないから、実力がないから道を踏み外すし、多くの間違いを犯す。
プライドを持っていると、その踏み外した道から戻る術はない。
プライドが邪魔をするから、間違いを認め、別の道から再出発することが出来ないのである。


私はこの1年間、道を踏み外したことに気づいていなかったのか。あるいは道を踏み外したことに気づくのが怖かったのか。自分でもよく分からない。でも、多分プライドを捨てられなかったから苦しかったのだ。強者として、勝者として生きようとしていたから、そのギャップを必死に取り繕っていた。

結局その1年間は結果が出せなかった。なにも変われなかった。
口先では、チームのために100%を出すと言いながらも、現実から逃げた。キャプテンなんか性に合ってないと言い訳もした。

これが私。


でも、良かったこともある。

藻掻いたこと。これが私の財産。何もうまくいかなかったからこそ、地道に努力することは怠らなかった。

しかし、苦しみながら努力を続けるうちに、努力さえしていればいいのではないか、結果は出なくても、苦しんでいれば、誰にも文句を言われないのではないか。そう思うようになった。

真面目さを自分の保身に使った。

努力はしていた。でもそれは結果を出すためじゃなく、自分を守るため。


「私は弱者だ。それも世界で一番の弱者。」


早実のキャプテンを任せていただいた者として、この1年間の結果は決して「しょうがない」の一言で済ませてはいけないものだと思っている。
でも、1人の関紀信という視点から振り返った時、いつかはこのような経験をしていたと思う。
この1年間、最後まで変われず、結果をなに1つ残せなかった。きっと最後に結果が出て、実を結んでいたら、私はまた勘違いをしていただろう。この経験を高校3年生のときに出来たこと、その経験を今度はア式で形あるものにするチャンスが私にはあるということ。


これを無駄にすることは絶対にできない。



この4年間で、「世界一弱い勝者」を目指す。
「勝者」を目指しては、また道を踏み外し続ける気がする。






早くもア式にきて半年が経った。


「紀信がどんなに元気がないときも、俺は同じように接するから。」

ア式に入り数か月たったとき、同期が笑いながら言ってくれたセリフだ。
この言葉にどれだけ助けられただろうか。

ア式に来てからたくさん悩み、焦った。ひどく落ち込むこともあった。それでもグラウンドに行けば、いつもと変わらず接してくれる仲間がいる。本当に支えられているなと思う。

私を取り巻く全てが最高で、幸せだ。最高な環境だからこそ高みを目指したい。

今の私にできることは立派な目標を掲げることじゃない。そんなものは薄っすらとたまに思うくらいでいい。遠くのことを見据えたらすぐ足元をすくわれる。それが現状。
だから今はただ、目の前に全力を注ぎ、嫌なことから目を背けないこと。

「逃げないこと」

これが最低限の目標。



ア式にはさまざまな目標を持っている人がいる。みんなそれぞれ目標があり、それがエネルギー源だ。

果たして私のエネルギー源はなんだろうか。何のために日々頑張っているのか。サッカーをしているのか。ア式にいるのか。

『リーダーとして結果を残す』

これが私の人生のテーマである。

ア式では、寮外リーダーとして、リーダー的な視点が求められている。そのうちリーダーとして何が足りないのか、自分はどういうことができるリーダーなのかを考えるようになった。
向いているとは微塵も思わない。目指さないほうが楽な道なのだろうなとも思う。それでも私はリーダーとして結果を残すことにチャレンジしたい。
目指す理由は悔しかったから。高校ではダメダメだった。たくさんの人に迷惑をかけたし、失望させた。この経験を活かさなければ、自慢の仲間に囲まれたサッカー人生を振り返りたくなくなるかもしれない。

最後は仲間と笑って終わりたい。そのために「世界一弱い勝者」を目指す。
まだ変われてない。もっともっと前へ。



関紀信(せききしん)
学年:1年
学部:社会科学部
前所属チーム:早稲田実業学校高等部

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