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【#Real Voice】 「分身のどっちが正解か。」 4年・小林将也

正直に言えば
自分は一度役職に逃げた。
選手としての自分から逃げた。
 
ア式での4年目を迎えたとしても、何も完璧でなければ、自分の弱さや無力感さえも痛いほどに感じる。けれど、最後まで抗いたい。だから、書く。
 
自分の役職はアナライズチームリーダー。選手としてプレーしつつ、自チームの振り返りや次の対戦相手の分析を含む戦術的な内容のミーティングをしたり、練習メニューを構築したりと、いわゆるコーチ的な役割を担う。一言で言えば選手兼コーチのようなものだ。
 
シーズンが始まる前から、チームとしてどう戦うかを考え、チームへの落とし込みを進めてきた。
このチームのためなら何だってする。そう覚悟を決めてこのチームに向き合い、2021シーズンに臨んだ。
 
チームは関東リーグの全試合を終え、勝ち点30で5位フィニッシュ。インカレ出場権を獲得した。
 
自分もほぼ全ての試合に帯同した。選手ではなく、ベンチスタッフとして。
前期、後期通じて選手登録されるも、一度も関東リーグメンバー20名に入ることはなかった。
 
シーズンが始まる前に、学年で役職決めのミーティングがあった。
「選手としては何を目指すのか目標を聞いておきたい」
「選手としてぶらしてはいけないものを再認識して役職に就いて欲しい」
そんな意見が自分のもとに飛んできた。
アナライズはチームの振り返りや対戦相手の分析等で、自分を削っていくことになるから、確認しておきたいというのが同期からの意見だった。
「そんなことはない。関東リーグに出場して、チームに貢献する」と返したことは今でも鮮明に覚えている。
 
けれど、何も果たせてない。
 
これは持論だが、アナライズという役職は自分よりもチームを優先して思考を回し、行動していく必要がある。
どう戦うかを決めて指示を送る立ち位置。何よりも「チーム」が重要なのだ。
荒波の中を進む時に、腹が減ったからとのんびり飯を食っている船長はいないはずだ。きっと船を全力で守る。
 
「この役職はすごいでしょ」とか、「俺が導いてきたんだ」などと1ミリも言うつもりはない。これまで、チームのためにと考え行動してきたことを褒めて認めてもらいたいわけではない。他のチームメイト全員が戦っているし、チームを導いてきたのは全員だ。
 
ただただ、自分の弱さを吐き出したい。
 
7月まではIリーグ(30番目以降のAサブチームの公式戦)で試合にも出ていた。いかにしてトップチームに絡んでいくか、考えながらプレーできていた。得点やアシストも記録し、勝利の瞬間にピッチに立てた時が多かった。
 
8月以降、トップチームの方でトレーニングをするようになった。
 
それから10月、明治戦の週の頃には、選手としての自分は瀕死状態。
まあメンバーには入らないことが予測段階で確信できる、何にもパワーのない使えない戦士。
 
 
Iリーグにいた時もそうしてきたように、トップチームになっても、メンバー決めの過程では、その週のパフォーマンスをもとにコーチングスタッフとアナライズとで、話しながらメンバーが決定される。
 
自分もスタッフと共にメンバー決めの話をする過程で、トップチームで練習をしつつも、関東リーグ出場の資格がありながらも、メンバーの候補にもならない自分を見てきた。
 
それでもチームのために行動するのが自分のあるべき姿だと言い聞かせながら、役職に徹してきた。もちろんそれは必要なことだ。
 
チームのために。
本気で思っている。
当たり前だ。自分たちのチームだ。
自分たちのチームのために戦いたくない奴がどこにいる。
 
けど、それと同時に、そんな選手としての自分を見て
アナライズチームリーダーという自分の役職の裏に、選手という自分を隠していった。
 
正確に言えば、ある日決心してそうしたんじゃない。日々の活動を過ごす中で知らず知らずのうちに隠れていった。
 
徹してしまえば、楽だ。
 
みんなの前で約束した、苦しくても何とか選手としても食らいつくこと、関東リーグに出場することをいつの日か忘れ、役職に隠れた選手の自分は咎められることもなく、練習に取り組んでいた。
 
アナライズという役職からチームのために戦い抜こうと本気で思っていた。
何回も言うが、このチームのために考え、取り組む、というのはマジで思っている。
 
別に悪気があったわけでも、何か諦めたわけでもなかった。
 
出場できなくても良いから、このチームのために行動して貢献したい。
自分で言うのも変だが、そういう思いはきっと大事なことだ。
その思い全てをアナライズという役職に投資した。
 
けど、弱かった。ひたすら弱い自分がそこにいた。
今思えばそう思う。その時は気付いてすらいなかった。情けない。
 
10月17日の明治戦を終えた翌週、ある人に呼び出された。
自分は考えていたことや思いを全て話した。
「ならもう役職に徹するとみんなに伝えて、スパイクを脱いだ方が良い。」と言われた。
 
スパイクを脱いだ方が良い。
 
相当重い言葉だった。
 
もちろん、苦しさもあるのはわかる。
でもその苦しさに抗いながら、お前が選手としてもプレーするから、チームにパワーをもたらすんじゃないのか。
 
 
自分がこのチームのために出せる最大値がまだまだ上にあると気付いた時、それは自分の弱さに気付いた時。
何にも表現できない悔しさや、仲間への申し訳なさ、自分への怒り、いろんな感情が巡った。
 
それから1ヶ月弱が経ち、迎えた11月13日のリーグ戦最終節。ラストチャンスだと思った。何とかメンバーに入って貢献したいと必死にもがいた。
けど、自分は21番目のメンバー。メンバー入りは叶わなかった。
 
それでもチームはインカレ出場権を獲得した。なら、それが正解なのだ。
大事なのはチームがどうなったか、だ。
常にチームが何よりも大事。それは何にも変わらない。
 
だけど、絶やしてはならない炎が自分の中にある。
その炎を燃やし続けることが自分にできる最大のチームへの貢献だと信じている。
 
引退が近いようなこんな時期が来ていたって
 
まだまだ弱い。
 
まだまだ正解なんてわからない。
 
それでもあと1ヶ月、チームのために、そんな自分に抗うのみだ。


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小林将也(こばやしまさや)
学年:4年
学部:先進理工学部
前所属チーム:高崎高校




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