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【#Real Voice】 「ただ伝えたい」 4年・公文翔

このブログは、後輩達へのメッセージであると同時に、未来の自分に向けたメッセージだ。


noteなんてその時の感情や想いによって書くことは変化するだろうし、受け手の状況次第で読んだ後の感情も様々なはずだ。メッセージという以上「こう受け取ってほしい」というものは当然ある。でも、矛盾するようだけど、自分が思った通りに伝わらなくてもそれはそれで良い。

こんな組織だとは思っていなかった。こんな4年間は想像していなかった。圧倒された1年生、無力さを感じた2年生、もがき続けた3年生、天国と地獄を繰り返した4年生。ア式での4年間全てを詳細に書くことはできない。

ただ、引退という2文字が見え隠れしている今感じていることを伝えたい。
同期が、後輩が、未来の自分が、このブログを読んでくれた方々が、「何か」を感じ取ってもらえれば嬉しいです。



何も咲かない寒い日は 下へ下へと根を伸ばせ やがて大きな花が咲く

自分の4年間を考えた中で一番伝えられるのはこのメッセージだろう。

「関東リーグのピッチでチームの勝利に貢献する」
自分が、1年の最初に誓った目標である。

1年の時はゴールにカラーコーンが立っていると冗談で言われていた。とにかく自分より上手いGKの人達の動きを真似し続け、自分に吸収しようとし続けた。何百、何千というシュートを自主練で受けてきた。それでも、トップチームはおろかBチームの公式戦にも1分も出られなかった。それくらい、差は大きかった。

2年、3年は「なんで試合に使ってくれないんだ」「もっとチャンスをくれ」と思うことの連続だった。1年の時は差が開きすぎていたから感じていなかったけれど、実力が周りに追いついてくるにつれて、この感情は常に自分と同居するようになっていた。

4年になり、まさか関東リーグ開幕戦のピッチに自分がいるなんて、思い描いていたけど想像はできなかった。初出場の開幕戦の前後に鳴りやまない程届いたメッセージの1つ1つは本当に嬉しくて嬉しくて、一生忘れることはないだろう。

そこからもまた試合に出られない日々があった。一度試合に出てしまうと、出られない日々がそれまで以上に苦しくなる。それでも変わらずやり続けることができたからこそ、早慶戦のピッチに立つことができたのだと思う。



試合に出る、出ないなんて自分が決めることはできない。とにかく、辛い時ほど、苦しい時ほど自分が出来ることに集中して過程を積み重ねよう。こんな綺麗に書いているが、ぶっちゃけ行動が伴わないことも何回もあった。それでも、絶対この言葉を思い出してほしい。結果が出るまでは全て過程。変わらず根を伸ばしていく姿は絶対誰かが見てくれている。

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努力を努力と思わない

努力できることは1つの才能だと言われる。ただ、それは他者から見た努力であって自分で努力と定義するべきではないと思う。

関東リーグ追加登録時の用紙には ‘’早稲田イチ努力の似合う男‘’ という嬉しい紹介文を添えてもらった。確かに、これまでの部員ブログなどでも、周りに伝わりやすいように「努力」という言葉を使って表現することはあった。でも、この4年間努力をしてきたという感覚は自分の中にあまりない。

それはシンプルにボールを蹴るのが楽しくて、大好きだったからだ。当然きつい練習もあったが、試合に出るために、チームの勝利に貢献するために辛い練習をしたり、自主練をしたりすることは当たり前だった。

「毎日あんなにシュートを受けて偉いよ」とか、
「最後まで残ってよく頑張ってるな」という言葉を何度もかけてもらったが、自分にとっては当たり前のことだったし、好きでやっていることだったからこそ、練習を終えて「今日も頑張ったな~」と思うことはほとんど無かった。逆にそう思ってしまった時は、サッカーに没頭できていなかったのだろう。


周りから努力していると言ってもらえることはとても嬉しいことだ。
ただ、自分で自分を「頑張っている」、「努力している」と思ってしまっている時は成長の最短ルートを辿ることはできていないし、何より楽しめていないはずだ。もっと没頭しよう。

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自由を得たいなら信頼を得ろ

「信頼」は、サッカーにおいても普段の生活でも、この社会の中で一番大事なものと言っても過言ではないと思う。

自分自身この4年間、自分がやりたいことと組織から求められていることの狭間で葛藤することが何回もあった。特に4年目は、4年生としての行動(信頼)と一プレイヤーとしての自分(自由)の間でもがき続けた。

前期の明治戦後に外池監督に「自分が試合に出たいという感情が出すぎていて、4年生としてチームのための行動ができていない」と指摘されたことは今でもよく覚えている。その時100%納得をしたわけではなかったけれど、組織から求められることをできていなかったのだということは理解できた。自分はやっているつもりだったけど、周りから見てそうではなかったのだと気づいた。


これからもこういった葛藤を特に4年生は経験すると思うし、自分自身違うフィールドでも経験することだと思う。それでも、優先順位を絶対間違えてはいけない。信頼を獲得してからでないと自由は得られないし、逆に信頼を獲得すればするほど自由の幅は広がっていく。

信頼を獲得するには約束を守ること、求められている以上の成果を出すことだと思う。簡単だけど難しい。サッカーは本当に生きるうえで大切なことを教えてくれる。サッカーというチームスポーツで、チームから求められるプレー、振る舞いをしなければ試合には使ってもらえない。ピッチ内もピッチ外も関係なく信頼は絶対に必要なものだ。

まだまだ縛られることが多い4年間だったと感じてしまっている自分は、もっと信頼を獲得しないといけなかったのだと今になって感じる。自由になるために信頼を得られる行動をしていこう。

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全ての責任を負うのがリーダー

正直このメッセージを書くかどうかは一番悩んだ。なぜなら、自分がこの4年間で一番できなかったことで、説得力がないと感じたから。それでも書くことにしたのは、自分自身への戒めであると同時に来年4年生になる今の3年生に向けて伝えておきたいと思ったからだ。

記憶に新しい10/24の早慶サッカー定期戦。自分は当日企画班のリーダーを務めていた。詳細は割愛するが、慶應との考え方の違い、業務量の偏り、メンバーとの連係ミスなど、課題は当日まで山積みで、もっと良いものを作り上げられたのではないかと今でも後悔は残っている。正直、直接的に自分が悪いとは思えないこともあった。それでも、個人ではなくチームとして結果が出るものである以上、そのトップであるリーダーには全責任がある。メンバーを巻き込みきれない所に本当に自分の力不足を感じたし、メンバーの問題はリーダーの問題なのだと実体験として感じた。


今の3年生は、自分は自分、他人は他人という考え方の人が多い気がする。相手の考えを聞き入れること、受け入れること、究極は他の人のミスでも自分事として捉えることがここからの1年は絶対に求められる。これがリーダーとしての責任なんだと思う。キャプテン、副キャプテンだけではなく全員が。前の所にも書いたように、それは自分がやりたいやりたくないではなく求められるものであるから。

3年生は1人1人本当に大きなパワーを持っている。俺らの学年にはないもので本当に羨ましく思う。別に仲間内で愚痴くらい吐いたって良い。そうでもしなきゃやりきれない時だって正直あると思う。それでも最後に自分にベクトルを向けた時に、1人1人のパワーが同じ方向を向きとてつもないパワーになるはず。本当に期待しかない。

いつか説得力を持ってこれを言えるようにしたい。

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One for All,All for One

ここまで4つのメッセージを振り返ると、かなり自分に厳しくあることを求めるようなメッセージが多かったように思うが、自分はそんな強い人間ではない。むしろめちゃくちゃ弱い。人間誰しもそんな強くはないはずだ。

10/24の早慶戦のピッチに自分は立っていた。しかもキャプテンマークを巻いて。嬉しさと楽しさももちろんあったが、これまでの人生で間違いなく一番の重圧を背負っていた。部員1人1人の想いはもちろん、運営陣のみんな、卒業した先輩、家族、友人の様々な想いは、背負うなと言われても無理な話だった。

そのピッチを自分は前半で去った。結果を出せずに去らなければいけなかった。そしてその後、試合は慶應に10年ぶりに敗れるという結末を迎えた。

全ての歯車が狂った。3日後に迫る関東リーグの拓殖戦に向かわなければいけないことを頭では当然理解していたが、心と身体がついてこなかった。迎えた拓殖戦の当日、メンバーを外れた自分は練習を休ませてもらった。今の自分ではチームに迷惑をかけてしまうと感じたし、何よりこのままでは潰れてしまうと自分の中でアラームが鳴っていた。


拓殖戦前日、当日、一体何人の人が話を聞いてくれ、何人の人がメッセージをくれただろう。

「明日はお前のために戦うわ」
「公文君のためにも頑張るね」
「お前のためにも勝てて良かった」

今思い出しながら書くだけでも涙が出てきそうになる。

拓殖戦を見ながら自分は泣いていた。1つ1つのプレーにどれだけ気持ちが入っているかは、ビデオ越しでもめちゃくちゃに伝わった。このチームに、チームメイトに誇りを感じた。どれだけみんなの姿に勇気づけられたか。

客観的に見れば、自分は逃げた。実際に、「休むべきではない」、「休まない方が良かったんじゃないか」と自分のためを思って声をかけてくれる人もいたが、自分で決断したことだし後悔はない。良い、悪いという話ではなく、自分を支えてくれる仲間がいること、愛をもって意見をぶつけてくれるチームメイトがいることが本当に嬉しかった。

俺は本当にこの仲間が大好きだ。


色んな人の支えがあって、今自分はまたサッカーを楽しむことができている。最終節の痺れる勝利で12月のインカレまで道は続いた。

この最高の仲間とインカレ優勝という景色を絶対に見る。
今度は自分がみんなのために

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本文とは直接関係はないですが最後に


琢、侑真へ

GKをやってきて10年、大学で初めてGKの同期ができた。最初の頃は、「こいつらなんでこんな上手いんだ」とずっと思っていた。1枠しかないGKというポジションで絶対2人を抜かないといけないのに、壁が高すぎて何度も心が折れた。それでも、2人のプレーを参考にし続けたし、2人はあんなに下手だった俺に嫌な顔ひとつせずアドバイスをし続けてくれた。最初は俺が眼中に無いからかなと思っていたけど、ポジションを争うようになってからもそれは変わらなかった。間違いなく俺がここまで上手くなれたのは、成長できたのは2人のおかげだ。それぞれ複雑な気持ちを持ち続けたよな。他の人が試合に出るということは自分が試合に出れないということ。「あいつがいなければ俺が」って思う時もあったかもしれない。それでも、俺はこの2人が同期で本当に嬉しかった。

4年間変わらず2人はライバルだったよ。
最後の最後まで刺激しあって4年GKチームの底力見せてやろう。

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内田さんへ

この4年間本当にお世話になりました。本入部が決定した後に何気なく仰った「公文みたいな選手が最後苦しい時にチームを救うんだよ」という言葉を4年間支えにここまでやってきました。相当お忙しいはずなのに、そんな素振りを全く見せず、可能な限り練習や試合に足を運び、常に状態を気にかけてくださる姿は尊敬以外の何者でもありません。4年間GKコーチに内田さんがいてくださって本当に良かったです。与えて頂いたものばかりでどれほどのものを返せているかわかりませんが、最後インカレで内田さんと笑って終わることができるように、残り少ない貴重な時間を楽しみたいと思います。

内田さんのコンディションも上がってきたということなので、またシュート対決しましょうね。絶対勝ちますよ(笑)

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公文翔(くもんしょう)
学年:4年
学部:スポーツ科学部
前所属チーム:東京農業大学第一高校


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