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【#Real Voice 2023】 「ア式を愛しています。」 2年・伊藤未羽

昨年11月5日、流通経済大学戦での敗戦。

関東1部リーグ降格が決定した瞬間。

「悔しい」とは思えなかった。

思ってはいけなかった。

何も貢献していない、チームに何一つ影響を与えていない。

「まあ、まだ1年目だしな。」

そう割り切ることもできたと思う。

でも、ここでそう終わらせたら、きっと来年も、4年目も同じ思いをする。

だったら、変わるためには何をすべきか。



私が選んだのは「強いチームのマネージャーに話を聞く」ことだった。

昨年の冬、自分から連絡をした。

そうして得た大学サッカーという世界においての先輩マネージャー2人との出会いは、私に変わるきっかけをくれた。

自分の甘さに気づかされた。

「日本一」を目指すチームにマネージャーとして所属することの意味を教えてくれた。

「マネージャーは、直接勝利に貢献することはできないけど、勝つ確率を上げることはできる。」

4年間の大学生活をマネージャーとしてチームに捧げ、共に戦った人が発する言葉ひとつひとつは重みが違った。

もう一人の方のブログは、私にとって足らないものがすべて言語化されている気がして、スクショしてスマホのロック画面にした。

軸がぶれそうになった時、いつも読み返すようにしている。

(突然連絡をした見ず知らずの私に、時間を割いてたくさんの経験談や刺激を与えてくださった、そして今も与えてくださっているお二人には本当に感謝しています。)



年が明け、早稲田大学ア式蹴球部の99年目がスタートした。


去年あまり関わりがなかった先輩と話す機会が増えた。

生意気でかわいい後輩ができた。

同期との関わりが深くなった。



そして、チームへの、仲間への想いが強くなった。



でも、想いが強くなるほどに実感したのは、自分の不甲斐なさだった。



今年は、運営担当の役割につかせていただいて、試合やチームの運営に関わる機会が増えた。

1年目は見えなかった、サッカーチームとしてのア式を形作る根幹の部分を知った。



関東リーグの運営に入ると、試合中は本部にいることが多くなるので、ベンチとの距離が物理的に近くなる。

この選手って試合前こんな感じなんだな、とか、この選手ってこんなに声出すんだな、とか、気づいたことがたくさんあった。

アミノ杯準決勝、国士舘大学戦のハーフタイム、前半途中で負傷交代した安斎くん(3年・安斎颯馬/青森山田高校)がベンチ前で誰よりも声を出す姿を本部から見た。

チームを背負って戦う選手たちを目の前にして、心が震えた。




同時に、特に前期は関東リーグとの兼ね合いで、IリーグやFCのベンチに入る機会も減った。

どんどん経験を積んでいく同期のマネージャーの姿に焦ったし、実際に自分がベンチに入る時には毎回反省ばかりだった。

動きの悪い自分にいつも苛立った。



もっと視野を広く、

もっと気を利かせて、

もっと丁寧に。



『チームが勝つ確率を上げることができる』マネージャーには到底なれていない。



学連の人たち、他大学の運営担当の人たち、それからJFL所属クラブで運営に携わる人との関わりを通して得た『強いチームといい試合は隙のない運営から』という考え方も実行できていない。



結局去年から何も成長していないのではないか。



「広報とか裏で頑張っている人たちが報われるためには、俺たちがサッカーで結果を残さないといけない。」

「『マネージャー』は早稲田の強みのひとつだと思ってる。」



同期がくれたこの言葉に、応えることができているのか。



「毎試合人生かかってるんで、毎試合就活みたいなもんです。」

まだ大学生になって半年の後輩が言っていた。


この覚悟に見合うだけのマネージャーになれているのか。


今の私に、胸を張って「私は早稲田大学ア式蹴球部のマネージャーです」と、名乗ることができるのか。


それでも。


自分の中で折り合いのつけられない不甲斐なさに苛まれる時、

それに拍車をかけるのも、

そこから救ってくれるのも、

また奮い立たせてくれるのも、

すべては仲間の存在だった。



アミノ杯2回戦、日本大学戦での3点目。
奏希(2年・本保奏希/JFAアカデミー福島)のゴール。


渾身の雄叫びから、山市と抱き合うところまで、この数か月で何度見返したかわからない。


これだけではない。

サッカーに真っ直ぐな彼らの姿こそが私の原動力だった。


アミノ杯3位決定戦、順天堂大学戦、延長後半での山市(2年・山市秀翔/桐光学園高校)の逆転ゴール。

FC、TOKYO UNIYED FC +plus戦、ラストプレーでの暖(2年・瀧澤暖/北海道コンサドーレ札幌U-18)の逆転ゴール。

新人戦、中央大学戦での球尊(2年・川辺球尊/大宮アルディージャU-18)のゴール。


挙げたらきりがないが、たくさんの活力をもらった。

苦しい時も、迷った時も、立ち止まらずに歩き続けることができた。


だからこそ強く思う。


練習後、グラウンドの電気が消えるまでボールを蹴る姿。

利用可能時間ギリギリまでトレ室に残る姿。

オフの日でもトレーニングをする姿。

ピッチの外、サッカーの枠組みを越えた場所まで全力な姿。


彼らの熱量が否定されてたまるものか。


どこの大学だって、どこのチームだってそれくらいやっている。

そうかもしれない。

それでも私が毎日顔を合わせて、会話をして、関わっているのは、紛れもない彼らだから。

私はどんな時でも、何があっても、彼らの味方でありたい。

今度は私が活力を与えられるようになりたい。


だから、覚悟を込めてここで宣言します。


私はア式で日本一のマネージャーになります。


まだまだ遠い目標であることも、足らないところばかりなのも、『日本一』の定義だって曖昧なのもわかっています。

それでも、だからこそ、成し遂げたいと思う。


チーム付きも、運営も、記録も、応援も、すべてに全力を尽くす。

ただひたすらに早稲田の勝利のために、その役割を全うする。

ピッチの外も手を抜かない。

ア式の、早稲田の、所属する選手の価値を高め、新しい価値を創造する。

ア式に関わる全ての人たちに活力を届け続ける。


愛する早稲田と仲間のために私の全力を捧げる。


最近、「試合前のいとみうのグータッチ強すぎる」と言われることが増えた。

この間は同期に拳の握り方まで伝授された。

いや、優しいグータッチの仕方なんて元からわかってるよ。

それでも、これからピッチで戦う選手を送り出す最後の場があのグータッチだから、想いを込めるとどうしても強くなってしまう。

本当にいやな選手がいたら、さすがに気をつけるので教えてください。


方法は様々あれど、行動で、姿勢で、言葉で、想いを伝え続けること、選手を奮い立たせられるような存在になること。


彼らとの時間は一瞬で儚いものだから、今この瞬間を大切にする。


このチームで戦うことができるのも、あと2ヶ月を切った。

2月、怜於くん(4年主務・山田怜於/鎌倉高校)が「今年2部で戦う現実は4年が背負うから、下級生は来年以降、その先のことも考えていてほしい。」と言ってくれた。

総理大臣杯に帯同していた同期から、負けた後に4年生が泣いていたと聞いた。

「日本一」の目標は潰えた。

それでも、「1部昇格」を必ず達成する。

最後、4年生を絶対に笑顔で送り出す。


2年目のブログで、かなり自分本位な内容になってしまいました。

本当はもっと視野の広い、余裕がある、ア式のマネージャーに憧れを持ってもらえるような、そんなブログを書ければよかったのかもしれません。

それでもここに記したことが私の素直な気持ちであり、覚悟です。


これからも愛を込めて、心を尽くして日々を歩んでいきます。


◇伊藤未羽(いとうみう)◇

学年:2年

学部:文化構想学部

前所属チーム:東葛飾高校


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