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「心を燃やせ」 2年・竹浪良威

時刻はAM2:10


窓を開けると冬の匂いがする。
もうそんな季節かと身を乗り出して外を覗くと、隣のマンションの通路の明かりが私を照らし見つめている。誰の帰りを待って照り続けているのだろう。寒くなったので、窓を閉めてとりあえず布団に潜り込む。私の部屋以外はもう既に真っ暗。こんな深夜にたった1人で、なんだか寂しい気もするが私はこの時間が好きだ。イヤホンを外すと何にも音がしない不思議な空間。俺の知らない世界では今色んなことが起きているのであろうかと、ふと考えながら、この暖かい布団に包まれている幸せを噛みしめる。

そういえば今日は鬼滅の刃の映画を見てきた。激アツだった。特に煉獄さんの生き様がカッコいいと思った。煉獄さんになりたい。


「老いることも死ぬことも人間という儚い生き物の美しさだ」


このセリフはグサッときたなあ。

同期の何人かが部員ブログで「死」について考えていたけど、結局はみんなの生には終わりがある。何を考えても、どうもがいても、その運命に抗うことはできない。でもこの世界に、この国に、この街に生まれたのは偶然ではないと思う。何かの目的があって、それぞれの責務があって生まれてきたのではないかと俺は思うから。それが誰かを幸せにするためなのか、何かはまだ分からないけど、「俺は俺の責務を全うする」べくこの先を生きていこうと思う。そして、自分の責務を全うした上で他の人の責務の手助けをしたい。

あ、そういえば確か、同期に200歳まで生きるって真面目な顔して言うやついたっけな。なんか橋山とかいう変なやつだった気がする。まぁそんなことはどうでも良いや。

そんなことはさておき、部員ブログの〆切が迫った今、イヤホンで好きな歌を聴きながら何を書こうかと考えてはみるものの、何も思い浮かばない。好きな歌の歌詞を自分なりに解釈したものを書こうかなとか、俊太みたいに何かの建物のことを書こうかなとか、梁くんみたいに同期のことを書こうとかなとか考えるけど、なんかピンっとくるものがない。

そんなこんなで、もうAM2:45になってしまった。明日も授業があって練習があるから、なんか書かないと。


本当に何を書こうか、いい考えが出てこないので、今思ったことを特に考えずに感じたまま綴っていくことにする。


あ、じゃあまずはどうせなら今聴いてる歌を紹介しようかな。

Routine feat. 唾奇 / ケンチンミン 

あんまり内容は入ってこないが、この中で好きな歌詞がある。


「つまらない大人になるなら、俺はアホでも子どもでいたいのさ」


俺もそう思う。
今の自分に、自分の可能性にワクワクしていない大人になるくらいなら、誰に何て言われようと子どものままでいい。

子どもって、何かになりたいと思ったら、必ずなれると信じきっている。それになれない理由なんて探さずに、ただなれると信じて突っ走る。

思えば俺も小学生、中学生の頃は何か目標があると、後先考えずにハナから全力疾走してた気がする。他がなんにも見えなくなるくらい無我夢中で、ああした方がいいこうした方がいいなんて思わずに、まるで標的を見つけたイノシシみたいにただただ我武者羅に突っ走っていた。

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子どもだから許されることで、それはバカがやることと言えばそうなのかもしれない。
でもこの頃は、世の中にある常識なんて気になんなくて、毎日が希望でありふれて楽しかった。
何より、何かになれると信じて突っ走っている人は数百倍カッコいいしイケてる。


今の俺にはこれが足りていない気がするな。


段々と歳を重ねていくごとに、心も身体も大人になっていって考え方も大人っぽい堅い感じになって。現実を見るようになって。周りからの目を気にするようになって。世の中のしょうもない常識に囚われるようになって。

いつからか、子どもの時のような、何かになれると信じきっている自分がいなくなっていて、
そんなこと無理に決まってると、訳の分からない言い訳が自分を支配する。


確かに、大人になることは悪いことばかりではない。
俺は大人になるにつれて、自分を客観視できるようになっていった。自分を第三者として捉えて、自分の行動が周りから見るとどんな感じなんだろ?って自分自身を客観視できるようになると、自分の弱みとか足りないことが分かるようになった。自分に問いかけることも増えて、周りに頼らず自己解決することもできるようになった気がする。

でも、小中学生の時みたいに、目標に向かって我武者羅に突っ走ろうとすると、「客観視する俺」が邪魔をしてくる。


例えば、トップの試合に出て活躍するという目標があるから自主練をしてるのに

「このくらいやっていれば評価される」

「こんな努力して頑張っているんだから、そろそろ評価されなきゃおかしい」

って心のどこかで考えてしまうことがある。


昔だったらそんなこと考えずに、ただひたすら目標とボールを追いかけていたはずなのに。


なんで大人になった俺は、目標を達成することよりも、人からの評価を気にしているんだろう。
なんで良いように見られたいから行動してるんだろう。
なんで素直に自分の目標を実現するための行動ができないんだろう。


気づかぬうちに、
本当に達成したい目標が
人からの評価を得るという自己満に変わっていた。

もちろん、人に評価されることで目標の達成に近づくかもしれない。何かのチャンスを得るキッカケになりうるから。
評価されることは自分の頑張りが多少は認められたということだし、嬉しいことではある。

でも、俺が本当に実現させたいのは、
他人から良い評価を得て、その場だけのチャンスをもらうことよりも

その場のチャンスはもらえなくとも、自分自身で掲げた、でっかい目標を実行することだった。


みんなはそうは思わないかもしれないけど、俺はそう思う。


昔はいつもそうしてきたんだ。人に笑われるくらいでっかい目標、夢があって。人になんて言われようが、なんてバカにされようが関係なかった。自分がやると決めたことは達成するために必死になってやり続けてた。

今俺がいる、この早稲田大学に入るときもそう。周りからは無理だろうと言われた。別に気にしていなかったけど。

全国を目指して毎日部活に励み、その練習後に疲れた身体でAOの塾に行って小論文と面接の練習。次の日は少し早めに学校に行ってお勉強。
でもとにかく無我夢中で、嫌な感情なんて一切なかったし、周りからどう見られてるかも考えなかった。めちゃくちゃすごい大学の一般入試のために頑張っているガリ勉くんたちと一緒に勉強するのは少し窮屈だったけど。

あの時のことを今思えば、早稲田大学に受かるという目標に向かって、ただひたすらに、受かるために突っ走って、動き続けていたと思う。数学で言う点Pみたいに。

その頑張りを誰かに見ていて欲しいとか、誰かに評価されたいとかじゃなくて、ただ目標を実現させたい一心。ここに「客観視する俺」はいなかった。

「客観視する俺」と決別することはできない、良くも悪くも自分の中に居続ける。だからこれからは「客観視する俺」を少しでも理解して、

「with 客観視する俺」

でいきたいと思う。どこかで聞いたことがあるけど知らん。

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あと、今俺の耳に流れている歌もいい曲だから紹介したい。


かつて天才だった俺たちへ / creepy nuts

(歌詞)
苦手だとか 怖いとか 気づかなければ
俺だってボールと友達になれた
頭が悪いとか 思わなけりゃ
きっとフェルマーの定理すら解けた
すれ違ったマサヤに笑われなけりゃ
ずっとコマつきのチャリ(補助輪つきのチャリ)をこいでた
力が弱いとか 鈍臭いとか 知らなきゃ
俺が地球を守ってた
破り捨てたあの落書きや
似合わないと言われた髪型
うろ覚えの下手くそな歌が
世界を変えたかも…
かつて天才だった俺たちへ
神童だった貴方へ
似たような形に整えられて
見る影も無い

本当にそう思う。
自分のアイデンティティにありふれた行動を、誰かに何か言われて、笑われて、常識に気づかされて、自分の無力さを痛感されられて、最終的にみんな似たような形に整えられてそこらへんにいる普通な人間になってしまう。かつては皆んな、恐れを知らない天才だったはずなのに。神童だったはずなのに。


なんで他人に笑われて、自分を変えるんだろう。
なんで誰が決めたかも分からない世の中の常識なんかで、自分を変えるんだろう。
なんで自分が無力だと分かったら、自分を変えるんだろう。


答えは簡単。自分に絶対的な目標や夢がなくて、絶対的な自分自身の軸がないから。

それがあれば他人になんて言われても、変える必要なんてない。笑われてバカにされてもただ言わせておけばいいだけのことだ。

その軸がないから、その軸がへなちょこだから、外野に自分を変えられてしまう。


とは言いつつも、俺にそういう軸はあるだろうか。
どんな人にも折ることができない絶対的な俺の軸。なんだろう。


考えてみたものの、なんかこう、漠然としたものはあるけど、ここで胸を張って言えるほどハッキリとはしていない。

だから俺は弱いのかもしれない。

今気づいたところで何も変わらないかもしれないし、遅いかもしれないけど、
それでも俺は、またあの時みたいに。
何かになれると信じてみたい。
信じて突っ走ってみたい。


周りからの見え方なんてどうでもいいんだ。絶対的に自信をもてる自分の軸があれば。


心を燃やせ。限界を超えろ。

今日の映画で煉獄さんも言っていた。

小さい頃の自分に胸を張って、
大人になったお前も相変わらずカッコいい生き方をしていると言えるように、心を燃やして生きようと誓った今日この頃である。

やばい、思ったことを素直に綴ろうと思ったら、色々と考えて書きすぎてしまった。

気づけば、さっきまで窓の外が薄暗かったのに、もう外が明るくなり始めてきた。鳥のさえずりも聞こえてくる。もう朝だ。文章に夢中になって外の変化に気づかなかった。1限はあと4時間後。早く寝ないと。


じゃあ最後に皆んなで言いましょう。


せーの


心を燃やせ!

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竹浪良威(たけなみらい)
学年:2年
学部:スポーツ科学部
前所属チーム:國學院大學久我山高校


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