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【#Real Voice 2022 】 「思い」 1年・佐々木奈琉

今回部員ブログを担当します、社会科学部1年の佐々木奈琉です。


自分の書きたいことを詰め込んだので読みにくいとは思いますが、ぜひ読んでみてください。


いきなりだが、高校時代を振り返ろうと思う。私は新潟県の帝京長岡高校出身だ。高校時代はほんとに地獄のような毎日だった。外から見れば想像もつかないかもしれないが相当きつい練習メニューだったし、ピッチ外でも厳しい環境で多くのことを求められ、生活していた。とにかく自分たちに委ねられる部分が多く、答えが明確にはない問題に対してもどうにかして解決しようとミーティングをしたり、古沢監督(以下古さん)と対話したりしていく中で苦しみながらも前に進んだ。


しかし、思い返せばすべてが充実した時間であったし、私の青春だった。特に、古さんには兄貴のように愛情をもって厳しく接して頂いた。あの時は、嫌な監督だったが今はとても尊敬している。なぜなら、古さんは誰よりも長くピッチに立ち続け、誰よりも試合の映像を見て、誰よりも情熱をもって私たちに指導してくれたからである。私は惚れたし、こういう男でないと人の前に立って引っ張っていく資格がないと感じた。


そんな古さんに言われた言葉で印象に残っているものがある。


「お前らは存在を消された。」


「お前らのやってきたことは全て否定された。」


これは3年の夏、インターハイの新潟県大会準決勝敗退後に古さんから言われた言葉である。事実として相手チームが勝ったのだから私たちより強い。しかし、試合中相手ベンチからの指示は


「相手のやりたいことをさせるな。」


相手チームは彼らのスタイルを崩してまで私たちに勝負をしてきた。私たちはその相手に負けた。積み上げてきた帝京長岡のサッカーは存在価値を失った。これを機に私たちの問題が次々と浮き彫りになり、チームとしての真価が問われることとなった。

古さんに、「これからどうしていくのか自分たちで決断しろ」と言われた。私たちはしばしば古さんからこのように投げかけられるが、このお題は3年間で1番難しかった。県大会で敗れ自分たちの存在価値がどこにあるのか、同時に組織としてどうまとまっていくか。学年で何度もミーティングをして意見を出し合った。出た案を古さんに伝えるが、その場しのぎの浅はかな考えでは当然良しとされなかった。私1人では何もできないし、この状況を変えることはできない。全員が矢印を揃える必要があった。そして全員の思いを伝える場を設けられた。


私は、同学年の仲間の思いを聞いて自分にがっかりした。私は彼らが何を考えているのか大体はわかっているつもりだった。しかし、彼らは異なる立場、視点、感性をもってこの組織で活動し、それぞれ私の知らない思いを持っていた。私はチームメイトのことを何もわかっていないのだと実感した。「無知」だということを知った。


この時、私は組織の本質を少し理解できたような気がする。すべてを知っているかのように振る舞うことは自分の価値観の押し付けに過ぎない。組織を運営するためには、自分が無知であることを自覚し、他人から自分にないものを吸収しようとすること、そして、他人との交流の上で自分の価値観を更新していくことが大切だと考えた。


私があえて「更新」するとしたのは悪いものから良いものへと変化しようとするときに変えるべきものと変えてはいけないものがあると思うからだ。変えてはいけないものを変えてしまえばその個人、組織はアイデンティティを失ってしまうことになると考えた。これが、正しい答えではないかもしれないが私なりの回答である。彼らの思いを聞いてから、ここまで自分で考えを発展させられた。この思考過程はとても刺激的だった。


過程という言葉と対照的に結果という言葉があるが、私はそれをあまり肯定的に捉えてはいない。人生において必ず勝利を手にしなければいけない時があるのは十分承知。しかし、結果ばかりを見て結果が出なかったときに何が残るのか。過程を重視して結果が出ないのは1番よくないことだが、充実した過程は大きな成功につながる。


現状を踏まえ、何を変えることが成功につながるのかを考えることは、果てしなく長い道のりかもしれない。だが、私はこの過程を楽しんでいる。メンバーに入れないことはもちろん悔しいが、それで何かが終わるわけでもないし、一時の感情でそれまでの積み上げを無駄にはしたくない。私に役目が回ってきたときにしっかりと結果を残すこと。それしか考えていない。


私はこの経験から「他人」というものをすごく意識するようになった。他人がいるからこそ自分が成長できる。他人がいなければ自分の良さを引き出すことができない。サッカーというスポーツを通して特にこのことを実感する。


家族は私がやりたいことに没頭する機会を、仲間はいろいろな学びを与えてくれる。私も他人に影響を与える1人だし、適当な振る舞いで他人に悪い影響を与えてはいけない。これからも行動に責任をもって活動していきたい。


ア式蹴球部の希望になります。

佐々木奈琉
学年:1年
学部:社会科学部
前所属チーム:帝京長岡高校

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