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「臆病で強がり」 4年・楠優輔

本日、ブログを担当いたします、創造理工学部経営システム工学科4年の楠優輔と申します。


先日、冷たい雨が降る中で開催された71回目の早慶サッカー定期戦を観に来てくれた方、ありがとうございました!
いつもとは違う形での早慶戦でしたが、楽しんでもらえたならば嬉しいです。
それと同時に、あの試合の裏には早慶両部の主務・副務・マネージャーを中心とした運営陣の大きな努力や様々な苦悩があったことを少しでも認知してもらえたらと思います。


さて、2020年も残りわずかになり、最後の部員ブログの順番が回ってきました。
今回は、私が大切だと考えている2つのことについて書きたいと思います。最後までお付き合い下さい。



“自分自身の能力がどれだけの可能性を持っているか”
皆さんは分かっていますか?


そんなの当たり前だよ!

いや、ちょっと自信ないな、、、


色々な意見があると思います。

正直、私は分かっていません。
石橋を叩き続けて割ってしまうくらい慎重な性格であるが故に、失敗しそうなことに踏み込むのは躊躇してしまいがちです。

そんな性格は、サッカーにおいて良い効果をもたらしませんでした。

サッカーにおいて、私の一番の強みは足の速さです。これは誰もが持っているものではなく、大きな武器として通用するものです。実際に部内の体力テストの50m走で1位を取ったこともありました。
そんな能力を持ちながらも、自分の足の速さに対する可能性を信じておらず、その活かし方を分かっていませんでした。
謙虚さを通り越して超悲観的で自分のことながら呆れます、、、(笑)


これまでに可能性を信じるきっかけは数多くありました。

周りの選手に、「もっと足の速さを活かせるよ」と何度言われたことでしょうか。
1年生の冬には、その年で退任するコーチとの最後の挨拶で「自分の強みを活かしてな」と言われました。


数あるきっかけの中でも記憶に強く残っている出来事があります。

それは、2年生の早慶戦で会場の後片付けをしていた時のこと。
現在FC町田ゼルビアに所属している岡くん(岡田優希/2018年キャプテン)に、ある質問を投げかけられました。


「お前みたいな選手が早慶戦に出るから意味がある。お前は出れるのか?」


私は反射的に「はい」と答えましたが、心の中では「無理だろ」と思っていました。
後々深く考えれば、それは自分にも可能性があることを認識しているのか、を問われていた言葉だったと思います。

これほどきっかけがあったにも関わらず、私はなかなか自分の可能性を信じてあげられませんでした。


ア式蹴球部は大学日本一を目指して活動している組織であり、日々競争が行われている厳しい世界です。自分の強みを活かせない選手には容赦ない評価が下されます。
周りの経歴や気の強さに勝手に圧倒されていた私は、評価を得られずにいました。もちろん、調子が良い時もあり、自然と強みを活かせて評価は上がりました。
ですが、それは無意識に自信を持てていただけで一時的なものでした。

下のチームでの時間が長くなるにつれて、劣等感は大きくなり、負け犬根性が私を支配していきました。
気付けば、自分の可能性など微塵も信じられなくなっていました。

そんなネガティブな状態が少し変わったのは4年生になってからでした。
就活での自己分析や、ラスト1年という焦りから意識が変わりました。
自分って足速い、そう思うだけで前を向くことが増えました。それは少しずつプレーにも現れ、徐々に周りの見る目も変わっていきました。
そして、ひとつ上のカテゴリーの公式戦にも出場するようにもなりました。

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ターニングポイントとなった試合


しかしながら、それでは変化するのが遅かったことも事実です。結果を残して周りの信頼を得るには、あまりにも時間が短すぎました。


周りの人がどれだけアドバイスをくれても、自分が自信を持って行動に移さなければ何も変わりません。
行動として見えなければ、周りからの見られ方も厳しくなり、自ら苦しい状況に身を置くことになります。
そして厄介なことに、一度ついたイメージというのはなかなか払拭できず、変えるには相当な時間とエネルギーを必要とします。

しかし、どんなに苦しい状況であっても、自らを見捨ててしまってはいけません。
最後に自分の可能性を信じてあげられて、状況を変えられるのは自分自身だけです。


人は誰しも武器を持っているはずです。それは、大小にかかわらず、専門的な知識などの能力的な部分かもしれないし、笑顔や気遣いといった人間的な部分かもしれません。
そんな自分の武器に自信を持ち、その可能性をどんな状況でも信じてあげることが必要です。


と、ここまで書いて、切り口は違いますが、過去に書いた部員ブログと本質的には同じような内容になっていることに気付きました。
成長していないということなのでしょうか、、
これ以上考えると悲しくなりそうなので、一旦置いておいて次に進みます。


どんなに苦しい状況でも自分の可能性を信じてあげると言いましたが、残念ながら自分の力だけではどうしようもないこともあります。

それを痛感したのは、昨年の早慶戦準備でした。
開催日の半年ほど前から準備を始め、当初はある程度順調に進んでいました。しかし、開催日が近づくにつれてやることは増えていき、上手くいかないことも多くなっていきました。


そして開催3日前の夜、運営に関する衝撃的な事実を知ることになります。
私は、どう頑張っても上手くいかないことに気付いてしまい、準備してきた意味が分からなくなって逃げ出したくなりました。
精神的余裕が無くなっていた私は、その感情を自己解決できず、これまでの準備が意味なかったかのような発言をしてしまいました。
一緒に頑張ってきた人がそばにいるにも関わらず、、、

その様子を心配してくれた先輩たちが、深夜にわざわざ電話をくれました。

「悩みとか嫌なことあるでしょ」

その言葉に対して、
「自分より頑張ってる人にそんなこと言えない」
と答えました。

すると、先輩は言いました。

「違うよ、お互い一生懸命やってるからこそ、つらいことを共有して一緒に頑張るんだよ!」

この言葉を聞いて、私はハッとしました。

「なぜ自分1人で抱え込んでいるんだろう」

自分1人で強がって、勝手に苦労していただけという事実に気付き、恥ずかしさが止まりませんでした。
まじでダサすぎます。
嫌なこと、つらいことを普段から共有していれば、心配をかけることもなかったはずです。
もしかしたら、周りの仲間は悩みや弱音を聞いて欲しかったのに、私の強がりで躊躇していたかもしれません。
それまでの私は、余裕がなくなったときには1人になろうとしていましたが、自分だけで抱え込むのは辞めて周りにもう少し頼ろう、そう思った瞬間でした。

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色々とお世話になった早慶戦運営陣


今改めて振り返れば、これまでも苦しい状況で助けてくれたのは近くにいる人でした。

ア式を辞めようとした練習生期間。
ア式の他人への過剰な干渉に嫌気が差した3年の冬。
そして、早慶戦の運営。

それぞれの出来事において、悩んでいたことは違うし、周りにいた人も違うけど、近くにいる人に支えてもらったことは同じです。
その人たちがいなければ、きっと違った人生になっていると思うので、とても感謝しています。


世の中、いい人ばかりではないし、物事がいつも思い通りに進むほど都合よくできていません。
生きていれば、つらいことや傷付くことなどいくらでもあります。
そんなとき、1人になりたくなったり、孤独を感じたりするかもしれません。
しかし、どんなに絶望的な状況だったとしても、周りに応援してくれる人や一緒に頑張ってくれる人はいます。

そして、そういった人たちがいるから頑張れるというのも事実です。
早慶戦の運営だって、1人だけでやっていればきつすぎて投げ出してました。
近くにいるそんな存在を大切にし、自分が苦しい状況でも手を差し伸べてくれる人がいることを忘れないようにしないといけません。


2020年、新型コロナウイルスの感染拡大によって、世界は一変しました。
外出するにはマスクが必需品になり、人が集まる大規模なイベントは開催が難しい状況です。東京オリンピックを見据え、外国人観光客をターゲットに盛り上がりを見せていた観光業や運輸業も、大変厳しい状況に置かれています。

そんな先が見えない困難な状況だからこそ、自分自身で未来を切り拓かなければなりません。

以前、矢後さん(弊部マネジメントコーチ)が、

「社会に出れば理不尽なことは多くある。仕事は能力のある人に振られ、多くの情報がそこに集まる。そしてできない人には仕事も情報も回ってこない。」

と言っていました。

超一流企業に勤めた矢後さんの話だから、きっと間違いないはずです。部活も十分理不尽ですが、お金や人生がかかっている社会人の世界はそれ以上なのかもしれません。


理不尽で先の見えない社会を生き抜くために、
巡ってきたチャンスで結果を出すために、

「どんな状況でも自分の可能性を信じてあげる」
「苦しい時に支えてくれる人は必ず近くにいる」

この2つを忘れずに、社会人の世界に足を踏み入れようと思います。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。



楠優輔(くすのきゆうすけ)
学年:4年
学部:創造理工学部
前所属チーム:本郷高校


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