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「小さな幸せ」 2年・小林俊太

「日常生活の中の小さな幸せを見つける」

私はこの感性に憧れる。

どういう意味かと言うと、
ありふれた日常生活の中には、何気なく生活していては気づくことのできない小さな幸せが潜んでいて、それは既成概念にとらわれない視点を持つことで感じることができるという意味である。

人は成長するにつれて、多くの知識や経験を得ることができる。しかし、その知識や経験が増えるに従って日々の生活は退屈なものになってしまう。あらゆる現実を知り、日常生活で起こることを当たり前のように感じてしまう。つまり、小さな幸せに気づくことができない。

まだ知識も経験もない子どもの頃は、毎日が新しい出会いに満ちていて、大人からしたら当たり前のことが大発見であった。このような真っ白な心に戻れたならきっと小さな幸せを見つけることができるのかもしれない。しかし、1度違う色で塗られてしまった心を真っ白に戻すことは難しい。

どうしたら日常生活の中の小さな幸せを見つけることができるのだろうか。きっとそれは、真っ白な心にリセットするのではなく、知識や経験、現実の色で染まった心にまだ見たことのない色を重ねていくことだと思う。

見たことのない色を作り出すために必要なのが、既成概念にとらわれない視点である。

生きていれば楽しいことばかりではなく、苦しいことや辛いこともたくさん起こる。むしろ、その方が多いのかもしれない。しかし、それは本当に苦しくて辛いことなのか、ただその苦しいことの苦しい側面しか見られていないだけなのではないか。もっと違った視点で見れば、むしろ楽しいことだったりするのかもしれない。

例えば、誰かの心を動かせるような影響力のある人になりたいとする。しかし、頑張っていても上手くいかないことばかりで、自信が持てず、誰かの心を動かせるその土台にすら立てていなくて、落ち込むことがあるとする。でも、たくさんの人の心を動かせなくても、その頑張りを見ていて心を動かされる人が1人いるかもしれない。そう考えれば、苦しい状況を嬉しい、楽しい状況に変えられる。つまり、小さな幸せを見つけられる。

2020年はまさに、この感性が問われる年だったと思う。世界中で新型コロナウイルスが広まり、自粛を余儀なくされ、新しい日常が確立された。我々、ア式蹴球部も苦しい日々を送ってきた。自粛により、チームでのトレーニングが行えない期間もあった。しかし、その自粛期間にチーム、個人について考え、話し合う機会が増えた。確かに、チームとしても個人としても苦しい期間だったことは確かであるが、自粛期間だったからこそチームのことやメンバー、自分について考え、向き合うことができた。そう考えれば自粛期間もただ苦しいだけでなく、チームにとっても個人にとっても大きい期間だったと言えるだろう。

関東リーグも後期に入り、先日、今年初めて部員全員が集まって試合ができた。これは大学サッカーに携わる多くの方々の支えによってできたことだと思う。もうこれは小さな幸せではなく、それぞれが集めた小さな幸せが集まった大きな幸せなのかもしれない。

まだまだ新型コロナウイルスの影響は収まらないが、少しずつ光が射し込み始めているように思う。今回、関東リーグに部員全員が集まれたように、また多くの人々が集まり、大きな幸せを作り出せる日が来ることを願い、今は小さな幸せを見つけ、集め続けたいと思う。



小林俊太(こばやししゅんた)
学年:2年
学部:創造理工学部
前所属チーム:東京工業大学附属科学技術高校


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