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【#Real Voice】 「見えなかったサッカーの価値」 4年・小泉建太

私は大学3年次にア式の門を叩いた。そのことについて。前回のブログでも書こうと思ったが、別のことに触れてしまったので今回こそは書いてみよう(笑)。
 
時は4年前に遡る。大学浪人時代の10月、サッカー選手の本田圭佑さんと株式会社delyのCEOである堀江裕介さんとの対談を見たことが転機であった。自身のサッカーでの経験を基に、注目の若手起業家と社会やキャリアについて語り合う本田選手を見て、格好良く魅力的に感じたと同時に、本田選手と自身のサッカーを通して培った思考の差に愕然とした。
年齢は10歳以上離れているし、プロとアマチュア、サッカーをしてきた環境も全く違う。
ただ、私自身も小学2年生から高校3年生までのおよそ11年間をサッカーに費やしてきた。11年間、決して短い時間ではない。故にサッカーを通して多くのことを学び得たが、一方でサッカーと「社会との接点」を考えたことはほとんど無かった。
サッカーというスポーツを額面通りに受け取りすぎていた。単純にボールを仲間と蹴り、試合で勝負できるのが楽しかったし、「サッカーはサッカーだろ」と考え、その競技の背後や奥にある価値に気づけず、見出すこともできなかった。
しかし、対談を見てハッとする。本田選手はサッカーという競技を追求しながらも、常に社会との接点を考えてきたのではないかと。サッカーを社会に対して孤立させていない。サッカーでの活動を社会に組み込んで考え、行動することで新たな価値を創造している。長い期間サッカーに時間を費やしてきたにも関わらず、私はサッカーの生み出す価値・サッカーから創造する価値について全然理解していなかったようだ。
このような気付きを受けて、サッカーを辞めるにはまだ早いと感じた。
また、これはサッカーを続けるのに迷っていた自分に対して、大学(とりわけア式)でサッカーを続ける大きな理由になる。
実をいうと高校を卒業した時点で大学でサッカーを続けることに一旦決めていたのだが、大学浪人時代に遭った事故の影響で競技を続けることが困難になったため、サッカーから離れようと思っていた時期もあった。
そんな中、大学でサッカーを続けるという大きな決断をした。
大学でサッカーを続けている先輩から、「ア式が面白い組織である」と聞いていたので、受験勉強の合間に部員ブログを読み漁り、ア式の活動や組織について調べた。
その時に見た「WASEDA The 1st」や「社会に利益をもたらす」という理念について説明しているブログは今でも印象に残っている。
調べた結果、長年の伝統と歴史・輝かしい実績を持ちながら、サッカーを通して積極的に社会との関わりを作り、社会に大きな影響を与える・与えようとする組織だと感じ、「ア式に入りたい」と強く思った。
 
ただ入るまでは長かった。先に述べたように事故の影響でサッカーができず、大学2年生からの競技復帰。
動かなくなった体を戻すためにサークルや社会人サッカーに入らせてもらい練習をする傍ら、ランテストに向けて江戸川にある陸上競技場や皇居に毎日のように通っては走っていた。3年間のブランクを埋めるために必死になった。
土砂降りの雨の中、皇居周りを全速力でダッシュしていて信号待ちの車から変な目で見られたり、社会人サッカーでガーナ人にコテンパにされたり、トレーニング代を稼ぐために解体工事のアルバイトをしたり、色んなことがあった。今では懐かしい(笑)。
 
少し話は逸れたが、そんなこんなで大学3年次にア式蹴球部に入部することができた。実際に入ってみると、今まで自身がやってきたサッカーの環境とは明らかに異なっていた。「社会との接点」の重要性を認識している部員が多い。さらに社会貢献やプロモーション、早慶サッカー定期戦などを介して対外的に行動を起こしている。そして、外部の方がア式の活動を見学に来たり、全国版のヤフーニュースに掲載される部員の存在など、大学サッカーと社会が交差し、その交差の先に新たな価値が生まれていることを実感した。
 
サッカーが一スポーツに留まらず社会と関わりあう時、サッカーの「価値」が最大化されると浪人時代に考え、ア式に入部したが、その当時、言語化できなかった「価値」についてア式での活動を通して定義できた。
ここで言う価値とは、競技の魅力に加えて、「新たなコミュニティの誕生」や「多様な人材の創出」、「今までにない価値観・考えの熟成」、「人々の活力」であると。
正直だいぶ抽象的な見解ではあるが、実体験からくるものなので自身の中では明確になった。それこそ高校時代までのサッカーに対する考えとはえらい違いである。
 
そろそろ話の締めに入ろう。
ア式に入って今まで上手くいかないことの方が多かったが、正直、ア式で活動ができて本当に良かったと思っている。
100年近く存続し伝統と歴史を持ちながら、サッカーを通した新たな取り組みにより、大学サッカーと社会の接点を取り続ける組織から多くを学んだ。
私がア式で過ごせる残りの時間は多くないが、「サッカー×社会」を通した価値をより作り出せるようにア式での日々に邁進していきたい。
 
浪人時代サッカーを諦めなくてよかった。
今までは見えなかったサッカーの価値を知ることができたのだから。
来年から社会人になるが、ア式での活動を経て、どのような立場からかはまだ決まっていないが、将来的に「サッカーに携わる」という新たなキャリア目標が生まれた。
 
大学サッカーで、ア式で、サッカーの価値を再確認できた。
これからもしばらくサッカーと付き合っていきそうだ。

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小泉建太(こいずみけんた)
学年:4年
学部:文化構想学部
前所属チーム:水戸桜ノ牧高校


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