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【#Real Voice 2024】 「無事之名馬」 新4年・笹木大史
無事之名馬(ぶじこれめいば)
これはもりけん(R7卒・森山絢太)から教わった言葉。
文字通り「病気や怪我もなく、第一線で活躍し続ける馬こそが名馬なのである」という意味である。
今シーズンを振り返ると最高の滑り出しだった。
3月の島原遠征あたりから調子が良く、そのままとんとん拍子で大学日韓新人戦、早関戦、天皇杯予選、関東リーグ開幕戦にスタメン出場。
1年前まではFCカテゴリーでも試合に出たり出なかったりだった選手とは思えないほどいい経験をさせてもらった。
しかし楽しい時期はそう長くは続かなかった。
どのくらい続かなかったかというと、宮寺(新4年・宮寺政茂)が麻雀で負けすぎて半年間の麻雀引退宣言をするも、1週間後には引退宣言を撤回するくらい続かなかった。
言い換えるならば、ポーカーで意味不明なブラフオールインをして、一瞬でディーラーになる谷口(新4年・谷口航大)くらい続かなかった。
左足首の靭帯部分断裂、左足ハムの肉離れ、右足首の靭帯損傷。
今シーズンは17年間のサッカー人生で最も怪我に苦しんだ1年だった。
復帰後もコンディションがなかなか上がらず、出場機会も減少した。
自分ならもっとやれるのにと思っていても、身体が思い通りに動かなかった。試合勘がなくなり、消極的なプレーが増えた。
そんな中で出会ったこの言葉。
「ただでさえ良馬じゃない自分が、怪我をしておまけにプレーも悪いなんて、競走馬になれないただの家畜レベルじゃん。」というのが聞いてからの最初の印象。
でもこの言葉を聞いてからは、立ち止まっている暇はないと危機感を感じて、すぐに自分の課題にフォーカスできた。
特に秋本さん(スプリントコーチ・秋本真吾)のスプリントトレーニングには、人一倍真剣に取り組んだ。
走りのフォームの部分や、初速に対してのアドバイスを一言一句聞き逃さないように耳を傾けた。
その結果、大学に入学してから30メートル走が0.3秒も速くなった。
課題だったスプリントが長所に変わった。
自分で言うのもおかしいけど、正直これはまあまあすごい。
いや、結構すごい。
今までの走り方が悪かったのが大きいだけかもしれないが、大学生でもこんなに一気に成長できるのかと驚いた。
昨年の自分のブログを読み返してみるとこんなことを書いていた。
大きな変化は小さな変化の積み重ねにより生まれる
この0.3秒が自分の大きな成長への種となる。
最終的にどんな花を咲かせたいのか。
そこからの逆算で、あとはどの変化で水をやり、どの変化を太陽とするのか。
全て自分が好きなように決められて自分で行動する。
変化を積み重ねるのは大変だけども、その分成長、成功した時の達成感は計り知れない。
こんなに楽しい育成ゲームはたぶん他にないだろう。
だけどこのゲームは、ダラダラやっているとすぐにゲームオーバーになってしまうものである。
気が付けば大学サッカーも残り1年。
残された時間はとても少ない。
無駄にできる時間は一秒もない。
さらに来シーズンはチームの最上級生としてチームを引っ張る立場になる。
思い返してみれば昨年の4年生はすごかった。
特に印象に残っているのは、試合に出れなくてもベンチからチームを鼓舞し続ける伊勢くん(R7卒・伊勢航)と公平くん(R7卒・北村公平)の姿。
自分がピッチに立てないことが一番悔しいはずなのに、チームのためにすべてを犠牲にできる熱い漢たちだった。
これが“4年“か、と言葉を失った。
その“4年“に今シーズンから自分たちはなる。
彼らのようになれるかは分からないが、自分たちなりの色を存分に出していきたい。
最後に今シーズンの目標をここに記す。
1つ目は、怪我をせずに1年を通して試合に出続けて、チームの勝利に貢献すること。
2つ目は、4年としてチームを積極的に引っ張っていきつつも、個人としても選手として成長すること。
そして3つ目は、大好きな同期、最高の後輩たちと、日本一とリーグ優勝を成し遂げること。
全国最多優勝を誇る早稲田は2部にいるべきチームじゃない。
早稲田を必ずいるべき場所にみんなで戻そう。
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次回のブログはたにそう(谷川宗士・静岡学園高等学校)です。
第五中足骨を骨折してから筋トレにハマり、毎日のようにトレ室にいる彼はゴツイと言われると嬉しいらしいので、僕もよく彼に「ア式で一番ゴツイね、腕太いね」と、思ってもないお世辞を言うようにしています。
フィジカル強化したはずが、ピッチ上ではあまり接触プレーを好まず、静学仕込みのテクニックと展開力で観るものを魅了する彼が何を語るのか。
皆さん、お楽しみに。
◇笹木大史(ささきだいし)◇
学年:新4年
学部:商学部
前所属チーム:早稲田大学高等学院
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