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宇宙への思いから広がるダイバーシティ&インクルージョン【伊東せりか宇宙飛行士と考える地球の未来#5】

「宇宙開発」と一口に言っても、開発しているものやその目的はさまざま。

このシリーズでは、ワープスペースのChief Dream Officerに就任した伊東せりか宇宙飛行士と一緒に宇宙開発の今と未来を思索していきます。

第五弾となる今回のテーマは、ダイバーシティ&インクルージョンです。ワープスペースのCFOである北原は、宇宙業界には「ダイバーシティ&インクルージョンのベースがある」と言います。どういうことなのでしょうか。

伊東せりか宇宙飛行士北原がディスカッションしました。

新しいことにチャレンジしたい。金融業界から宇宙業界へ

せりか_吹き出し_文字入り
©︎小山宙哉/講談社

せりか:はじめまして。北原さんのインタビュー記事を読みましたよ。何か新しいことを始めようと金融機関からワープスペースに転職されたそうですね。それから、ワープスペースの本社がある筑波が好きだとおっしゃっていたのも読んでいて共感しました!

ワープスペース 北原

北原:私もせりかさんのやりたいことに真摯に向き合う姿勢にはいつも勇気をいただいています。

せりか:ありがとうございます! 改めて、北原さんの業務内容を聞かせていただけますか。

北原:はい。CFOとして財務計画の策定を行っています。わかりやすく説明すると事業を進めていくにあたり、どのくらいのコストがかかり、どの程度の経済効果が見込めるのかのバランスを見ながら立てる計画のことです。

ワープスペースは2021年9月にシリーズAラウンドのファイナルクローズで累計総額約10億円を調達しました。引き続きの資金調達が重要なステージですので、投資家の皆様とのコミュニケーションを非常に大切にしています。

共通の思いから生まれるダイバーシティ&インクルージョンの土台

せりか:実際に宇宙業界に転職されてみて、いかがですか。

北原:事業を進めていくスケジュール感がほかの産業よりも長く、難しさを感じることもあります。

一方、面白いと感じるところも多くあります! 宇宙は未知の世界というか、未踏の領域なので、エンジニアに限らず色々な人が自然と意見を言える状況だということもわかりました。そして、その意見が宇宙で活用されるかもしれない………そう思うと夢がありますよね!

それから、宇宙業界で働いていらっしゃる方は、宇宙が好きな人が多いですよね。金融業界ですと、子どもの頃から金融が好きだったから、業界に就職したという人はほとんどいないと思います。でも、宇宙業界は子どもの頃からの興味や夢がきっかけだという方は多いですよね。そこは面白いなと思います。

宇宙の話をしよう
©︎小山宙哉/講談社

皆さんの宇宙への思いは多種多様ですが、「連携して上手くやっていくにはどうしたらいいのか」を自然と考えています。そして、宇宙産業自体が世界各国の連携なくしてなりたたない産業ですから、いわゆるダイバーシティ&インクルージョンのベースがありますよね。

多様性を認めること、受け入れて活用すること

せりか:「ダイバーシティ&インクルージョン」という言葉を最近よく耳にするようになりました。これは2021年にワープスペースが主催したカンファレンスイベント「WARP STATION Conference Vol.1」のコンセプトにもなっていましたね。

どういう意味なのか改めて教えていただけますか。

北原:ダイバーシティは多様性を認めること、インクルージョンは多様性を受け入れて活用することだと私は思っています。私は前職の金融機関では、女性の活躍を推進する委員会に立ち上げメンバーとして携わっていたことがあります。

ダイバーシティというと、視覚的にわかりやすい男女比に注目が向きがちです。しかしながら、性別だけではなく、年齢や生活環境、その人のバックグラウンド、宇宙業界出身なのかそうではないのかなどもダイバーシティの要素に含まれます。

また、多様性に富んだ人材をただ雇用すればいいというわけではありません。個性を発揮しながら活躍していただこうとするのがインクルージョンです。

せりか:なるほど。わかりやすいです! 身近なところでいうと、ワープスペースでのダイバーシティ&インクルージョンの達成度合いはいかがでしょうか。

北原:ダイバーシティも、インクルージョンも進んでいるのではないかと思いますよ。アルバイトの方も含めると10代から70代まで幅広い年齢層のメンバーがいて、最近では外国籍の方も増えています。筑波大学発のベンチャーですが、筑波大学の卒業生以外の方も多くいます。

せりか:では、宇宙業界全体で見ると、どうでしょうか。

北原:表面的なことしかわかりませんが、カンファレンスに行くと男性が目立ちますよね。ただ、せりかさんのように活躍している女性の宇宙飛行士や研究者は多くいらっしゃって、活躍の度合いにフォーカスして言えば、あまり差はないように思います。

多種多様な視点が最善の選択に繋がる

せりか:ダイバーシティ&インクルージョンが進むメリットは何だと思いますか。

北原:やはりダイバーシティ&インクルージョンの良いところは、色々な視点ができることで、多様な意見が集まり、より良い選択をできることでしょう。その結果、良い成果に結びつくステップが踏めるのではないかと思っています。

ダイバーシティ
©︎小山宙哉/講談社

せりか:ダイバーシティ&インクルージョンがイノベーションに繋がるということですね。最後に、北原さんの展望を聞かせてください!

北原:ワープスペースの事業を実現することは、社会全体の持続可能性の推進や、地球規模の課題解決にもつながると考えています。宇宙産業への貢献だけでなく、人類社会の発展に貢献していきたいですね。先ほど、宇宙は未踏の領域だと言いましたが、我々がまさにやろうとしていることも、まだ前例がありません。

本当に色々な人の意見が大切で、他の産業以上に連携していかないと、成果は上げられないのかもしれないと思っています。せりかさんのように、嬉しくて仕方ないくらい大きな成果をあげられるように我々も頑張っていきたいです。

せりか宇宙飛行士との対談企画第五弾は、CFOの北原とのダイバーシティ&インクルージョンについての議論でした。多様性を認めること、そして多様性を受け入れて活用することがイノベーションに繋がることをご理解いただけたのではないでしょうか。

次回は、世界から注目を集める衛星企業の事業開発担当者を迎え、衛星ビジネスの社会貢献について考えます。

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