【World Satellite Business Week】宇宙ビジネスの最先端技術・衛星間光通信事業者のビジネスリーダーが業界の未来を語る
9月は世界各地で展示会が開催され、宇宙開発における盛り上がりは今後さらに加速していきそうです。弊社からは森、高橋と國井がパリで開催されたWorld Satellite Business Week(WSBW)に参加しました。
World Satellite Business Week(WSBW)は、人工衛星産業のコンサルティング会社Euroconsult(ユーロコンサル)が主催する、人工衛星製造や衛星データ解析、小型宇宙輸送機を中心とした人工衛星関連ビジネスのトレンドなどについて各国の関連事業者のトップエグゼクティブが集結するカンファレンスです。各企業の重役が直接議論やネットワーキングをできるため、非常に商談がすすみやすい場になっています。
WSBW中にはスウェーデン宇宙公社(SSC)が初の光地上局のオーストラリアへの建設をフランスのディープテック企業Cailabsにて発注することや、フランスの衛星通信会社Eutelsatと米国の通信衛星会社OneWebが合併前にも協業を行うなど、様々なパートナーシップ契約が発表されました。2022年末から来年にかけては各地で光地上局の実証や衛星間光通信の実証が予定されており、光通信関連事業者や各国宇宙機関も注目しています。このように、光通信に対する関心が高まるのと同時に、事業化に向けた動きが加速していることが実感されます。
(昨年度の様子はこちらの過去記事をご覧ください。先代の編集者が手掛けた記事であり、私の文章よりも親しみやすさがあります。)
今回もWSBWは、ルーブル美術館の正面のThe Westin Paris - Vendômeの一階を貸し切ったハイブリッド開催で、1500人以上のBusiness Leadersが参加し、意見交換が行われました。ワープスペースのCSO・森はその中で、昨年創設された光通信をテーマとしたセッションのパネルディスカッションに登壇しました。
今回の記事では、WSBWについて、その様子を詳細にお伝えいたします。
パネルディスカッションでは、TESAT社のCEO、Thomas Reinartz、Mynaric社のCCO、Tina Ghataore、Honeywell社のVice President、Andrew Csizmarと共に登壇し、光通信端末の普及についての議論が展開されました。そこで
光通信の規格化について簡潔に述べると、一口に光通信と言っても、どの波長の光を一般的に利用するか業界全体で合意が取れていなければ事業者も利用者も困ってしまいます。モバイル端末の電源ケーブルには、USB-TypeCの端子が多く使われていますが、もしケーブルの端子が対応端末ごとにバラバラではあなたもきっと困ってしまうことでしょう。そのような話です。このパネルディスカッションでは改めて、光通信の規格化の重要性が認識されました。一方で森は、電波帯の規格化だけではなく、トラッキング(光通信を繋ぐ際に、送受信双方のアンテナの位置を確認し、指向させる)プロトコルなど、光通信を「使う」フェーズのベースラインの確立が重要であると議論を展開しました。TESAT社、Mynaric社が光通信端末を開発する企業であるのに対し、ワープスペースはそれをもとにサービスを展開するオペレーション事業者です。そうしたオペレーターゆえのコメントにより、光通信業界のプレイヤーとして違った角度から存在感を示しました。
パネルディスカッションではこのように様々な話題が飛び交いましたが、議論全体の結論としては、
「上記のような課題解決に対してリスク投資が積極的に行われ、その結果、10-15年以内には光通信端末の価格が落ち着き普及していくだろう」
と、前向きな意見でまとまりました。こうした背景にはSDA( Space Development Agency)による規格化への動きがあり、その動きにコラボレートするTESAT社、Mynaric社の忖度も見える、と森は切り込んだ考察を展開します。
(関連記事:日経XTECH様:「光衛星通信」実用化へ世界大競争、ロシアの極超音速兵器で米国が本気モード)
このように、今回のWSBWへの参加により、光通信業界の最先端での動向の中で、ワープスペースはさらなる注目と事業の進展を得ることができました。今後も引き続き、衛星間光通信のキープレーヤーたるワープスペースの事業展開にご期待ください。
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