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ボトルシュリンプ【テナガエビ脱皮の標本】0114

ボトルシップならぬボトルシュリンプ。
手のひらほどの小さな瓶に入ったテナガエビ君。上からも下からも眺められる。

もちろん真正面からも。蓋がわりに度が合わなくて使わなくなったメガネのレンズを接着した。



よくふらっと遊びに行く川辺にこの美しい抜け殻が落ちていた。
穏やかな砂地だから、外敵に襲われることなくここまで丁寧に脱げたのだろうか。
天女の羽衣ならぬテナガ君の透明な抜け殻、足も爪もほぼ完全に残している。奇跡だ。
休日にはパジャマを脱ぐことすらしない僕には真似できない。


蛇の皮の切れ端などはよく見かけるが、テナガエビは見たことがない。

これから先もこれほどの抜け殻をお目にかかるか分からないので、ありがたく持ち帰ることにした。


持ち帰る折、やはり腕の関節からもろくなって折れてしまった。
接着剤で糊付けをして、カラーインクで青紫に染める。


ボトルシュリンプ自体の着想は、富田伊織さんの透明標本に大きく影響を受けている。
あんな風に生き物の細部の分かる標本がずっとほしかった。


ピンセットで瓶の表面に貼り付ける。

瓶のサイズがちいさかったので、脱皮した入口の部分で分けてみた。
テナガくんの体がギリギリになってしまった。

ヒゲも切れてしまったし、試験管に収めた方が良かったかもしれない。

ごめんなとも思ったが、
瓶の底から皮の内側も覗く事ができて、
テナガ君が脱皮する時に見た光景と同じ景色を見られるのが素敵だった。



こうした宝物を見つけると、しばらくは持ち歩いて仕事の合間に眺めたり、さわったりしている。

宝物と一緒にささやかな冒険をしている気分。
子どもの時間だ。
興味を持てる物に出会うたび、子どもの時間に帰っていける。
そういうのがほっとするんだ。


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