【ラグビーＷ杯】台風前夜 19.10.11 オーストラリア対グルジア戦
2019年10月11日・午前10時ごろ、横浜市の天気は「曇り」だった。
この日から遅めの夏休み、もといラグビーワールドカップ休暇を頂き、２カ所ほどスタジアムをめぐる旅をする算段だった。その口火を切るのが、エコパスタジアムで行われるオーストラリア対ジョージア戦である。
僕はその時、同じ試合を観に行くＢ氏の車に同乗し、静岡県袋井市を目指すのだった（※当方はペーパードライバーです。念のため）。
本来であれば車に同乗するのは片道のみの予定だった。試合後の宿泊先として、焼津のビジネスホテルを抑えていた。そこで一泊し、市内でマグロを食し、ゆっくりと新幹線で自宅に帰る……そういうプランだったのだが、「宿泊したらとんでもないことになる」予感がしたので、結局往復の送迎をお願いする運びとなった。
東名高速道路に入り、ひたすら西へ。確かに雨が降っている時間もあったが、どちらかというと「曇り」の印象が強い。時折優しい薄日が差し込むと、「試合中も何とかならないかなあ」とＢ氏と一緒にぼやいた。
※まあ、「さわやか」でハンバーグは食べることができたんですけどね。平日の午後３時入店なら楽勝でした（笑）
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パーク＆ライドでつま恋南駐車場からスタジアムへと向かう。エコパに行くのは初めてだが、なるほど、こういう山の中にあるのか……。いかにも「広い土地」のお陰で誕生したスタジアムである。
この時点で午後５時。会場外では子供向けのラグビー体験コーナーだったり、招待されたであろう中学生の集団が行列をつくっていたりと、どことなく長閑な雰囲気が漂う。
この試合をもって、エコパスタジアムでの開催は終わる。３週間にもわたるグループリーグが終わろうとしている。
何事もなく、試合が終わるというのは良いことだ。さて、自分はこれからどうなるのだろうか……。
そんな少し不安な気持ちに入り込むかのごとく、雨粒の量はは次第に増していった。
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オーストラリアもジョージアも、なかなかこの３試合で調子が上がってこない。前者はフィジーに60分間苦戦し、ウェールズには反撃空しく敗戦。この日のスタメンは若手を中心に組まれており、大会期間中に少しでもチーム力を上げたいという意志が伝わってきた。
一方、ジョージアも次回大会出場権を争うフィジーに完敗を喫し、この試合に勝たなければグループリーグ４位以下が確定してしまう状況だった。勝ったウルグアイ戦でも感じたことだが、やはりスクラム以外の強みが見いだせない。バックスでトライを獲るチャレンジもしているが、それも道半ばの印象だ。
そんな試合は悪い予感通り、低調な出来栄えで進む。
無理やりな感のある突破が通じないオーストラリアと、それに耐えるジョージア。アタック＆ディフェンスの練習を40分間ひたすら見ているイメージである。とにかく、前者のオフェンスには工夫というものをあまり感じられなかった。
後半13分に入り、ようやくマリカ・コロイベティが60メートル近い独走トライを奪い、個の力を見せつける。ただ、それ以外は何か印象を残したかと言われると…？ である。さて、トーナメントに行って結果を残さなければ、マイケル・チェイカ氏の進退もどうなることやら。
トライの印象度で言えば、ジョージアが奪った唯一のものの方が質が高い。
ラインアウトのボールを何とかキープし、司令塔のフマラゼへ。そこからの斜めに切れ込むラン＆フラットなパスは、まさにお見事の一言。ウィングのトゥドアは、がら空きになったライン際を気持ちよく走りきればオッケーだった。
この一連の流れは素晴らしかったのだが……いかんせん、この日は肝心のセットプレーがピリッとしなかった。スクラムの成功率は75％、ラインアウトは50％を超えるのがやっと。日本代表の好敵手としてしのぎを削っていったが、どうもこの大会で差が広がってしまった感はある。「フォワードだけに頼らない」というスタイルチェンジは英断ではあるが、まだ産みの苦しみの中にいるのかもしれない。
◆
試合後は雨はもちろん、寒さが身に染みた。もっと熱い試合を観れたのならば……と考えてしまう。Ｂ氏との会話も、試合に関することはあまり無かった。
むしろ、変わりつつある外の様子について、色々と話し合った記憶がある。夜も遅いのでついついウトウトしてしまうのだが（←こら）、時折起こる強い雨と風の音に体は思わず反応してしまった。
家の近辺に辿り着いたのは、10月12日の午前２時半頃だった。その時はちょうど、横浜市某所の雨脚は弱まっていた。今日、そして明日以降への不安を抱きながら、僕は少し早歩きで家路を目指すのだった
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