2002年からの武術エッセイ
20年前、私が手にした武術という魔法の杖は、幻想にすぎなかった。
ただ、日々の生活の中で弱い自分が許せなかった。
そこで作り出したのが武術という魔法の杖。
現実はいかに厳しく、自分はいかに弱くても、その杖さえ持っていればたちまち変身できるのだと思っていた。
普段、会社で上司に怒鳴られ、顧客に叱られ、取引先にバカにされ、うだつがあがらない自分でも、道場に行って稽古したら、気分が晴れて満足した。
だれも知らない特別な技を習っているという優越感。
本気で自分が怒ったら、どんな奴だ