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#3 将来のこと(高齢者施設での話)

高齢者施設(入所)での話。

今回はMさん(100歳/認知症なし/加齢による筋力低下・震えあり)の話。

筋力の低下によって、口元にお食事を持っていくのが、なかなか難しいMさん。
それでもお話されるのがとても好きで、色々なお話を聞かせてくださいました。
「八百屋の息子だったから、形が変わってる食事(ペースト食)でも味でわかるんだよ」
とか
「娘は学童で働いてるから、子供たちに優しいんだ、いい子に育ってくれたよ」
とか
とにかく明るく楽しい話題をたくさんくださり、私も楽しくお手伝いをしていました。

いつものお食事の時間。
他の利用者の方が職員に怒鳴りつけている様子がありました。何かあったのでしょう。
お食事の時間は基本的にリビングに皆さんで集まって召し上がるので、もちろんその会話はNさんにも聞こえています。
するとNさんがすごく穏やかにこう言いました。

おじいちゃんおばあちゃんになるとね、誰かに助けてもらわないと生きられないんだよ。この先短いかも知れないけどね、みんなのお世話になるんだ。その為に、みんなから愛されるようなおじいちゃんおばあちゃんでいなくちゃいけないよ。ちょっとのことで怒らない、笑ってありがとうを言う、それだけでいいんだ、簡単でしょ。

と。

ああ、確かにMさんはいつも笑顔でありがとうを言ってくれるし、楽しくなるような話をたくさんしてくれているなぁ。
『将来のこと』なんて何十回も考えてきたけど、その『将来』に100歳の自分を考えたことがあったかなぁ。

そう気付かされ、私はMさんに「そんな素敵な考え方、まだ私にはなかったです、ありがとうございます。」と伝えました。

この日もお食事を終えると、Mさんは
「ありがとう、今日も楽しく食べられたよ。」と笑っていました。
私もこんな素敵なおばあちゃんになりたいなぁ(˶ᐢωᐢ˶)

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