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元カノ
10年以上のお付き合いになる。
横浜出身の音楽ユニット「K.K.」を
高校生のときから応援している。
理由はさておき彼らのファンは『K.K.O.』という。
「K.K.」は『K.K.O.』のプライベートな情報を
たくさん知っているので側から見れば友達のようだが、その実、恋人関係にあると思う。
それを一番色濃く感じられたのは
2021年2月に突然告知された
ファンクラブ(以下、FCという)の切り替えだったと思う。
新しいFCは画期的だった。
FCといえば従来はライブの先行抽選の参加権を得るためだけに入るのが一般的だった。
しかし新しいFCは違った。
入会した人のみが閲覧できるFaniconアプリでSNSのように画像投稿やチャットを利用できる。さらにアーティストが生配信できる動画サービスまで持ち合わせていた。
ライブバンドだった彼らがコロナ禍、ライブの実施が難しくなった際にどれだけ『K.K.O.』のことを想ってその選択をしてくれたのか今なら痛いほど分かる。
結果的に入会しなかった人は元カノになった。
イーロン・マスクが時折、口にする“スーパーアプリ”並に目新しかったこのFCは5400円だった。
当時のMr.ChildrenやOfficial髭男dismのFCよりも高かった。ぶっちぎりで高かった。
でも今だから言える。
『K.K.O.』にとって値段なんて別にどうでもよかったはずだ。
数千円の違いは大したことないと思えるほど
長く、長く、応援を続けた人が多かったから。
それより深刻だったのは何も説明がないまま一夜にして旧FC『Hapirio』の愛称や存在を消滅宣言したことの方だった。
“いつも”の「K.K.」は『K.K.O.』が余計な心配をしないように「大切なお知らせ」をするときは事前に「嬉しくなるお知らせだから心配しないでね!」と言葉を添えてくれた。だからこそ『K.K.O.』はそれを当たり前のことだと思っていたんだと思う。
「K.K.」は新規のファンも昔のファンも『K.K.O.』として同じ熱量で接してくれる。だから『K.K.O.』という名称はみんなの権利だった。
一方で新規ファンと長年応援しているファンを区別する言い方が『Hapirio会員』だった。『Hapirio会員』は秘密のイベントにより、特別な思い出を「K.K.」と共有していたから「わたし、Hapirio会員」と名乗る人も多かった。
そばにいられた日々
頭を駆け巡ってゆく
いろんな君が語りかける
こんなことになるまで
気づけなくてごめんねと
そんな言葉も出てこなくて
『合鍵と糸』 - K.K.より
恋愛をすると人は愚かになる。
長年、ずっと一緒にいると好きだと言わなくても伝わっているつもりになってしまうし、言葉をわざわざ伝えなくても通じているような気がしてしまう。
今思えば「K.K.」と当時の『K.K.O.』はその域に達していたのだと思う。
『今まではHapirioだったけど、これからはK.K.の一部になって欲しい』。このくらい決まり切った言葉があの当時は必要不可欠だった。
新FCの発足後はアプリ内での活動が中心になりライブの告知や課金の匂いがするもの以外ではほとんどSNSで目にしない。元カノ泣かせである。
『Hapirio会員』の時代、FCの会員番号はどれだけ古い時代から応援しているかの指標だった。それだけに今回のFCも入会順に会員番号が発番されることが事前に分かっていたためモチベーション的に後から入会するのは僕にはできなかった。
上記の理由で悩み抜いた末、
新FCに入会したので現在も『K.K.O.』でいる。しかしライブの参加者が9割以上新FCの入会者で、それまで毎月遠征してまで足を運んでくれていた遠征組K.K.O.の大半を追いてったという事実を僕は未だに他人事とは思えないでいる。あの人たちがコロナぐらいでライブに来なくなるとはとても思えなかった。
Play.Gooseでも同じことが起きたので
僕は敢えて入会しない選択をした。
元カノになってみたかったのだ。
元カノになって愛し切れるのか検証したかった。
ホストのように言われるままじゃんじゃん貢ぐのではなく推したかった。
Goose houseのライブに参加し続けることにはこだわりを持っていた。そのため「ライブ告知されたけどFC先行が既にあったんだろうな」としんみりする覚悟は持っていた。
結果、初めて見たのがツアーファイルの完了報告だった。告知も目に映らないままライブツアーは終了していたのだ。おそらくアプリ内で頻繁に告知していたのだろう。
....
当たり前だった。
元カノに新しいカノジョとのデート先をうっかり教えるほど僕の愛した人たちが爪の甘い男なわけがなかった。
「dirty lady」や「スキ?ダイキライ?アイ?」など浮気の曲が増えているがGARAGE HOUSE(帰る家)のある男との恋愛は現実世界では御法度である。性欲に負けてカップ一杯分もmilk垂らされている場合ではない。
NTRの性癖はなかったので
ラブホに入るのを目撃する前に撤退した。
...いや嘘をついた。
NTRに少し興味がある僕が撤退しているということは数千、数万単位のフォローだけしたままの離脱者(元カノ)を製造しているのではないだろうか?
応援ってこんなに敷居が高いものだっけ?
話は「K.K.」に戻すが
『K.K.O.』が入れ替わっても
マンスリーワンマンライブを開催できるのは
彼らの人柄の良さ、あってこそなんだと思う。
僕も何度も彼らの言葉に救われている。
....
昔の女の話をつらつらと並べてんじゃねーよって?
少しくらい執着させてほしい。
イマカノですから!
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