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ウイグルは米中対立の道具

■米中対立
 中国が覇権を拡大するとアメリカの覇権と対立。アメリカから見れば中国は挑戦者。しかも今の平和を否定して、中国に都合が良い平和への書き換えを目論んでいる。こうなれば現状維持派のアメリカと、現状打破派の中国との対立は激化する。

 アメリカは中国を批判するネタとして、中国共産党がウイグルで行う人権弾圧を使うようになった。何故ならウイグルは中国が進める一帯一路の進路上に存在する。ウイグルを使うことで、アメリカは中国の一帯一路を妨害し始めた。

ウイグルの施設は「強制収容所」、米高官の非難を中国否定
https://www.afpbb.com/articles/-/3223869?cx_part=top_category&cx_position=5

■戦略論
 国家の戦略論が存在し、大雑把には三区分されている。紀元前の世界では現状拡大派が主流であり征服者が好んで用いた。だが近代からは現状維持派と現状打破派の対立が主流。

国家の戦略論
1:現状拡大派・征服者の戦略
2:現状維持派・強者の戦略(弱者同士を戦争させる紛争作為戦略)
3:現状打破派・弱者の戦略(瀬戸際政策)

 国際社会の平和とは強国に都合が良いルール。だから強国は現状維持派になり、今の平和を維持する戦略を選ぶ。だが常に今の平和を拒む国が出る。少しでも待遇を改善したい国は、イランの様にアメリカと対立する。

 さらに今の平和を拒否し、自国に都合が良いルールに書き換えたい国が出る。待遇改善ではなく、根本的に平和の書き換えを選ぶ国が中国。改善も書き換えも強国アメリカへの挑戦。だからイラン・中国などは現状打破派となる。

■一帯一路
 一帯一路は陸路と海路の交易圏であり交易路。一帯一路を認めさせるのは経済力だけではない。政治・経済・宗教などは軍事を背景にした外交を用いなければ使えない。

国家の戦略論 = 外交×軍事
 国際社会では軍事を背景にした外交を行うことで機能する。だから一帯一路を維持するには、継続的に軍事力を展開できる能力が求められる。これは交通路の一帯一路上には、必ず人民解放軍の基地が置かれることを意味する。

 アメリカは世界の警察を称して世界各地に基地を展開した。これは海洋国家アメリカの本音を隠すための建前。アメリカの本音は「アメリカの国益第一」。だからアメリカは世界の警察として世界平和を建前にした。

 アメリカは海上交通路を守るために世界各地に基地を展開し、付近でテロや紛争が発生すれば軍事力で介入した。中国が進める一帯一路は、アメリカに代わり世界の警察を行うことを意味している。

 つまり一帯一路は、中国に都合が良いルールであり中国のための平和。本音は中国のための平和だが、建前として世界の平和に変えて人民解放軍を軍事投入する。世界各地に人民解放軍が配置されると、基地から中国の覇権が及ぶことになる。

■アメリカの対抗
 現状維持派のアメリカは現状打破派の中国に敵対心を持つのは当然。お互いに本音と建前を知っているから、双方が国家戦略の手段破壊に手を出した。アメリカは一帯一路の陸路に注目し、イランとウイグルに干渉している。

 ウイグルは中国と外国を結ぶ一帯一路の門に位置する。中国共産党はウイグル人を拘束して強制収容所に入れている。さらに強制収容所で再教育と称した洗脳だけではなく強制労働を行っている。
 
 中国共産党から見れば、伝統は命令しなくても人を集める。そして人が集めれば易姓革命の種だから、中国共産党はウイグル人の伝統・宗教を否定する。中国共産党は反乱対策としてウイグル人だけで強制収容所送り。そこで再教育と称した洗脳を行うのだ。

 中国共産党は強制収容所を生産工場に変えた。最低限の食事でウイグル人を働かせれば、人件費ゼロで利益が出る。これはウイグル人の洗脳もできるし利益も得られる。ウイグル人100万人になれば、安い商品でも中国共産党が得る利益は莫大になる。

 国際社会は人間が死ぬよりも、生きたまま自由を奪われることに反発する。アメリカは国際社会の基準を知っているので、ウイグル人から自由を奪う行為を外交材料にした。

 ウイグルは中国における一帯一路の門に位置する。だから中国共産党は血眼になりウイグル人の弾圧で反乱対策を強化する。ウイグルで反乱が発生すれば一帯一路の陸路は遮断される。だから中国共産党はウイグルを異常なまで重視する。

■アメリカの動き
 だからこそアメリカはウイグルの人権問題で中国を批判する。さらにアメリカは北朝鮮・ベネズエラへの対応は軽い。だがイランと中国を重視。その理由は、中国は一帯一路でアメリカに挑む。イランは一帯一路における陸路の中継地点。しかもイランは海側に面しているので軍事投入が容易。だからアメリカはイランを執拗に敵視し、イランを追い詰めている。

 アメリカはイラン対策でイラン付近に一個空母艦隊を派遣した。これはイランへの対応ではなく、中国の一帯一路潰しの一つ。ウイグルも中国の一帯一路潰しの道具になった。だがウイグル人は、アメリカに協力すれば人権を回復する可能性が高まったことを意味する。

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