【ぶんぶくちゃいな】舛友雄大:「チャイノベーション」進行中 東南アジアのスタートアップから目が離せないこれだけの理由

今号は、中国や東南アジアをフィールドにしているジャーナリスト、舛友雄大さんに、彼が最近注目している「東南アジアのスタートアップ事情」について「入門編」をご寄稿いただきました。日本ではほとんど紹介されることがない東南アジアの動向は、なかなか興味深いです。舛友さんは引き続きこのテーマで取材中とのことなので、また他のメディアで記事が紹介されるかもしれません。要注目です。舛友さん執筆記事はこちら:https://note.com/tmasutomo

◎舛友雄大:「チャイノベーション」進行中 東南アジアのスタートアップから目が離せないこれだけの理由

東南アジアのスタートアップに注目しなければならないと改めて痛感したのが、昨年5月にスイスで開催されたダボス会議の取材をしていた時だった。まさにそんな企業の幹部を招いて会場の一角でクローズドな会議が開かれていたのだ。そこでは世界を股にかける経済エリートたちと彼らとの間で濃密な意見交換が繰り広げられていたのは想像に難くない。

ダボス会議の期間中に、実際に東南アジア発ユニコーン企業(注:評価額が10億ドルを超える、設立10年以内の未上場企業)の幹部と話す機会があり、彼らの熱意やビジョンに圧倒された。対照的に日本からダボスにやって来ていた参加者は少なく、財界からは常連のサントリーHDの新浪剛史代表取締役社長を見かけたくらいだった。

セミナーに出席していた、インドネシアを代表するEコマース企業「Tokopedia」(トコペディア)の創業者ウィリアム・タヌウィジャヤ氏は筆者に対して、「私たちは最もラッキーな世代だと思う。米中のイノベーションからからアイデアを得た」と語っていた。

この地域でスタートアップ業界がますます熱を帯びているのは必然と言える。世界が欧米を中心とした民主主義陣営と中国を筆頭とする権威主義陣営に分裂しつつあるなか、東南アジア諸国は今でも自主性を維持するという基本に立った観点から是々非々で両陣営と付き合っているからだ。

●投資額はすでに日本を抜いている

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