《アメリカのITサービスに近い「中国版〇〇」を一挙紹介》(Business Insider Japan)

●「アメリカのITサービスに近い「中国版〇〇」を一挙紹介」(Business Insider Japan)

変な記事。アメリカのサービスしか知らないアメリカの読者向けならまだしも、これを日本語化して日本人にそのまんま読ませるメディアの感覚を疑う。

確かに似ているところはあるし、出発点はパクリだったと思われるサービスは多い。だが、それは中国ばかりではなく、日本もそうだ。加えて今アメリカや世界でビッグになっている企業が最初、他者のパクリや模倣じゃなかったと誰が言える? LINEをWhatsAppのパクリと言われたら、どう思う? そしてそのLINEは明らかにWeChatの持つサービスをパクっている。

この業界は新しいのと、ほぼ世界同時に始まったので先進国優先の業界ではなかった。その結果、資本を持たない者も人気サービスを研究し、その秘訣を学び、それをさらに発展させて市場で勝つ、という図式が繰り返されている。

中国の場合、政府が外国サービスを締め出しているので、「○○はないが、パクリはある」みたいな論調がまかり通るのだろうが、この記事には世界のどこのサービスも提供してなかった独自サービスや機能の成功は一言も書かれていない。そこがこういう記事の浅いところ。

アリペイやテンセント、そしてシェアリングエコノミー、更にはシャオミをはじめとしたIoTはものすごく積極的に攻めてるし、参考になるところも多い。バカにはできないと思うよ。ファーウェイのとこなんて、「入ってこれないだろ? やーい」って言って喜んでるとしか…

お互いに学び合えるものがあるのにね。こういう記事に満足してるのって、ビジネスパーソンとしても、消費者としても、もちろんメディア人としても、本当に残念。あと、これを朝のおすすめニュース記事としてプッシュしてくるNPはやっぱりニュースメディアじゃないな、という意味でもう論外。

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