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月刊「ぶんぶくちゃいなノオト」

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#香港警察

【ぶんぶくちゃいな】まるでリアルSF小説…香港国家安全法の2年目

香港国家安全維持法(以下、国家安全法)施行後の2年目、香港は初年度よりもずっと早く「解体」されている気がする。

そのおかげで、この間に人生を大きく狂わされた人がどれほどいることか。

香港メディアは先月、香港出入境データをもとに、同法施行後の1年間において出境者が入境者の数を10万人以上上回ったことをはじき出した。ちょうどこの間は世界的なコロナ感染拡大下で世界規模で人的移動が大きく制限されており

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【ぶんぶくちゃいな】「国家安全法」という口実、そして親中派も逃亡を始めた香港

2020年は中国も香港もとにかく心落ち着かない1年だった。もちろん、新型コロナを計算に入れると、心落ち着かないのは中国や香港だけではないのだけれど。だが、ここでいいたいのはもちろん、新型コロナ「以外」のお話である。

特に香港は昨年のデモに続き、いやたぶん昨年はデモに参加することができて少なくとも自分の思いを手段に訴えることができたのに、今年は完全にほって置かれたまま事態が最悪の状況になってしまっ

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【ぶんぶくちゃいな】「カナリアが逃げていく」 崩壊続く香港社会のコンセンサス

これを書いている日の朝(日本時間)、トランプ米大統領が先日亡くなった、ルース・ベイダー・ギンズバーグ(通称RBG)最高裁判事の後任として保守派のエイミー・バレット現連邦控訴裁判事を指名するという報道が流れている。

RBGがクリントン大統領時代に60歳で史上二人目の女性最高裁判事候補になったとき、「高齢過ぎる」という声もあったというが、彼女は歴代の男性判事が自分よりもっと高齢でありながら任命された

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【ぶんぶくちゃいな】公務員、教師、そして警官…香港国家安全法下の日々

「若さそのものが罪なんでしょ。だからこそ、警察はこの1年間、人を見ればすぐに捕まえてる。警察って市民を保護して、悪い人や犯罪者を捕まえるものだと思っていたけれど、今はすっかり変わっちゃった。180度違う」

これは12歳の少女、パメラさんの言葉だ。彼女は先週日曜日の9月6日、母親と兄と一緒にモンコックで昼食を取り、その後母と分かれて兄と絵の具を買いに出かけたところ、警察に拘束された。突然、荒い声を

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【ぶんぶくちゃいな】国家安全法:香港政府は「ダーティージョブ」を引き受けた?

今週はまたもやいろいろあった香港だけれども、一番愉快な思いにさせてもらったのがこのニュースだった。

短い記事なのでさっと読めるはずだ。この前提となるのは、7月末に流れた「米国系銀行が香港政府関係者が持っていた銀行口座閉鎖を通告」というニュースだ。

米国政府は、中国中央政府が香港国家安全維持法(以下、国家安全法)の施行を決めたことに対して、その制定、香港の自治を損なう国家安全法の制定に関わったと

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【ぶんぶくちゃいな】元朗721無差別襲撃は「香港の天安門事件」だ

【ぶんぶくちゃいな】元朗721無差別襲撃は「香港の天安門事件」だ

7月21日が巡ってきた。昨年のこの日、香港郊外の元朗にある地下鉄の駅で無差別襲撃事件が起こり、居合わせた妊婦1人を含む45人が重軽傷を負った。

この事件は昨年の香港デモを語る時、ぜったいに忘れてはならない重大な事件となっている。筆者もデモについてコメントを求められるときは必ず、この事件がデモ全体に与える影響の深刻性を強調してきた。だが、日頃から香港問題に関心を持っている人以外、ほとんどの日本人は

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【ぶんぶくちゃいな】香港の社会秩序を撹乱しているのは学生なのか、それとも警察か

「明日からホテルに移る。日曜日の飛行機でいったん国に帰ることにした。本当は今の香港はとても大事なときで、それを体験することはとても貴重だし、大事なことだとわかっているんだけれど」

昨年のフェローシップで滞在した、香港の大学で知り合った、あるヨーロッパの国からの博士課程留学生Vがグループチャットでそうつぶやいた。ちょうど1年前にそのフェローシップが終わり、みなが散り散りに東南アジアの各国に帰った。

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【ぶんぶくちゃいな】ある「和理非」青年の死:当事者たちにやれること

11月8日、香港時間の午前8時9分、香港科学技術大学2年生の周梓楽さんが亡くなった。4日未明に郊外の住宅地、将軍澳の自宅近くのマンションの駐車場2階に倒れているのが見つかって以来、まったく意識を取り戻さないまま、脳死状態となり、この日朝に心臓が停まり、心臓マッサージを続けたが心拍は戻ることがなかった。

周さんは発見当時、脳を損傷するほど激しく頭を打っており、頭蓋骨内の血塊を取るための手術、そして

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【ぶんぶくちゃいな】香港警察への不信感拡大 崩壊する社会秩序

10月16日に香港紙「明報」が掲載した、香港デモ開始後5回目の民意調査は、4カ月間さまざまな手法で続けられてきたデモがいかなる性格を帯びるに至ったかを顕著に説明するものだった。

注目すべきは、市民の警察に対する姿勢である。わたしは先週ちょうどティーンエイジャーの子供2人を持つ夫婦をネットを通じてインタビューしたのだが、1時間半のやり取りの間、ほぼ3分の2以上の時間が「いかに警察が信用できないか」

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【ぶんぶくちゃいな】陳浩基(ミステリ作家)インタビュー「香港は現代のカサブランカなんですよ」

昨年9月に日本で翻訳出版された香港人作家、陳浩基さんのミステリ小説『13・67』が快進撃を続けている。

日本では中国語の世界のミステリなんてほぼ知られていなかった(わたしも知らなかった)のに、なんと昨年末には日本のミステリファンが選ぶ「年間海外ミステリ作品」の1位に選ばれた。国内外のミステリを読み慣れている日本のミステリファンが推したという点からも、香港を舞台にしながら、また香港の歴史を背景にし

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