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【エッセイ】雨音と過ごす休日

春の雨は、時折ぱらぱらと降り出すかと思えば、すぐに土砂降りに変わる不安定なものだ。この週末も天気が崩れて雨が降り、外出の予定はすべてキャンセルせざるを得なかった。

だが、雨の日にも、家族でゆっくり過ごす楽しみはいくつかある。

朝、リビングに降りると、窓辺には雨粒がびっしょりと張り付いていた。

ぽつりぽつりと、窓に当たる雨音が心地よく、しばし佇んでその音に耳を傾ける。そんな時、うちの1歳になったばかりの娘が、はにかんだ笑顔でこちらを見つめていた。

彼女もまた、雨を眺めていたのだろう。

娘を抱き上げると、彼女は目を輝かせながら窓の外を指差す。
ガラスに張り付く雨粒が、彼女の興味を引いているらしい。雨がザーザーと降る中、彼女の純粋な好奇心に微笑ましく感じる。

娘と一緒におもちゃで遊ぶことにした。床に広げたマットの上で、彼女はブロックを積んだり、ぬいぐるみを抱きしめたりする。
雨音がバックグラウンドミュージックのように響き、室内の静けさと調和している。

娘がブロックを手に取ると、キラキラと目を輝かせて笑う。彼女の無邪気な笑顔に、心が和む。雨が降ることで、こんな至福の時間を過ごせることに感謝したくなる。

昼過ぎには、娘の昼寝の時間を迎えた。ゆっくりとリビングのカーテンを閉め、雨音に包まれながら眠りについた娘を眺める。

雨のせいで外に出られない分、家族で一緒にゆっくり過ごす時間が増えたので満足だ。

夕方には雨はすっかりやんでいた。窓を開けると、新緑の葉が濡れてキラキラと光っていた。空気も澄んでいて、春の香りが漂っていた。

娘はリビングの窓から外の景色を眺めて喜んでいた。

雨の休日が終わり、夕食を一緒に取りながら、家族で過ごした時間の大切さを改めて感じた。

晴れた日には外で活動的に過ごすのも良いが、雨の日には家族でゆっくりと過ごす時間がまた格別だ。


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