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【エッセイ】涼風を待ちわびて

梅雨真っ只中の夜、僕はベランダに立っていた。

夕立が過ぎ去った後の空気は、湿度を帯びつつも、それはそれで心地よかった。

頬に触れる夜風がひんやりと涼しく、僕の体はその感触を歓迎していた。


不思議と、この季節の雨上がりの風は特別に感じる。

まるで自然が、心地よさと安らぎを伝えてくれているかのようだ。


「夏が近いな」と思う。

もうすぐ熱帯夜がやってくる。

それでも、僕はこの瞬間を大切に感じていた。


梅雨という季節は、湿度と闘いながらも、そんな小さな幸せを教えてくれる。

毎日の生活に潤いをもたらしてくれる、雨上がりの夜風。


それは、ちょっとした自然の贈り物のようなものだ。

まだまだ暑い日が続くだろう。
蒸し暑さにうんざりする日々が待っている。


だけど、それでも僕はこの季節が好きだ。

だって、こんなにも心地よい風を感じられるからだ。

夏への期待感とともに、雨上がりの風が僕の頬を撫でる。
これから始まる季節を予感させる、そんな風だ。

僕はベランダに立ち続けた。

ひんやりとした風を感じながら、これから訪れる夏を想像した。

あの風が、どんな季節を運んでくるのか。

楽しみに待っている。


それは、ちょっとした冒険のようなものだ。


この雨上がりの風とともに、新しい季節への旅が始まる。

それは一人の人間が感じる、小さな喜び。


その喜びは確かに僕の胸にあり、深く響いていた。


夜風と僕。

梅雨の雨上がりがつむぐ、夏への小さなプレリュード。

これからも、その感触を大切に感じていきたい。


だって、それが僕にとっての夏の始まりなのだから。

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