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第二話: ピーナッツの魔力...

翌朝、目が覚めてもまだ心がゾワゾワしていました...。

「アイルランドで最初に出会った妖精のおはなし」シリーズ

▶第一話: 「もちこ、ゴールウェイに住む!」はこちら◀

この辺りの家賃相場はもちろん、同じホステルに滞在しているワーホリビザで来たカナダ人やニュージーランド人が、毎日家探しや仕事探しでひぃひぃ言ってるのを知ってる...。英語ネイティブの彼らでそんな現実。ちなみに専門学校の科学の先生も住んでた(アイルランド人です)笑。

立場が違う旅行者と同室で過ごし、日に日に入れ替わるメンバー。同じ部屋をずっとキープできる訳ではないので、ワーホリ仲間たちと「今日わたしは1日だけ違う部屋に移らなきゃなの」とか、「え?今日わたしの下に引越したの?」(ドミトリーなので、2段ベットとなります)とか半ばジョークになってる毎日。1年間分の生活用品が入った重いスーツケースを整理して、洗面用具などをかき集めて部屋を数日単位で移動しなきゃいけない日々は本当にクレイジーだった。笑

できるなら一刻も早くこのホステル生活から抜け出して、安定したゴールウェイライフをスタートさせたい。

ぞわぞわが一向にとれないので、ゴールウェイに最初に着いた翌日に、奇跡的に知り合いになった日本人の男性にこの状況を相談してみることに。(この男性とつながったマジカルストーリーも別シリーズで書きますね)

すると、

「アイリッシュのルームメイトにも聞いてみたよ。絶対そこにすぐ決めてはダメ。」

そう言ってくれたので、ようやくどうお返事していいのか分かった。

「その家はとっても良いしすごく気に入ったよ。でもね、まだあなたのことをよく知らないし、直ぐには決められないや。昨日はありがとうね。」

すると彼からこう返信が来た。

「僕も実は同じことを考えてたよ。全然大丈夫。じゃあ、また今週末にピーナッツ食べにパブにでも行かないかい?」


………ピーナッツネタまだ言ってるのか。。。笑💦


わたしはピーナッツ食べちゃったけど、目の前に居たあなたにちゃんと「このピーナッツは誰の?」って聞いたのに。きみは「知らないよ、目の前にあるピーナッツはきみのモノ。食べて良いんだよ」って言ったから食べたんだけど、あんたのだったんじゃん!笑

ということで、ようやくザワザワとしていた気持ちが落ち着いてきて、家さがしに奮闘する毎日がこれから始まるのでした。。。



しかし、健闘の結果は悲しく、そこから1ヶ月、幸運は巡ってきませんでした。。


一つの募集広告に1.2日で500件くらい応募が殺到する現実。まず、問い合わせてみても返事が返ってこないことがほとんどなんです。

返事が返ってきたら、ようやく見学のやりとりができるのだけど、とはいえ見学に行ってもいい条件とは限りません。このハウスメイトとは住めないな...とか、家の衛生状態が悪かったり。


と、家探しをして一ヶ月後、そこに、とってもいい条件のお家の募集を見つけました。

ポストカードの写真などにもよく使われる、ゴールウェイの顔にもなっている海沿いの道にあるお家。

募集広告を見てすぐにメールを送ってみたけど、返事が来ないので、もう電話をかけてみました!すると、奇跡的に出てくれた!

見学日時も決まって、いざ見学に行くと、とっても良い感じのアイリッシュの女性が二人出迎えてくれました。

お部屋は思ったより小さくなく、1階にあると思っていた部屋は2階だったし、窓からは海辺が見えるし、リビングルームの大きな窓から見える景色は最高でした。

ハープを習いに日本からやってきたと言ったら、「それはすばらしいね!」と言ってくれたり、料理好きのアイリッシュ女性が、「今度日本食作って欲しいわ」なんて言ってくれ、なんだか期待が持てそう...。こんなお家に住めたら言うこともなく楽しいゴールウェイライフが送れるよ...。


「Fingers Crossed」


幸運を祈る、という訳ですが、よく使われるフレーズです。

もともと、魔女や悪霊払いの仕草だったことが由来だそう。


出会ったときから二人で出会いに運命を感じたアメリカ人のマーメイドのような友達に話をしたら、

「I have a good feeling! You can take it! Go Miha!」

(わたしにはいい気しか感じない、絶対取れるよ!行け〜!)

※miha -> 本名です

と言ってくれて、とにかくFingers Crossedの悪霊払いパワーを信じて待ってみることに。。


数日後、連絡が来ました。

「この部屋に興味を持ってくれて本当にありがとう。実は、この前、立ち合いできなかったもうひとりのハウスメイトが是非あなたに会いたいと言っているの。今夜か明日、もう一度来れないかしら?」

すぐに今夜行ける旨を伝え、早速会いに行ってきました。

なんと一時間ばかりみんなと喋って、もちこのことは気に入ってくれた模様...。


「これは難しい選択ね...」


今日はじめて会う彼女が言いました。


やれることはやったし、後は本当にFingers Crossedするのみ...。

行きつけのパブのメンバーも願ってくれていました。


お返事は2日後にもらえるそう。



翌日、見知らぬ番号から着信が...。

出てみると、なんとアイツだった。


「ぼくだよ、キースだ。覚えてるかい?ピーナッツのキースだよ。実は、この前大家と話したんだ、そして来月から少し家賃が上がると言われたんだ。そこで、僕は空き部屋を誰かに貸し出そうと思って、昨日早速街中のスーパーや学校に広告を貼ってきたんだよ。家に帰ってきた時、ふときみのことを思い出してね。きみがまだ興味あれば、僕もハウスメイトを探しの手間が省けるし、大歓迎だよ。どうだい?もしよかったら、今日か明日でも部屋を見に来ないかい?」


このタイミングでこの連絡が来るとは、、、この妖精恐るべし...。明日答えがわかる物件があることを伝え、もしその部屋がとれなかったらそのときは連絡を入れるよ、と伝え、電話を切った。


果たして、その部屋は取れるのかな...

(つづく)


第一話: 「もちこ、ゴールウェイに住む!」はこちら





読んでいただきありがとうございます! これからもわくわくする物語を綴っていけたらと思います。 続きが気になる方はぜひフォローして頂けるとうれしいです*