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不登校は、果たして”一部の例外的少数者”なのか??〜文科省・有識者会議より〜

文部科学省が10月末に発表した、不登校児童生徒に関する最新調査(※)。

この調査結果に対し、文部科学省の有識者会議において委員から様々な意見・見解が寄せられました。
何点か、抜粋してお伝えします。

※正式名称は『令和3年度 児童生徒の問題行動・不登校生徒指導上の諸課題に関する調査結果』
※「不登校=問題」??。問いの立て方がそもそも違うのでは?
…繰り返しになりますが、個人的にはそう考えています。

学校が調査し、教委へ結果を提出。…”本音”は言える?

▷戸ケ崎勤委員(埼玉県戸田市教育委員会教育長)

「前回の『令和2年不登校児童生徒の実態調査』では、『学校に行きづらい』と感じるきっかけは『先生』だったと答えた児童生徒の割合が、小・中学生の合計で約29%に上った。一方で今回の調査では、小・中学生の合計で約1.4%しかない。
本調査は、学校が(調査結果を)教育委員会に提出したもの。誰しも、(問題の)『原因が自分にある』と認識することは難しいものだから、ある意味で当事者の本音や真の原因が定量化されている、とは言い難い側面もあるだろうと思う」

20人に1人が該当。「不登校=一部の例外的な少数者」なのか??

▷貞廣斎子委員(千葉大学教育学部教授)

「教育という営みの中では、『できるかもしれないこと』と『できないこと』があると思う。

『できないこと』としては、『社会的観念・社会的受け皿の醸成』が挙げられるのではないか。

具体的には子どもたちの空白や休息、または”やり直し”を認め、許容する社会の設計だ。または、”学びを学歴のみに押し込めない”ような社会の設計などが必要だと思う。
押さえておきたいのは、学校に行くことができないなど何らかの課題を抱えている子どもは、”社会の一部の、誰か知らない子ども”ではない、ということ。
こうした新しい考え方を受け止めていくような雰囲気を社会全体で醸成していくことが重要だと思う」

「(不登校などを理由に)議題として取り上げられている子どもたちが、未だに”一部の例外的な少数者”という扱いをされていることが、大変気かりだ。
本調査結果によると、中学生は20名に1名が不登校。この子どもたちは、果たして少数者なのか?
決してそうではないと思う。
不登校を”例外的”とまだ捉えているところに、最大の問題があるのではないか」

▷吉田普委員(学校法人富士見丘学園理事長、富士見丘中学高等学校長、日本私立中学高等学校連合会会長)

「『全員が集団になじまなければならない』という価値観が近代以降は一般的だが、集団に適応できない人は過去からずっといたと思う。
そして(学校生活において)集団になかなか馴染めない子どもたちの中には、言い方は悪いが『コロナのおかげで学校へ行かずに済んだ』というように、ほっとした子も実はいるのではないか。

集団で社会を背負う人たちは、絶対に必要だ。その一方で、集団にはなじめないけれど、自分でいろいろな可能性を切り開く人にもがんばってもらうような社会にしていくことが、必要だろうと思う」

「(集団になじめないような子どもたちに対して)適応指導教室など、各自治体でメニューはいろいろ用意している。それらにもっと予算をつける必要性と共に、そもそもこうした場所に来られない子どもたちにいかに対応していくか、ということも考える必要がある」

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