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室外機のちょうどの広さに寝そべって一日(ひとひ)で春を百回めぐる

8月下旬から、ハードなトライアスロンをやってるみたいに次々色んなことをやっていて、日々を忙しなく過ごしています。刺激的なことが多くて楽しい反面、体力も物理的な時間もギリギリで、先日は最初のクリエイションだったのに1時間早く切り上げさせてもらってしまった。(すみません、でもおかげでなんとか間に合って、あの晩を境に2つのプロジェクトが良い方向に進みました…)
忙しい忙しいといっていますが、8月にやった「健康を色々実践する会」で、みんなけっこうYouTubeみながら体操とかしてんだ、というのを目の当たりにして感化され、肩や背中のこりをほぐして肩や二の腕をスッキリさせる体操を1日2回、朝晩やっています。布団に入った時の心地がとても良いので、寝るのが3時になってしまう時でもやっています。ああいう動画の「鼻から吸ってー」とかいうようなトレーナーさんの声は、元の速度で再生すると、強制的に自分を遅くしてくれるのですごく助かります。わたしは、気持ちがはやるあまり坂を転げ落ちるみたいな、脚が絡まったまま勢いだけで進んでいるような時がたまにあるんですが、そういうふうにならないように、適度なブレーキをかける時間になっています。
先日の悠さんとの制作もそんな感じでした。「早く家に帰って作業しなきゃやばい…」と焦っている気持ちを一旦グッと棚に上げて、「網」から「粒」になるまで丁寧に体を動かしたり、路地に座り込んで猫の視点になってみたり、遠くのビルや街頭にイメージの爪で触れたりして、急に旅行に来たように、時間の流れが緩やかになり、体の硬さが和らいだ気がしました。


室外機のちょうどの広さに寝そべって


2023.09.12  田上碧

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夏の終わりがだらだらと引き伸ばされているような深夜、机に向かって真心ブラザーズの『サマーヌード』という曲を聴きながらこれを書いている。

先日、碧さんとのリサーチで隅田川の小台橋まで歩いた帰り道、ふと碧さんがこの曲の話をしてくれた。この曲の中の“夜風は冬からの贈り物”という歌詞の素敵さについて話していると、碧さんの口から「季節の逆流」という言葉が出てきて、私は、ん?逆流??と混乱した。私はこの歌詞を初めてきいたとき、この“冬”は今いる夏から見て過去の、過ぎ去った方の冬で、忘れてしまいそうなくらい遠く後ろの方にいる冬から今いる夏に向かってそっと懐かしいような風が追いかけてくるように吹いてくる情景を想像していた。
一方碧さんは、これから来る冬、つまり未来で待っているまだ来ぬ冬から逆流するように風が吹いてきたところをイメージしていたようだ。
未来の冬からこちらに手を振るようにザッと逆流して吹いてくる風は、なんだかエネルギッシュで、(碧さんがどんな感じの風をイメージしてたかはわからないが)私は碧さんらしくていいなと笑ってしまうような眩しい気持ちになった。
碧さんっていつもからだはここにいながらなぜかちょっとだけ未来にいるような感じがする。声を未来に飛ばせるから?歩く速度が速いから?歌ってるときの碧さんは遠くの未来からこちらに声を届けているような感じもする。
そういえばその日のリサーチでは、声の飛距離とか拡張性の話にもなって、声はからだの外、声が届くまでの範囲の広く遠い空間にまで飛ばせるけど、からだはどうだろう?と考えた。
私はずっと物理的にはこれ以上大きくはならないであろうからだを遠く遠く宇宙にまで飛ばしたい触れたいという思いと共に踊ってきて、最近は自分のからだにはない部位-めちゃ太くて長い尻尾とか、しなやかでどこまでも伸びる角とか、広がり続けるいかつい羽とか...-を生やしながら踊ることで、からだと空間を変容させることに挑戦するのが楽しい。(“怪獣の踊り”と呼んでいる)
からだも未来に飛ばしたいな~


室外機のちょうどの広さに寝そべって

一日ひとひで春を百回めぐる


2023.9.13 涌田悠


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涌田悠企画 新作公演
《じっくりとみんなでつくる短歌deダンス》vol.2
短歌を詠むダンサー・振付家 涌田悠×ヴォーカリスト 田上碧×俳優 石原朋香

『ヤッホー、跳べば着く星』

2024.3/22(金)‐3/24(日)@水性(東京都・中野)

公演詳細はこちら🕊️

『ヤッホー、跳べば着く星』〈衛星連歌日記〉記事一覧はこちらのマガジンページから🛸🌠📙

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