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土木技術者の働きがい【第17弾_高速道路会社編その4~建設・技術~】

こんにちは、若手パワーアップ小委員会に所属しておりましたMです。

このシリーズでは、「土木」と一口に言っても様々な種類の仕事があり、各ポジションで若手はどんな仕事をして、どんなことに働きがいを感じているのかを紹介しています。

今回は第16弾、高速道路会社編です。
第13弾でSさんが紹介してくださった内容と重なる部分もありますが、これまで私が多く携わってきた高速道路の新規建設についてご紹介したいと思います。

前回の記事はこちらのリンクからどうぞ!

また、高速道路会社に関するこれまでの記事はこちらのリンクからどうぞ!


1.経歴


 はじめに、私のこれまでの経歴をご紹介します。
1年目 本線の新規建設を行う事務所の工務課で、予算管理や各工事を行う部署との調整・とりまとめ
2~3年目 同事務所の工事担当部署に異動し、土工・橋梁・舗装工事の管理・積算
4~5年目 休憩施設及びスマートインターチェンジの新規建設を行う事務所の工事担当部署で、土工・橋梁・舗装・標識・造園工事の管理・積算
6~8年目 支社で新規建設を行う事務所の指導・事業費管理
9~10年目 本社で土木系社員の技術研修に関する企画・運営、技術展示会の企画・調整
 
 弊社ではおもに本社・支社・事務所という組織に分かれており、土木系社員の入社後のキャリアパスとしては、事務所において現場の管理を行い、その後支社において現場への指導や本社と事務所との間で調整業務、さらにその後本社において会社全体の方針策定や国及び他の高速道路会社等との調整業務に携わるという流れが一般的です。
 それでは、弊社での組織ごとに私が経験した業務についてもう少し詳しくご紹介します。

2.事務所(入社1~5年目)


 入社5年目までは事務所において、工事を管理、監督する立場で高速道路の新規建設に携わりました。
 1場所目の事務所では、一般道との交差箇所除き本線上にトンネルや橋梁などの構造物がなく、切土や盛土といった土工のみの現場を担当していました。今では新規で本線を建設できる現場が数少なくなってきており、とても貴重な経験ができました。
 具体的な業務で印象に残っていることとしては、本線を横断するボックスカルバート施工に伴う現道迂回のための借地をすべく、地元の方々のところへ向かい事業の内容や借地契約の説明を行っていました。地元の方には工事でご不便をおかけすることもあり、時には厳しい言葉をもらうこともありましたが、何度も足を運び丁寧に説明することで何とかご理解をいただきました。
下の写真は開通時の通り初めの様子です。このとき私はすでに異動しておりましたが、報道等で地元の方も喜んでおられるということを聞いて、あの時頑張ってよかったなと思いました。


本線区間開通時の様子

 2場所目の事務所では、休憩施設とスマートインターチェンジを同時に新規建設する現場を担当していました。新規建設の現場とはいえ、供用中の本線と裏は山に囲まれたところだったので施工場所が限られており、工程に余裕もなかったことから施工場所の取り合いのような状況になりつつありました。
1場所目の現場では困ったことがあればすぐに相談できる先輩社員が同じ部署にいましたが、この現場では担当者が私一人だったので、上司や支社の担当者に相談したり、ゼネコンの方や設計コンサルの方と直接やり取りをしたりすることで、工事が円滑に進むよう調整に徹していました。
調整の甲斐もあって何とか無事に開通の時を迎えられました。その瞬間私は休憩施設の中で着ぐるみになって最初のお客さまを迎えたのですが、これまでの苦労が一気に吹き飛んだことを今でも忘れません。


スマートインターチェンジ開通時の様子
休憩施設の様子

3.支社(入社6~8年目)


 入社6年目からは支社において、新規建設を行う事務所の指導や事業費管理を行いました。組織は変わりましたが、これまでと同じく新規建設を担当する部署にいたため今までの経験を踏まえ、直接現場を担当する若い社員の苦労が少しでも減るようにアドバイスをしてきました。
一方で、これまで以上に会社のルールや方針が現場ごとに違っていないか、事業費が適切に管理されているかということにも目を光らせて業務を行いました。
支社においても何度か開通の場に立ち会うことができ、いろんな人の思いが実を結ぶ瞬間というのは何度経験してもいいものだと感じました。

4.本社(入社9年目~10年目)


 その後、入社9年目からは本社に異動し、主に土木系社員の技術研修に関する企画・運営に携わっています。これまでとは業務内容がガラッと変わり、社員の技術力を向上させるためにどうすればいいのか、どうすれば現場で抱えている悩みが解消されるのかということに注力して研修を企画・運営しています。
弊社ではタブレットが社員全員に配布されているので、研修内容をテーマごとに細分化した動画を作成し、短時間でどこでも学習できるような環境を整備しました。
また、研修の企画・運営だけでなく、自分自身も研修に参加しました。特に印象に残っている研修は、インドで行われたもので、斜面崩壊や落石などが多発するエリアにおいて、日本とは異なる環境での道路建設や維持管理について学び、様々な経験をすることでグローバル意識や技術力の向上につなげました。

インドでの研修の様子


5.おわりに


 これまでの私の経験を見られてどのように感じられたでしょうか。学生の方にとっては土木技術者という割に調整事項が多く技術的な側面があまり見られないと感じられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。私も入社して数年間は事務的な調整が多く、学生時代に勉強してきた意味はあったのかと思うこともありましたが、弊社のような発注者の立場にもなると、コンサルやゼネコンなどの受注者の方や地元の方々、さらには高速道路を利用されるお客さまなど関係する方々が広範囲にわたるため、一定程度の事務的なやり取りは生じてしまいます。
しかし、事務的な業務がスムーズに進むためには技術的な側面が必要で、なぜこの道路がこの形でここに造られているのかといったことには、必ず理由があります。まだまだ私も勉強中の身なのであまり偉そうなことは言えませんが、たくさん苦労していろんな方々から教えをいただき徐々に成長していくのが土木技術者なのかなと思っているところです。
とりとめのない文章を書いてしまいましたが、少しでも土木に興味を持っていただければ幸いです。


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