見出し画像

質を高める。でも事業も成長させる。私たちは二兎を追い続けたい

「会社が大きくなると質の担保が難しくなる」

サービス業はそう言われることがあります。

サービスを提供するのが「人」である以上、事業が大きくなればより多くの人が必要です。しかし、雇ったあとに教育を行うのは簡単ではないですし、優秀な人を集めるにも限りがあります。

そのため、人が多くなればどうしても「平均が下がる」方向へと傾きがちです。

ワカルク代表・石川沙絵子へのロング・インタビューシリーズ。ワカルクのルーツでもある石川個人の人生観・仕事観や、ワカルクという会社に込められた想いなどを全6話でご紹介します。

※本インタビューは、社外ライターによる約5か月に渡る取材をもとに執筆/構成を行っています(インタビュー/執筆:藤森ユウワ)

もっと多くの人へサービスを届けたいのに、届かなくなるジレンマ

「美容院」を例に考えてみましょう。

個人経営のお店なら細かなオーダーに応えてくれますし、場合によっては裏メニュー的なサービスを提供してくれることもあります。ただ、サービスレベルは美容師さん本人の経験・スキルに依存するところが大きいです。

一方、店舗が数百店もある「1,000円カットのチェーン店」の場合、提供されるサービスはカットのみで、時間も15分と決められており、それを越えるオーダーはできません。ただ、安くて早く、どのお店で誰が担当であっても一定レベルでカットしてもらえます。


もし、個人経営の美容院がそのまま店舗を増やそうとしても、人の採用や教育に多大なコストがかかり、数百店にはとてもたどり着けないでしょう。

事業を大きくするには、マニュアルを整備し、サービスの内容を固定して、誰がやっても一定のレベルでサービスが提供できるような仕組みを作ることが必要です。


しかし、それは同時に「お客様からの個別のご要望には対応しない」ということでもあります。

「なぜ事業を大きくしたいのか」という理由は経営者それぞれですが、もし「もっと多くの人に喜んでほしい」というような理由だった場合、その思いとは裏腹

「店長が一人でやっていた頃はいいお店だったのに、繁盛して人を雇うようになったらサービスが悪くなった」

と言われてしまう。そんなジレンマが生じます。


現代には「AI」という選択肢があるが

では、最近話題のChatGPTをはじめとした「AI」を使えばどうでしょうか。

数年前、オックスフォード大学と野村総研によって発表された「日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能になる」というレポートが話題になったことを、ご記憶の方もいらっしゃるかと思います。

また、東京大学の松尾豊教授は、AIはホワイトカラー職の仕事全般に影響を及ぼすだろうと述べています。

(参照: ​​​​《日常業務のほとんどは効率化される》東大・松尾豊教授が教える「チャットGPT」時代に求められるスキル | 文春オンライン )


先ほど例に出した美容院に「AI美容師」が登場するにはまだ時間がかかりそうですが、私たちのようなBPOサービスの場合は、AIで代替されてしまう部分が出てくるかもしれません。

実際に、インターネットを使ったリサーチ業務スライド作成業務などは、AIを活用することで工数を大幅に削減できるサービスがいくつか出てきています。

また、お客様からもChatGPTを使用した業務を依頼されるケースも、少数ながら出始めています。

AIならば人間とは違い、量が増えても一定の品質でアウトプットを出すことができますので、質を担保したまま規模を拡大することができるかも知れません。


AIはBPOサービスを駆逐するのか

では、私たちが提供するBPOサービスは、AIに置き換えられてしまうのでしょうか。

お客様からのご要望でさまざまなITツールを使い、そして、AIを使った業務を行ってみて感じた答えは「No」です。

たしかに、AIは人間と比べて優れている点もあります。ただ、実際の仕事に適用するためには、それを使いこなす人間が必要です。どんなにAIの性能が良くても、人間の命令を受けてアウトプットを返す以上は、その命令の出し方で質が左右されます


もっといえば、「単純作業」はできたとしても、「なぜ、その作業をやるのか」という目的・背景・文脈を理解していなければ、その先にある業務改善や新規事業のアイデアを出すことはできません。

私たちが得意とする「お客様の事業を推進するサポート」は、AIではできないと思っています。

以前、2022年の振り返りでも同じことを発信していましたが、私たちはこれからも人じゃないとできないことに人で勝負する集団でありたいと考えています。

人でしかできない領域に人で勝負するには、物事の考え方、仕事に取り組む姿勢、相手を理解する力の基礎力を高めておくことが当たり前だけど一番重要だと、私自身20年近く仕事をしてきて強く感じているところです。

ワカルクは人じゃないとできないことに人で勝負する集団でありたい。

来年は、更に磨きがかかったチームで、より多くのお客様の事業推進パートナーとしてお役に立ちたいと思います!

2022年を振り返って|Saeko Ishikawa


人の力を生かしながら、でも、事業の成長にも挑戦したい

では、私たちはAIで代替不可能な領域でサービスを提供するから、事業の成長は目指さないのかというと、その答えも「No」です。


事業計画を説明する際に、今後の展望(事業拡大)の話をすると「質はどう担保するのか」という質問をいただくことがあります。「成長を目指さず、今の質を保てる適正規模に留まる方がいいのでは」というご意見をいただくこともあります。

それでも私は、事業をまだまだ成長させたいと思っています。

これまでの3年間、ワカルクという会社、サービスを運営してきて、少なからずお客様から「ワカルクに仕事を頼んで良かった」と言っていただき、メンバーから「ワカルクに入って良かった」と言ってもらうことができました。

ワカルクに関わって良かったと言ってくれる人を、一人でも多く増やしたい。

そのためには、社員が現在の30名規模から50名、100名へと増えたとしても、同時に質を高めることにチャレンジし続け、緩やかだったとしても成長を目指し続けたいのです。


もちろん、これからは私たち自身がAIだって使いこなさねばならないでしょう。もしかしたら、この先の未来ではサービスの形自体が今と変わっているのかもしれません。

ただ、お客様と同じ目的地を目指して一緒に試行錯誤し、伴走していくことは変わりませんし、それこそが私たちが提供できる最大の価値であると思っています。

もし、社外のパートナーをお探しの企業様がいらっしゃいましたら、ぜひご相談いただけますと幸いです。



このシリーズの他の記事

シリーズは以下のマガジンからもお読みいただけます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?