読書感想文『それは令和のことでした、』歌野 晶午

今の時代を随所に反映した短編集。

ジェンダー意識の強すぎる母親によってつけられた名前が原因でいじめられる少年、親切心で泥だらけの子供をお風呂に入れたら性犯罪者にされてしまった男など、現代らしい窮屈さや生きづらさがふんだんに盛り込まれている。
それぞれの話が最後で微妙に様子を変え、なんともいえない後味の悪さが残るものからほっこりするものまでと、バラエティに富んでいて読みやすい。
最後に全体をひっくり返すのが得意な作者らしさが良く出ていて、なかなか読みごたえもありました。
…ネタバレしないように気を付けたら、何言っていいかわからん…無茶苦茶感想が言いにくい本ではありますが…(笑)
基本、小説ならではのどんでん返しが多いので映像化は難しそうなところがいい。
作者の巧みさに読書好きなら思わずニヤニヤしてしまうのではないだろうか?
世の中は便利になったけど、その分現代人は余裕と寛容さをなくしてしまったんだなー…とかも思ったり。

歌野作品が好きな人はもちろん、作者に興味はあるけど読んだことない人なんかにおすすめです。


・武田 綾乃『可哀想な蠅 』

・呉 勝浩『素敵な圧迫』

・村田 沙耶香『信仰』

作者の色が強く出た短編集って読み応えあって楽しいですよね。

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