読書感想『愚か者の石』河崎 秋子
明治18年初夏、自由民権運動に参加していた瀬戸内巽は国事犯として捕縛され、懲役13年の判決を受けてしまう。
家族にも見放され、許嫁だったはずの女はあっさりと自分の兄に嫁ぎ、その薄情さに恨みの塊となっていた巽は北海道の樺戸集治監に収監された。
沸々と沸き起こる恨みを抱え、自分が捕まったのは冤罪だ、俺は人を殺したりしたわけじゃないと腐っていた巽は、女の話や食い物の話など囚人の欲望を膨らませる夢のような法螺ばかり吹く男・大二郎と同房になる。
大法螺を吹いては周りの囚人たちを煙にまき