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わからないまま物語を楽しむ

月曜日の無料版です(日曜日の振替です)

先週の土曜日に第14回読書会を行いました。今回は5名の方が参加してくださいました。参加してくださったみなさん、ありがとうございました。

3回連続で読んでいた村上春樹「レキシントンの幽霊」の最終回でした。

『七番目の男』と『めくらやなぎと、眠る女』を読みました。実は、以前、参加者の方が『七番目の男』をすすめてくださったので、『レキシントンの幽霊』を課題本に選んだという経緯があります。この日はすすめてくださった方も参加してくださいました!

七番目の男

この物語は以前読んだ『沈黙』に似ていました。非現実要素が少なく、リアリティのある物語を七番目の男が語るという話です。この七番目というのは、なんかのセラピー?みたいなグループで車座になって話しているところで、七番目の男が自分の過去について語り出します。

七番目の男は、子どもの頃、海の側の街に住んでいました。そして、体が弱い年下の友達がいました。彼はとても絵が上手でした。でも、台風の日、二人は風が止んだ時に海辺に出てしまいます。そして、友達が波にさらわれて亡くなってしまうのです。その時、恐怖のあまり友達を助けられたかもしれないのに、助けられなかったのです。それ以降の人生、後悔に苛まれていたのです。

と、こんなお話です。なぜこんなに『沈黙』と『七番目の男』に惹かれるのか考えてみました。

一部、著者の実体験が盛り込まれているらしく、リアリティがある内容でした。人生を感じるというか。人生で誰でも遭遇しうる出来事(ちょっとハードではあるけれど)が取り上げられて、長い間、それに苦しみつつも、最終的には希望の光が見えるというところに心が動かされるのかもしれません。

めくらやなぎと、眠る女

そういうふうにわかりやすい『七番目の男』に比べて、あんまりよくわからなかったのが『めくらやなぎと、眠る女』です。ノルウェイの森のワンシーンを思わせる回想が入りますが、著者によれば、直接的な関係はないそうです。

主人公は耳が悪いいとこの通院に付き合います。その病院で、高校時代に、友人の彼女が胸の手術をしたから、そのお見舞いに友人とバイクで行ったことを思い出します。その彼女がめくらやなぎの絵を書いて、めくらやなぎの花粉をつけた蠅が耳の中に入りこむ……という話をします。

とまあ、ただそれだけの話で……なんだかあらすじもうまく書けないくらい自分の中で消化されていない小説です。

ただ、読書会でも話していたように、そこここに「死」のにおいを感じる小説でした。「眠る女」とか「蠅が肉を食べる」とかも……ノルウェイの森とも相通じるものもありました。

「めくらやなぎ」もそんなに非現実的要素がなかったのですが、なかなか自分のなかに落とし込めませんでした。

でも、それでも小説として楽しめました。

読書会とかをすると、どうしても「ここ何が言いたいんかな?」とか「このモチーフは何を表しているか?」とか考えたくなります。そして、もちろんそこをみんなで考えるのが読書会の醍醐味です。

でも、『めくらやなぎと眠る女』を読んで、わからないものをわからないまま受け取り楽しむという形もあると気づきました。

7篇の短編小説をとても楽しく読めました!
次回は、12月5日(土)19時〜
課題本は太宰治の『嘘』です。

よければご参加ください。参加希望の方はTwitterにDMをくださいね。

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日本語教師でライターが日常をみつめるエッセイです。思春期子育て、仕事、生き方などについて書きます。

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