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「placeof - プレイスオブ」の新機能開発のなかで生まれたふわふわとした雑談です

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最近の記事

現代日本の空き家問題の根本的な問題とは

今日はこんなニュースがありました。 ただ、この調査は総務省の「住宅・土地統計調査」のデータであることに注意する必要があります。これはサンプル調査であり、各地方自治体の空き家調査を積み上げたものではないです。 もちろん総務省としてもサンプル調査の方法論を洗練させるべく検討会を開催しており、恐らく精度は向上しているとは思いますが、空き家に関してサンプル調査を行うのは方法論としては難しいように思います。 そもそも空き家かどうかの最も正確なデータは固定資産税であるはずです。所有者

    • 「物件への投げ銭」機能の開発の背景

      先日、placeof(プレイスオブ)で「物件への投げ銭」機能をリリースしました。その詳細な使い方はこちらを見て頂くとして、その開発の背景を簡単にまとめておきたいと思います。 物件は「次の人」を適切に見つけることが出来たときに、文化・歴史の継承、そして富の蓄積がされます。 日本を始めとして多くの国で「人口減少社会」になるときに、「次の人」を見つけることはこれまで以上に難しくなっています。 ところで、YouTube・Instagram・Twitterなどで物件情報を発信する方も

      • この家は値上がりするのか?

        その答えは知るには、その地域にいる「子どもたちの目」を見るべきなのでしょう。彼ら彼女たちは、今自分たちが見ている景色を、大人になったときに自分たちの子どもに見せたいと思うでしょうか? 不動産市場で最も重要な不確実性は、数年後にどれほど需要があるか、という点です。子どもをもつ家庭は毎年出現しどこかで新しい需要を作り新しい波を作ります。2008年の世界金融危機後の不動産市場の下落は多くの国が経験しましたが、2012年頃には多くの国で不動産市場が回復したのも結局は次の需要があった

        • アメリカの草の根「全体主義」

          トクヴィルが19世紀のアメリカに行ったときに、草の根民主主義が展開されている社会を見て驚いたのだと思いますが、現代ではアメリカに行かなくてもHOAという一種の町内会と住民の訴訟が多発していることに驚きます。以下"hoa litigation" で適当にググった動画です。 https://www.youtube.com/watch?v=oKnND_3Q9b8 また、アメリカのどの州の用途地域でも戸建てしか建てられないSingle Family Zoningも非常に多いようで

        現代日本の空き家問題の根本的な問題とは

          日本の特色ある「不動産現象」

          以前日本の特色ある「ウォーカブルなまちづくり」を書きましたが、世界の不動産市場を色々調べていると、他の国には無い日本ならではの「不動産現象」がある気がしたので、五月雨式にメモしておきます。随時更新します。間違いとか他にもあるとかあればコメントお願いします。 不動産会社向け物件コンバーター「元付業者」「客付業者」「おとり物件」原野商法乱開発格安アパートのサブリースビジネス極小住宅再開発業者がいつも同じ重要事項説明社会資本整備総合交付金「市場家賃」で提供される公共住宅地図が豊富

          日本の特色ある「不動産現象」

          不動産仲介業の最も非効率な部分とは?

          不動産仲介業の最も非効率な部分は、売り手側・買い手側に限らず、「集客」(最近風に言うならばlead generation)にあるようです。 逆に言うと、ある程度検討内容が決まっている方同士を「仲介」するのはコストがそこまで掛からないのかもしれません。realtor.comがlead qualificationをするopcityを買収したときのその買収の背景に関するブログの下記のようなコスト構造の図も参考になります。 lead qualificationのような産業の発展も

          不動産仲介業の最も非効率な部分とは?

          アメリカの不動産仲介業で「日本化」されないもの

          アメリカの不動産業界での訴訟が数年掛かるのでは、と昨日(2024/3/16)記載しましたが、今朝起きたら電撃的な和解をしていました。 一部の訴訟を除いてこの和解により、一連の訴訟は終了するようです。NARのプレスリリースを見てもこれが解決になっているのか、良く分からなかったのですが、司法省がまた介入したりするんですかね。 昨日は「日本化」されるものについて考えてみましたが、今日は「日本化」されないものについて考えてみたいです。 恐らく、それは「データの徹底的な公開」だと思

          アメリカの不動産仲介業で「日本化」されないもの

          アメリカ住宅仲介業界の「日本化」?

          アメリカの住宅売買仲介業界では今6つほど大きな訴訟があり、そのうちの一つは損害賠償額が2000億円程度が地裁の陪審レベルで確定しており、6つの訴訟が全て終わるのは数年ごとは言え10兆円の手数料収入があるアメリカの住宅仲介業界が大きく変わる気がします。一言で言えば「日本化」でしょうか。 アメリカでは売り手と買い手にエージェントが着く慣習があったが、少なくとも買い手側のエージェントは消滅する可能性が高い MLSに登録されないが登記を見ると権利の変動があるような「未公開物件(P

          アメリカ住宅仲介業界の「日本化」?

          地域の学校情報で欲しいもの

          不動産の本源的価値は「次の需要」でそれは主に公共財に由来するとはいえ、結局「学校」がその需要を最も誘発すると思われます。 多くの地域を歩いていると「学校」の校舎や設備があまりにもボロいのにも驚かされます。また、子どもたちは歩いて「学校」に行くのにも関わらず、危険な通学路が放置されている地域も多いようです。 こうした「学校」がある地域は、新しい子育て家庭に選ばれない可能性が高いと思われますが、その地方自治体の開発能力を反映していると思います。 オーストラリアでは政府がnap

          地域の学校情報で欲しいもの

          不動産市場で観察される両片思い

          日本の住宅広告を見ると「〇〇(任意の国・地域名)風」の住宅を良く見かけます。 一方で、"japanese inspired house san francisco" とかで検索するとそれはそれで色々ヒットします。 ニューヨークで最も高いマンションの200億円の部屋のアピールポイントの一つは畳部屋のようです。 北欧風とジャパン風を組み合わせた"japandi"というスタイルも出てきています 何故住宅を選ぶときに、その地域の文化や歴史に根ざしたスタイルではなくて、外国のス

          不動産市場で観察される両片思い

          URは民業圧迫なのか?

          URの業務が民業圧迫である、趣旨の議論は国会でたまに提起されてはなくなりますが、寧ろ問題はそうした議論があることでURが組織硬直を起こしてしまうことにあるように思われます。 例えば、URは毎年1000億円単位の多額の減損損失がありますが詳細は情報公開されていません。 不動産市場は「市場の失敗」が起こりやすい分野である気がします。市場金利、土地の仕入れ、原材料価格、建設業者の技術力、建設労働者市場の動向、入居者へのマーケティングなどなど複数の要素が複数年にわたり相互に影響しあ

          URは民業圧迫なのか?

          自宅を少なくとも買った価格で売れる社会

          どの国でも「賃貸か売買か」みたいな謎の弁証法的な議論があるようです。 アメリカのケースシラー住宅指数をインフレ調整・住宅金利調整・税金とHOA費調整したグラフを見ると、2006年5月頃に住宅を買った人は2022年5月頃までの最大16年間待たないと持ち出しになっていたようです。 日本の場合は、首都圏のデータを見ると、バブル期はともかくとして、東京は2007年~2015年の最大8年が持ち出しになりえた期間だったようです。千葉県や埼玉県は2007~2021年の最大14年ぐらいが持

          自宅を少なくとも買った価格で売れる社会

          アメリカの住みたい街ランキングの激しさ

          アメリカの代表的な住みたい街ランキングである"Money Magazine’s Best Places"の順位が毎年大きく変動するけど、街の本質はそんなに毎年ごとに大きく変わらないのになんで、という動画を見ました。 方法論が毎年変わるから、というのがその答えのようです。そして、結局誰もにとり適切な方法論など無いので自分で見つけていくしかない、というのも興味深いです。greatschoolのような一見客観的な学校ランキングも生活実感と乖離あるよね、と。 多数決には欠点があると

          アメリカの住みたい街ランキングの激しさ

          様々な家の売り方: Distributed It Yourself

          アメリカのFSBO市場について書きましたが、調べてみると他にも面白い家の売り方がいろいろありました。 ところで、アメリカの不動産市場と日本の不動産市場の最も顕著な違いは「在庫データ」が分かるかどうかだと思います。これが分かるぐらい不動産データが整備されているというのが凄いです。その他にもデータがありすぎるぐらいです。 1. iBuyerの台頭 まずはOpendoorなどのiBuyerの台頭でしょうか。iBuyerとはたくさんのデータをもとに高度なアルゴリズムを使った既存住

          様々な家の売り方: Distributed It Yourself

          アメリカのFSBO市場

          年間600万件ほどの既存住宅取引があるアメリカではその7%ほどがいわゆる直販売であるFSBO(For Sales By Owner)という取引手段を行なっていると言われています。この数字は不動産仲介業者の団体であるNARが発表しており、彼らのデータベースであるMLSに登録されない取引が20%ほどあることにも留意する必要があります(MLSと登記ベースのデータの差)。それを考慮すると全取引の10%ほどでしょうか。 現在ではほとんどの住宅情報がネットで見れるのに、不動産仲介業者の

          アメリカのFSBO市場

          ニューヨークの公園と明治外苑

          東京の明治外苑の再開発(28ha)が良く分からない感じになっている気がします。 ニューヨークの中心部にもセントラルパーク(341ha)がありますが、何が違うのでしょうか。少なくとも「議会の関与」「非商業化」「財源としての寄付金」の3つが挙げられると思います。 1.議会の関与 セントラルパークは1853年にニューヨーク州議会が制定した「Central Park Act」に基づいて土地買収やその他計画が実施されています。外苑の再開発の事業主体は民間団体とはいえ、その認可をするの

          ニューヨークの公園と明治外苑